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ボーダフォンからソフトバンクに生まれ変わる 「2006年秋・冬サービス&プロダクト」発表
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9月28日、ボーダフォンは10月24日に開始されるMNP、2006年秋冬商戦に向けたサービスと端末を発表した。10月1日、ボーダフォンからソフトバンクに変わることもあり、端末ラインアップもサービス内容もかなり充実した発表だった。詳細については、発表会のレポートを参照していただきたいが、ここでは発表会で短時間ながら試用した端末の印象、発表内容から見えてくる方向性などについて、レポートしよう。
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秋冬モデル13機種
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■ MNP時代へ向けた4つのコミットメント
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4つのコミットメント
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今年、ケータイ業界において、もっとも気になる存在と言えば、やはり、ボーダフォンを買収したソフトバンクということになるだろう。ADSLサービスではかなり強引な手法と批判されながらも各社と激しい価格競争を繰り広げ、他の通信事業者ともに、日本のブロードバンド環境を世界でもっと安いレベルにまで普及させた存在だ。そのソフトバンクが買収したボーダフォンをベースに、10月1日からいよいよ本格的に「SoftBank」ブランドでケータイ事業を展開する。10月24日には番号ポータビリティが開始されることもあり、どのような手を打ってくるのかが非常に注目されていた。
今回の発表では既報の通り、13機種54色展開の新端末、Yahoo!との連携による新サービスなどを発表した。内容なども異なるため、一概に比較できるものでもないが、8月に発表されたauの12機種を超える発表であり、J-フォン及びボーダフォンの時代から見てもおそらくもっとも内容の充実した発表だったと言えるだろう。
今回の発表会において、ボーダフォンはソフトバンクグループ傘下に入ったときから掲げている4つのコミットメントをしきりに強調していた。この4つのコミットメントが実行できれば、MNPでも善戦できるだろうという考えのようだ。
まず、「3Gネットワークの増強」については、現在の25,000ある3G基地局を2007年末までに46,000局にまで拡大するというもので、商業施設や駅、空港、テナントなどを徹底的に改善するとしている。ちなみに、ボーダフォンは今年の8月以降、既存のボーダフォン3Gユーザーを対象に、自宅や勤務先でカバー状況のアンケートを採っており、これらの結果も踏まえて、カバレッジの改善を図るようだ。筆者が利用している範囲では、今年はじめに比べ、若干の改善があるものの、まだまだ他事業者のエリアには追いついていないというのが率直な感想だ。4万6000局の効果がしっかりと体験できる状況になることを期待したい。
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薄型端末を充実
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他社との比較
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2つめのコミットメントは「営業体制の強化」だ。これはボーダフォンショップをリニューアルし、ソフトバンクショップとして展開することなどを意味する。すでに、全国各地のボーダフォンショップはソフトバンクショップに改装され、白とシルバーを基調にした店舗が次々とオープンしている。先般、富田副社長のインタビューに同席した際、量販店への展開もしっかりやっていきたいという趣旨のコメントを聞くことができたが、おそらく、既存の系列店の強化を図りつつ、家電量販ルートを充実させることで、しっかりと商品とサービスが流通するしくみを確立させたいようだ。
3つめは「3G端末の充実」だ。発表会ではAQUOSケータイ「905SH」が3カ月連続でワンセグ端末で1位を獲得したこと、SLIMIA「705SH」が8月度に携帯電話全体の販売実績で1位を獲得したことが紹介された。これに加え、今回の発表では13機種が発表され、10月上旬から順次、販売が開始される。
個々の機種の試用感については後述するが、全体的に見て、いくつか特徴的な点が見られる。ひとつは薄くスリムなケータイが多く、それを強調していたこと。もうひとつはカラーバリエーションの豊富さだ。薄さについては、最薄となる706SCの12.3mmにはじまり、12.9mmの705SC、14.8mmの705P、16mmの705Nの計4機種、これに販売中の705SHを加え、薄型ラインアップの充実を図ったとしている。他社の秋モデル及び秋冬モデルの薄さの平均値を算出し、自社との比較をしていたのが印象的だった。確かに、スリムなケータイはビジネスマンなどにとって、ポケットに入れても持ち歩きやすいというメリットがあり、ユーザーにもアピールしやすい。すでに販売されている705SHも2Gから3Gへの移行ユーザーに支持されているという分析もある。ただ、ユーザーは薄さだけで端末を選ぶわけではなく、実際には使い勝手や機能、デザインなども重要であり、ユーザーとしてはそれらの点もしっかりとチェックしたうえで、購入の検討をすべきだろう。
一方、カラーバリエーションの豊富さは、正直なところ、驚かされた。すでに、SoftBankロゴへの変更に伴い、705SHで追加カラーのモデルが相次いで発売されたが、今回はそれにも増して、機種ごとに7色や8色といったカラーバリエーションを数多く用意している。カラーバリエーションが増えることで、ユーザーには積極的にボディカラーを選ぶ楽しさを提供できるが、実はボーダフォンにとってもカラーバリエーションが増えることで、家電量販店などでは展示スペースを確保しやすいという副次的なメリットがあるだろう。カラーバリエーションが増えれば、商品点数が増え、在庫管理などが難しくなるリスクが指摘されたが、その点については「ソフトの流通で何万という商品を流通させてきたノウハウがあり、それを活かせば、十分に対応できる」としている。また、デザインについては一部のモデルでカラーやボディデザインのテイストが従来と少し違うという印象もあった。正確なことはわからないが、デザイン面でも何らかのテコ入れが図られているのかもしれない。
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Yahoo!でコンテンツも強化
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そして、4つめのコミットメントは、「サービス&コンテンツ強化」だ。この点については買収当時から噂されていた通り、端末に「Y!」ボタンを付け、Yahoo!へのアクセスを容易にしている。ここで表示されるYahoo!ケータイのメニューは、基本的にPC向けにYahoo!が展開しているものとほぼ同等で、その多くは無料で利用できるという。孫社長はプレゼンテーションと質疑応答において、「パソコンのYahoo!で無料で提供されているものをわざわざ有料にする必要はない」「パソコンで一番のYahoo!のコンテンツがそのままケータイで見られるのだから、コンテンツの充実度は一番」と話し、その優位性を強くアピールしていた。ユーザーの視点で見れば、多くのコンテンツが無料で利用できるのはうれしいことだが、既存のコンテンツプロバイダから見れば、たまったものではない。ただ、フルブラウザの登場により、ケータイ向けコンテンツはビジネスのあり方が変わりつつあり、今回のYahoo!という巨大なコンテンツが登場により、ビジネスモデルそのものも含め、今後、さらにドラスティックな変化が起きるタイミングなのかもしれない。
これに対し、業界的にも各方面から期待されていた料金プランなどの施策については、特に新しい発表がなかった。孫社長は「大人のソフトバンクとして、ユーザーの声を聞きながら、考えていきたい」とコメントするにとどまったが、きわめて現実的な回答と言えそうだ。今さら説明するまでもないが、ソフトバンクは買収に伴い、多額の借金をしている。その借金はボーダフォンがきちんと事業を継続し、利益を生み出すことを前提に金融機関が貸し出している。そのため、無茶な料金施策を打ち出し、利益を減らしてしまったり、借金を増やすようなことはできないわけだ。ただ、スーパーボーナスの内容を見てもわかるように、企業としてお金を効率良く使うことはしっかりと考えられているようなので、今後、販売や営業などの面において、新しい施策を打ち出してくる可能性はあるだろう。
■ 13機種54色という強烈なラインアップ
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発表された端末は13機種54色
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さて、端末についても少し紹介しておこう。ただ、今回は端末の試用時間がいつもにも増して短く、ほんの一瞬しか触れなかったものも多いので、ここでは手短に筆者の得た印象だけをお伝えしておく。具体的な機能などについては、本誌の発表会レポートの各機種の情報を参照して欲しい。
● 910SH
500万画素と光学3倍ズームのカメラを搭載したフラッグシップモデルだ。スペック的に904SHの後継になるが、従来の903SHやV604SHの雰囲気も受け継いだデザインとなっている。光学3倍ズームは光学2倍ズームのときのような切り替え式ではなく、10段階でズームを変更することができた。
● 810SH
トップパネルに斜めのブリリアントフェイスデザインを採用したモデル。背面のディスプレイも菱形の枠にするなどの凝ったデザインが特徴的。サイズ的には705SHなどに近いが、ボタンも大きく押しやすい。VGA表示が可能な液晶ディスプレイを採用するなど、スペック的には1クラス上の印象だ。
● 811SH
スペック的には810SHとほぼ共通だが、外装パネルにディンプルフェイスデザインを採用することで、男女ともに幅広いユーザーに持てるようにしている。大きく押しやすいボタン、VGA液晶ディスプレイなども810SHと共通スペックとなっている。
● 910T
Bluetoothでワイヤレスによる音楽再生が可能なモデル。外見は従来の904Tに近く、ヒンジ部分に液晶ディスプレイ反転時に利用できる操作キーをヒンジ部分に備える。音楽再生は有線でのステレオイヤホンマイク利用時に24時間の連続再生が可能。付属のBluetoothステレオヘッドセットは購入後にペアリング(登録操作)が必要。
● 810T
20mmというスリムなボディながら、使いやすさを考えたモデル。キーは中央が少し盛り上がったドーム型キーを採用。アドバンストシンプルモードを搭載し、シニアユーザーにも受け入れられそうな端末だが、デザイン的に「シニア端末らしさ」が感じられない上手なまとめ方をしている。
● 811T
基本的なスペックは810Tとほぼ共通だが、ボディカラーやデザインをポップなものにすることで、若年層の取り込みも狙ったモデル。ドーム型キーは810Tと共通だが、閉じたままでも音楽再生ができるミュージックコンソールは811Tのみの搭載。パソコン側で音楽データを管理するアプリケーションは、810T/811Tともに「BeatJam 2007」を採用する。
● 705P
ボーダフォン3Gでは初のPanasonic製端末。14.8mmという薄さながら、Panasonicお得意のワンプッシュオープン機構を採用。ボタンはフラットだが、クリック感はある。デザイン的にはクセがなく、さっぱりした印象。カラーバリエーションの多さと相まって、幅広い層に受け入れられそうな端末だ。
● 705SC
SSからSCへ、型番のメーカー表記が変わったサムスン電子製端末。スライド式ボディでは世界最薄となる12.9mmを実現。スリムながらもボディの剛性感を確保している。開閉はボディ上部側(液晶ディスプレイ部側)を親指で押すようにして開く。閉じた状態でのキーロックが可能で、一時解除の機能も備える。スライド開閉の機能連動は音声通話(応答)のみとなっている。
● 706SC
折りたたみデザインの端末としては、国内最薄の12.3mmを達成。剛性感は705SC同様、あまり問題はなさそうだが、フラットなボタン部はクリック感がか硬く、長いメールを入力すると、指が疲れてしまいそうな印象が残った。705SCと706SCはボディ幅が少し広いため、手の大きさや指の長さによっては操作しにくいかもしれない。
● 705NK
NOKIAが海外で「N73」として販売しているモデルのボーダフォン向けモデル。カメラは背面に内蔵されており、スライド式のカバーを開けると、カメラ機能も起動する。ストレート型ボディということもあり、ボタンは日本製端末に比べると、かなり小さく、入力には慣れが必要。操作のレスポンスはまずまずの印象だ。
● 705N
今回発表された端末の中で、もっともシンプルな印象を受けた端末。ボディは16mmと薄いが、表裏ともにスッキリとしたデザインなうえ、カラーリングは3色のみで、外見上の特徴は非常に少ない。
● X01HT
Windows Mobile 5.0を搭載したhTc社製のスマートフォン。基本的な仕様や外見はNTTドコモに法人向け商品として納入される「hTc Z」と共通だが、X01HTは一般ユーザー向けに販売される。HSDPA方式を採用した3Gハイスピードに対応し、IEEE802.11b/g対応の無線LANも搭載されるため、モバイルユーザーにはかなり注目を集めそうな存在だ。QWERTY配列のキーボードは少し配列にクセがあるが、タイプはしやすい。
● C01SI
3Gハイスピード(HSDPA)に対応したセイコーインスツルメンツ製データ通信カード。OSはWindowsをはじめ、Mac OS、Linux(ザウルス)に対応する。
■ 『大人のソフトバンク』はMNPを戦い抜けるか
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「大人のソフトバンク」をアピールする孫社長
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10月1日からの社名及びブランド変更、10月24日からのMNP開始を控え、いよいよ本格的に動き出した『SoftBank』のケータイ事業。当初、業界内ではかつてのYahoo!BBのようなアグレッシブな展開を期待、もしくは危惧する声も多かったが、いざフタを開けてみれば、端末ラインアップを拡充し、Yahoo!という強力なコンテンツで押すという真っ当な手法でMNP商戦に挑んできた。孫社長が記者会見でしきりに『大人のソフトバンク』というキーワードを使っていたのが印象的だった。
ただ、『大人のソフトバンク』という表現は、決して「おとなしくなった」「攻めない」といったネガティブな意味ではない。カラーバリエーションで全54種類も市場に投入し、さらに2機種10色を追加する予定を明らかにするなど、他事業者に取ってみれば、十分に脅威となり得るだけのパワーを持ち合わせている。もちろん、今回の発表内容が実際に効果を発揮するには、販売店や販売スタッフのサポート、新サービスのアナウンスやユーザーへのわかりやすい説明など、やらなければならないことも多いはずだ。
正直なところを言ってしまえば、筆者はボーダフォンがソフトバンクになり、MNPを迎えるという状況を考えたとき、SoftBankブランドのケータイはかなり苦戦を強いられるだろうと予想していた。しかし、今回の発表を見る限り、端末もコンテンツもきちんと揃えられており、他事業者と戦えるだけの体制を整えたという印象を得た。ユーザーへのきちんとした説明、メーカーやコンテンツプロバイダとの関係、販売店のサポートなど、課題は数多く残されているが、新端末や新サービスの展開を楽しみに待ちながら、新生ソフトバンクのお手並みをじっくりと拝見したい。
■ URL
ボーダフォン(10月1日よりソフトバンクモバイル)
http://www.vodafone.jp/
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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