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2WAYキーでWオープンを進化させた「P-01A」
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるWindows Vista」「できるPRO BlackBerry サーバー構築」(インプレスジャパン)、「お父さんのための携帯電話ABC」(NHK出版)など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。Impress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。


 11月5日に発表され、11月19日から順次、販売が開始されたNTTドコモの新ラインアップ。その第一弾として登場したのがパナソニック製端末「P-01A」だ。筆者も実機を購入したので、レポートをお送りしよう。


1年間で着実に浸透したWオープンスタイル

NTTドコモ/パナソニック『PRIMEシリーズ P-01A』、サイズ:50×108×16.9mm、122g。フロスティホワイト(写真)、シャンパンピンク、グラマラスレッド、グラファイトブラックをラインアップ

ドコモ向けとしては、P905i(右後ろ)、P906i(左後ろ)に続いて、Wオープンスタイルもいよいよ3代目(手前)となった
 STYLE、PRIME、SMART、PROと呼ばれる新シリーズによって構成されるドコモの新ラインアップ。型番のネーミングルールも変更されたことで、端末ラインアップがまったく一新された印象があるが、現在は移行期にあるため、従来モデルも併売されており、ユーザーからは「わかりにくくなった」「区別がしにくい」といった戸惑いの声も多く聞かれている。

 今回紹介するパナソニックモバイルコミュニケーションズ製「P-01A」は、新モデルのPRIMEシリーズにラインアップされる端末だ。PRIMEシリーズは「今、旬のケータイ・エンタメをとことん楽しみたいあなたに。」というドコモのキャッチコピーからもわかるように、他シリーズに比べ、カメラやワンセグ、ディスプレイなどでハイスペックを追求し、「ケータイを楽しむこと」を意識した端末が多くラインアップされており、ユーザーの注目度も高い。

 すでに、発表会のレポート記事などでも紹介したが、「P-01A」というネーミングは2008年冬から販売される端末のうち、パナソニック製端末の第1弾であることを表わしている。参考までに、「P-02A」はSTYLEシリーズにラインアップされたスライド式端末(2009年1月~3月発売予定)、「P-03A」はP-01Aと同じWオープンスタイルを採用したSTYLEシリーズの普及モデル(2008年12月~2009年1月発売予定)、「P-04A」はSMARTシリーズにラインアップされた薄さ9.8mmのスリムモデル(2009年2月~3月発売予定)、「P-05A」はP-04Aをベースにしたカメラレスモデル(2009年2月~3月発売予定)となっている。

 P-01Aはそのスペックやデザインなどからもわかるように、基本的には従来のP906iの後継モデルに位置付けられる端末だ。ボディデザインはパナソニック製端末でおなじみのワンプッシュオープンを搭載するが、ディスプレイを横向きにも開くことができるようにした「Wオープンスタイル」を採用し、通常の縦方向に加え、横方向でもケータイを活用できるようにしている。

 Wオープンスタイルは、昨年11月に発売された「P905i」で初めて採用され、今年6月発売の「P906i」に続いての採用となる。ドコモ向けとしては今回のP-01Aが3機種目、同時発表のP-02Aが4機種目、ソフトバンク向けの「920P」(2008年1月発表)と「921P」(2008年6月発表)を合わせると、現時点でWオープンスタイル採用端末は合計6モデルとなる。P905iの登場から1年しか経っていないが、すっかり、パナソニック製端末の一つの特徴として定着し、ユーザーにも支持を拡大している。ちなみに、Wオープンスタイルと同様の縦横両方に開くデザインは、2006年にソニー・エリクソンがau向けのW44Sで、今夏も日立製作所がau向けのW62Hで採用している。


端末を開く向きによって表示が変わる2WAYキー

 P-01Aの特徴と言えば、やはり、端末を表示が切り替わる「2WAYキー」だろう。テレビCMなどでも積極的に紹介されており、ユーザーの関心も高いようだ。Wオープンスタイルの端末は、縦と横のどちら向きにも開くことができるため、横画面を活用しやすいというメリットを持つが、横方向に開いたときにキートップのプリントが90度、傾いてしまうため、文字入力などの操作が使いにくいというデメリットがあった。そのため、Wオープンスタイル採用の2代目モデルであるP906iでは、横向きで開いたときのためのメニュー画面を用意したものの、基本的には文字入力を必要としないビューア的な機能のみを呼び出せるようにしていた。しかし、フルブラウザやゲームをはじめ、横画面に適した機能が増えてきたこともあり、横方向の画面でも文字入力などの操作がしやすい2WAYキーの搭載が検討されたという。

 2WAYキーでは、ワンプッシュオープンで縦方向(ノーマルスタイル)に開くと、いつも通りの配列であるのに対し、横方向で開いたときはキートップのプリントが90度、回転し、きちんと自分向きになる。これにより、横方向で文字入力などの操作がしやすくなり、横方向も機能が使いやすくなるというわけだ。


横開きの状態のまま、縦方向に開閉すると、2WAYキーのプリントが変わる動きがよくわかる。本来、こうした開閉動作は推奨されないものなので、要注意

縦方向では基本的に従来と同じ(一部、文字の割り当ては異なるが)レイアウトで利用できる 横方向に開くと、キープリントの向きが変わる。見比べてみると、方向キー周囲のソフトキーも割り当てが変わっている

 端末を開く向きによって、キートップのプリントの向きが変わるというしかけは、ちょっとしたマジック芸のようにも見えるが、その構造を見ると、意外なほど、アナログというか、シンプルな構造を利用している。キートップの部分に小さな窓を設け、その下にキートップのプリントを表示する縦方向用と横方向用の2枚のキーシートを仕込んでおく。端末を閉じた状態では横方向用がキートップに表示されているのだが、端末を縦方向に開いたときはディスプレイ部の動きに合わせ、横方向用キーシートがスライドし、縦方向用のキーシートがキートップが表示されるというものだ。文章で書くと、かなりまどろっこしいので、取材時に撮影したムービーを参照して欲しい。


横画面を活かすことができるフルブラウザ。検索などをするときにも文字入力が使いやすくなるため、利用頻度も高くなる せっかくのワイド画面もメールは半分しか表示されない。絵文字のパレットを呼び出すと、本文も見えにくくなる。右半分の空間がむなしい……

 実際に、2WAYキーで利用した印象としては、フルブラウザで検索などをする際、横方向用配列に表示されたキーで文字入力ができるため、グッと使いやすくなった感じだ。縦方向用配列と横方向用配列を見比べてもらうと、非常にわかりやすいのだが、ダイヤルボタン部分は共通のキー割り当てとなっているのに対し、方向キーと周囲のソフトキーについてはキー割り当てを変更している。たとえば、縦方向での[iモード]ボタンはiモードの起動や長押しでiアプリのメニューが呼び出せるが、横方向ではフルブラウザが割り当てられ、長押しではフルブラウザのホームが表示される仕様になっている。つまり、「横方向のブラウザ=フルブラウザ」と捉えているわけだ。iモードコンテンツが横長表示に対応していないことも関係しているが、フルブラウザを重視するユーザーにはメリットがあると言えるだろう。


通常のメニュー画面。iコンシェルが項目として、追加されている 横画面用のメニュー画面。P906iと比較して、カメラやメールが項目に追加されている

P905i(上)のキーは少し中央が盛り上がり、P906i(中)はほぼフラットであるのに対し、P-01A(下)は各列の間を凹ませることで、キーが盛り上がっているように見せかけている。好みの問題だが、クリック感は変わってしまった印象だ
 同様に、カメラやゲーム、ワンセグ視聴なども横画面で利用できる。なかでもワンセグはダイヤルボタンで直接、チャンネルの呼び出しができ、ゲームは携帯用ゲーム機で慣れ親しんだ「左手親指による方向キー操作」が利用できるなど、使いやすくなっている。

 これに対し、今ひとつ横画面&2WAYキーのメリットを活かしきれていないのがメールだ。ワンセグ視聴中のメール画面の呼び出しなどはなかなか便利なのだが、通常のメール作成については、横画面でも画面分割され、左側のみにメール画面が表示される仕様となっている。たとえば、絵文字入力など、他のデータを参照入力するときは画面の右半分に表示して欲しいところなのだが、左半分の画面の下半分を占領してしまうため、結果的に画面が狭くなってしまう。やはり、メール作成については、いつも通りの縦方向で利用した方が賢明だろう。

 また、2WAYキーを採用した関係もあるのだが、ボタン配列にはちょっと不満が残った。写真で見比べて見るとよくわかるが、P-01AはP905iのボタンデザインを継承しており、P906iで採用された少し大きめのボタンは採用されていない。しかも2WAYキーの構造の関係なのか、ボタンそのものの凸感が少なくなったこともあり、方向キーの下方向と[クリア]キーの境目がわかりにくくなったような印象もあった。好みの問題でもあるが、2WAYキーというユニークな構造が実現できた半面、ボタンのクリック感などはかなり変わってしまったというのが正直な印象だ。

 ボタンの話が出たところで、もうひとつ注意しておきたい点がある。それは文字入力のキー割り当ての変更だ。ドコモでは今回の新ラインアップから文字入力のキー割り当てを少しずつ統一するようにしており、P-01Aも従来のPシリーズから割り当てが変更されている。一部を表にまとめてみた。

 P-01AP906iなど
濁点、半濁点(「゛」「゜」)[*]キー
句読点(「、」「。」)[#]キー
促音(「っ」「ゃ」など)[*]キー[発話]キー
逆順(「い」→「あ」など)[発話]キー[カメラ/TV]キー
空白(「 」など)[#]キーを6回
(半角)
[0]キーを6回
(全角)
改行[*]キー[カメラ/TV]キー
絵文字一覧[MENU]キー[*]キー


[*]キーのプリントを見てもわかるように、P-01A(左)はP905i(右)やP906i(中央)からキー割り当てが変更されている
 この他にも[英/半]モード時、[1]キーや[#]キーを押したときの記号の順序が違うなど、細かい部分で少しずつ仕様が変更されている。NEC製端末や富士通製端末、シャープ製端末なども共通仕様に合わせ、割り当てを変更しているのだが、Pシリーズは今回の統一仕様でもっとも影響を受けたメーカーの一つと言えるかもしれない。


ユーザーに合わせた情報が配信される「iコンシェル」

 ドコモは今回の冬モデルの発表に合わせ、新たに「iコンシェル」というサービスの提供を開始した。今回紹介しているP-01Aをはじめ、従来モデルの90Xiシリーズに位置付けられるような高機能端末の多くが対応している。

 iコンシェルはNTTドコモの山田隆持社長が会見などで、再三予告していた行動支援型のエージェントサービスで、従来の「○○ができるケータイ」を「○○してくれるケータイ」へ進化させることを目指したものだ。たとえば、従来は「電話ができる」「音楽を聴くことができる」「テレビ(ワンセグ)を見ることができる」といった形で、ユーザーが能動的にケータイを使うことを前提にしているが、「○○してくれるケータイ」ではあらかじめユーザーの情報を登録しておくことで、それぞれのユーザーの生活環境や趣味嗜好に合わせた情報が検索され、ケータイに自動的に反映してくれるといった使い方を可能にする。もう少し具体的に言うと、従来型のサービスではコンサートなどの情報をユーザー自ら検索する必要があるが、iコンシェルではあらかじめアーティスト情報を登録しておけば、コンサート情報を受け取ることができるわけだ。

 こうした情報配信のしくみとしては、すでにiチャネルを提供しているが、iチャネルがより大まかな情報を配信するのに対し、iコンシェルは執事を意味するコンシェルジュからネーミングされていることからもわかるように、よりパーソナライズされた情報を配信するしくみとなっている。また、各コンテンツプロバイダがメールマガジンなどのしくみで提供している情報配信サービスもiコンシェルに置き換えることが可能だろう。

 iコンシェルでは、大きく分けて、4つのサービスから構成されている。気になる予定を自動的にダウンロードしておく「スケジュール」、FeliCaを利用したクーポンを活用する「トルカ」、待受画面でエージェントの役割をするキャラクター「マチキャラ」、鉄道運行情報などのさまざまな生活関連情報を配信する「インフォメーション」で、各サービスとも有料と無料のコンテンツが用意されている。


デスクトップのショートカットアイコンやメニュー画面から起動したときに表示されるiコンシェルの起動画面。配信された情報の一覧が表示される iコンシェルでは自分の契約者情報でプロフィールが設定される。これらを基に、情報が配信されるしくみだ

 iコンシェルを契約すると、ドコモに顧客情報として登録されている生年月日や性別、住所の一部が参照され、iコンシェルのプロフィールとして利用される。住所については番地よりも前の部分が参照されるが、まず、この情報を基に提供されるのが「インフォメーション」だ。


iコンシェルで配信される「インフォメーション」のコンテンツ。鉄道運行情報や台風情報など、生活に役立つコンテンツが提供される プロフィールに設定した情報を基に、鉄道運行情報の配信を設定できる。鉄道路線も自分の利用したい路線を最大20路線まで追加できる

道路交通情報は最大15の道路区間を設定し、渋滞情報などを受信できる。配信するタイミングは曜日と3つまでの時間帯で設定可能
 iコンシェルのインフォメーションでは、ユーザーのプロフィールを基に、「鉄道運行情報」「道路交通情報」「警報/その他気象情報」「台風情報」「地震情報」「イベント情報」などが検索され、端末に自動的に情報が配信される。たとえば、筆者は東京都世田谷区に住んでいるが、標準設定の状態では、小田急線、東急線、京王線の一部路線が鉄道運行情報の対象路線として、登録されていた。路線は全国から最大20路線を設定できるので、自宅付近に加え、勤務先や学校など、通勤や通学に利用する路線の情報を追加しておくと便利だ。受信する曜日も設定することが可能だ。

 移動がクルマのユーザー向けに、道路交通情報も提供される。こちらも同じように、最大80カ所まで、対象となる道路区間を設定し、渋滞や混雑の情報を受信できる。ただし、標準では受信しない設定になっているので、契約後に設定を変更する必要がある。情報の受信については、曜日の設定に加え、1日につき、3つまでの時間帯を設定することができる。通勤や通学など、クルマで移動する時間帯を設定しておくわけだ。

 インフォメーションにはこうした生活情報的なものの他に、タレントやアーティスト、映画などのエンターテインメント情報なども配信されるが、なかには月額料金が発生するiモードコンテンツの登録ユーザーのみに配信されるサービスもある。


スケジュールで配信されたiコンシェルのコンテンツは、端末のスケジュール画面に登録され、いつでも参照できる。vCalendarの仕組みを採用しているので、一部のコンテンツはメールに添付して、送信できる iスケジュールにはiコンシェルで配信された各種情報が登録される。映画の公開情報も自動的に配信される

 スケジュールについては、ユーザーが登録したコンテンツのスケジュールが配信され、端末のスケジュール画面に表示されるというものだ。内容としては、アーティストやタレントのスケジュール情報、映画の公開スケジュール、雑誌や音楽CDの発売日情報なども提供されている。レンタルDVDサービスと連動し、借りたDVDの返却日をそれぞれのユーザー向けに配信するサービスもある。

 マチキャラは標準で「ひつじのしつじ」が各対応端末に設定されているが、これを他のキャラクターに変更できるというもの。今回紹介しているP-01Aには、「ひつじのしつじ」の他に、パナソニック製端末のFeel*Talkでおなじみの「フィールキャラクター」、iアプリ「レイトン教授と不思議な町」の「レイトン教授」がプリセットされている。


トルカを利用した電子クーポンも提供される。自動更新を利用すれば、情報がスケジュールに反映される
 トルカについては、インフォメーションやスケジュールで提供されるような情報をFeliCaによる電子クーポンとして提供するものだ。たとえば、実際に出かけたお店でトルカを入手したとき、自動更新機能を利用すれば、いつでもそのお店の最新情報がチェックできるようになる。飲食店だけでなく、コンビニエンスストア、ドラッグストア、ファーストフード、映画館、家電量販店、テーマパークなども提供されている。

 これらに加え、iコンシェルは電話帳お預かりサービスと連動し、端末の電話帳に登録されている店舗などの情報を自動的に更新してくれる。たとえば、飲食店の電話番号などを登録していれば、その情報を基に、住所やURLなどが追加され、端末の電話帳が更新される。ただ、情報はNTTのiタウンページのデータを利用しているため、URLもiタウンページのものが反映される。


電話帳に店名と電話番号登録しておき、電話帳お預かりサービスと連動させると、住所やURLなどの情報を補完してくれる。ちなみに、このデータは「タリーズコーヒー」という文字列(○○店という店舗名は入力していない)と電話番号のみを登録しておいたもの。URLをクリックすると、iタウンページの該当ページに接続される すでに2週間近く経過した渋滞情報が残っているのは、果たして便利なのだろうか(笑)。多くの情報を扱うサービスだからこそ、センスのいい管理方法を提案して欲しいところだ

 特に、扱いが気になるのは、鉄道運行情報や道路交通情報だ。こうした交通関連の情報は状況が逐次、変化するものだが、iコンシェルのメイン画面には古いデータも残っており、配信回数が増えてくると、非常に邪魔になってくる。正確なことはわからないが、どうも2週間分は端末にデータが残っているようだ。日々、更新される交通情報と週や月単位で情報が配信されるイベント情報などが同列に扱われているのは、あまりにもセンスがないと言わざるを得ない。

 また、配信されるコンテンツの内容についてもすでにメールマガジンの形式で入手できるものもあるうえ、パーソナライズされた情報と言いつつ、天気予報のように、iチャネルと内容が被っているコンテンツも存在する。なかにはプロモーション的な位置付けのコンテンツ、有料会員のみに提供されるコンテンツなどもあり、どこまで利用登録をすればいいのかがちょっと見極めにくい印象だ。ドコモではお試し期間として、30日間、iコンシェルを無料で利用できるようにしているが、この期間中にいろいろと登録して、自分に合ったコンテンツを探すようにするのがおすすめだ。


ヒカリドロップスを活かす新しいボディデザイン

 P-01AはP905iやP906iに続き、Wオープンスタイルを採用しているが、従来の2機種と比べ、ボディ構造上、大きく変更された点がある。ワンプッシュオープンボタンの位置だ。


従来のP906i(中央)やP905i(右)に比べ、P-01A(左)は正面からヒンジの分割部が見えなくなり、トップパネルが美しく仕上がった ワンプッシュオープンボタンの位置がボタン部側に移動した。はじめて持ったときはちょっと戸惑うかもしれない 右側面のヒンジ部分を見ると、ヒンジの構造が変わったことがよくわかる。P-01A(下)はディスプレイ部がL字型になっている

 従来のワンプッシュオープンを採用した端末は、ボタン部側からL字型に飛び出したヒンジ部の横にワンプッシュボタンが装備されていたが、P-01Aではヒンジ部分そのものがボタン部側のボディにまとめられ、それに合わせて、ワンプッシュボタンもボタン部側ボディの側面に装備される仕様となっている。パナソニックによると、従来の構造では端末を閉じた状態で正面から見たとき、ヒンジの分割部分が見え、美しくないため、今回の構造に切り替えたという。確かに、閉じた状態の顔は非常にスッキリとまとめられている。ただ、人間の慣れとは恐ろしいもので、ワンプッシュオープンの端末を右手に持ったとき、本来、人さし指が当たるはずの場所と少しずれた位置にワンプッシュオープンボタンが装備されているため、少し違和感を覚えてしまう。慣れてしまえば、気にならないのだろうが、従来からのPシリーズのユーザーは少し戸惑うかもしれない。


P701iD/P702iDで好評を得たヒカリドロップスが復活した。ホワイトのボディではイルミネーションが浮かび上がるように光る

外部接続端子とイヤホンマイク端子はP706ieのような統合タイプではなく、従来通り、別々に装備される
 トップパネルのデザインがスッキリとまとめられたこともあり、P-01AではP701iD/P702iDで好評を得ていた「ヒカリドロップス」を搭載している。ヒカリドロップスは簡単に言ってしまえば、トップパネル内に装備されたLEDが円状に光るというもので、音声やメールの着信、アラーム、時報、iコンシェルの情報配信、BluetoothやFeliCaの利用、端末を閉じたときなど、さまざまなイベントに応じて、イルミネーションを設定することができる。光り方のパターンを設定できる項目については、43種類ものパターンから選ぶことができる。

 こうした端末のイルミネーションは人気の機能のひとつだが、P-01Aの場合、どうも出荷時設定では光るイベントがかなり多いようで、購入直後はそれこそ四六時中、光っているような印象すらあった。特に、筆者が購入したフロスティホワイトは光がうまく拡散し、ヒカリドロップスがかなり映えるような構造であることも影響したのかもしれないが、これだけ目立つのであれば、そろそろ光り方にも『マナーモード』が欲しいような気もする(笑)。胸ポケットにケータイを入れていて、映画館で映画を観ているときなどに光り出すと、周囲に迷惑を掛けてしまうかもしれないからだ。

 その他の強化ポイントとしては、カメラ、ワンセグなどが挙げられる。カメラは暗いところでも撮影ができる高感度撮影に対応したが、暗いところでの撮影についてはCCDを採用した他機種がラインアップされているので、カメラを重視するのであれば、そちらと比較したうえで判断することをおすすめしたい。

 ワンセグは画質向上などが図られているが、意外に面白そうなのが「あらすじ再生」だ。録画した番組を再生するとき、セリフの有無に応じて、再生速度を変化させ、より短い時間で全体のストーリーをつかめるようにするというものだ。頻繁にワンセグで録画をするユーザーにとっては便利な機能だ。

 なお、同じエンターテインメント機能としては、ミュージックプレーヤーの連続再生時間がSDオーディオと着うたフルで100時間を超え、かなり長時間、楽しめるようになっている。

 この他にも子どもが勝手に触って、誤操作をしないようにする「ボタンロック」、P706ieなどでも採用されていた「ゆったりトーク」、アクトビラ対応のビエラと連動して利用できる「ファミリー伝言板」など、便利な機能も数多く追加されており、P905iやP906iよりも一段を進歩した印象だ。


2WAYキーで横画面のフルブラウザを活用するなら「買い」

2WAYキーで横画面のフルブラウザを活用したいユーザーなら要チェック

横方向で開くときには、相変わらず、スライド式のラッチを操作する必要がある。こういう部分こそ、改善して欲しいのだが……
 さて、最後に「P-01A」の買いのポイントについて、考えてみよう。従来の90Xiシリーズと70Xiシリーズという区分をやめ、新しい4つのシリーズで構成することになったドコモのFOMA端末。PRIMEシリーズに位置付けられるP-01Aは従来のP905iやP906iの流れをくむ端末であり、ドコモ向けパナソニック製端末のフラッグシップに位置付けられる。従来モデルで好評を得たWオープンスタイルを継承しながら、2WAYキーという新しいユニークなキー構造を採用することにより、横画面でのフルブラウザなどを一段と利用しやすく仕上げられている印象だ。その一方、キーの凸感が少なくなっていたり、文字入力の割り当てが変わっていたりするなど、既存のPシリーズのユーザーが戸惑うような要素もいくつか見受けられる。

 これらのことを総合すると、P-01Aを買いと言えるのは、2WAYキーが気に入り、横画面でフルブラウザなどの機能を活用したいユーザーということになる。もちろん、他の機能も十分に充実しているのだが、P-01Aならではのメリットということになれば、やはり、2WAYキーとそれを活かす横画面の機能ということになるからだ。逆に、ディスプレイがQVGAサイズ、カメラが3.2メガピクセルになり、BluetoothやGPSなどの機能を使わないということであれば、近く発売が予定されている「P-03A」を比較対象に加えるのも手だろう。筆者の勝手な予想に過ぎないが、P-03AはP-01Aと比較して、おそらく1万円近く安い価格設定になると予想される。

 また、これはP905iのときから感じていたことだが、Wオープンスタイルは横画面を活かすユニークな構造である半面、側面のスライド式のラッチを操作しなければ、横画面で開けないという制約がある。縦方向がワンプッシュで簡単に開ける割に、横方向で開くのに手間が掛かるというのはやや残念な点であり、そろそろ新しい工夫が欲しいところだ。



URL
  製品情報(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/prime/p01a/
  製品情報(パナソニック モバイルコミュニケーションズ)
  http://panasonic.jp/mobile/docomo/p01a/

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2WAYキーを採用し進化したWオープンスタイル
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(法林岳之)
2008/12/04 16:58

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