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MNPを見据えた各社の2006年春モデル~ボーダフォン編~
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、PDAに至るまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindowsXP基本編完全版」「できるVAIO 基本編 2004年モデル対応」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。asahi.comでも連載執筆中


ユーザーの方向性に合わせた4機種を投入するボーダフォン

左から「804SS」「804N」「904T」「V403SH」

左から「804SS」「804N」「904T」「V403SH」
 ボーダフォンは2006年春モデルとして、Vodafone 3Gを3モデル、PDCを1モデルの合計4モデルを発表し、同時に複数の新サービスの開始を明らかにした。ボーダフォンは一昨年末に投入したグローバル仕様の3G端末の反応が芳しくなく、昨年前半はかなりの苦戦を強いられたが、昨年後半にはユーザーインターフェイスを改良した3G端末を投入し、昨秋には特定の人と通話やメールが使い放題になる「LOVE定額」を開始するなど、徐々に巻き返しを始めている。

 今回発表された新モデルは、国内初参入となるサムスン電子製「804SS」、フラッグシップと位置付けられたフルスペックの「904T」など、モデル数こそ、多くはないものの、話題性のあるラインアップとなっている。発表会で試用した印象を紹介しよう。


804SS

804SS
●804SS

 「804SS」は、以前から国内市場参入が噂されていたサムスン電子製端末だ。サムスン電子と言うと、国内ではパソコン用液晶ディスプレイなどが知られているが、ケータイの世界ではノキア、モトローラに次ぐ世界第3位のシェアを持つメーカー。本誌の海外イベントのレポートを見てもわかるように、デザインや機能面でも話題性の多い商品を開発することで知られている。804SSは、14.9mmという薄さを実現した端末で、デザイン的にもなかなかスタイリッシュにまとめられた印象だ。フラットな仕上げのボタン部分が特徴的だが、ボタンのタッチもそれほど悪くなく、慣れれば、軽快に入力できそうだ。

 気になる日本語入力やメニュー画面も日本市場を意識した内容になっており、違和感のないレベルに仕上げられている。機能面ではBluetoothやドキュメントビューアー、音楽再生機能をサポートしており、若いビジネスマンを中心に人気の出そうな端末と言えそうだ。気になる点があるとすれば、外部メモリカードに対応していないこと、充電器を接続する外部接続端子が独自形状であることだろう。


804N

804N
●804N

 従来のNEC製Vodafone 3G端末は、3Gでありながら、国際ローミングに対応していなかったが、今回の「804N」はW-CDMA/GSM(900/1800/1900MHz)の両方式に対応する。

 デザインは全体的にポップなイメージで、サイズも比較的コンパクトにまとめられている。特徴的なのは、450MBという大容量の内蔵メモリだろう。カメラで撮影した画像やムービー、コンテンツの保存先として利用できるだけでなく、音楽再生機能にも利用できるため、とりあえずはメモリカードを買い足すことなく、さまざまな機能を活用できる。ちなみに、音楽再生機能はAAC、セキュアMP3形式に対応し、背面ディスプレイ横には音楽再生時に利用するミュージックアシストボタンを備える。

 メモリカードについては、miniSDカードよりもひと回り小さいmicroSDカードを採用しているが、microSDカードは今のところ、最大512MBまでの製品しか流通しておらず、価格も1万円程度とminiSDカードに比べてやや割高だ。microSDカードは将来的に主流になると言われているが、804Nのような位置付けの端末に搭載するべきだったかどうかは、やや疑問の残るところだ。全体的に見て、音楽ケータイに興味がある女性を中心としたユーザー層にウケそうな端末と言えるだろう。


904T

904T
●904T
 Vodafone 3Gでは着実に新サービスをサポートしてきた東芝製の最新モデルが「904T」だ。902T、903Tに引き続き、二軸回転式ヒンジを採用しているが、同社で採用されてきた従来の二軸回転式ヒンジでは、液晶ディスプレイを回転させる軸がボタン面側に装備された構造であるのに対し、904Tでは液晶ディスプレイを回転させる軸が折りたたみヒンジの上に載る構造に変更されている。液晶ディスプレイを反転させたときの操作性を考慮し、ヒンジ部には方向操作と決定操作をする5つのキー、液晶ディスプレイしたに2つのソフトキーを備える。


903Tでは、ボタン面側に液晶回転軸を装備し、その上に折りたたみヒンジ 904Tでは、折りたたみヒンジの上に液晶回転軸が載っている

 対応サービスもVodafone live! FeliCaやVodafone live! NAVI、新サービスのVodafone live! CAST、ボーダフォンアドレスブックと、ほぼフルカバー。音楽再生やBluetoothなどもサポートしており、フラッグシップモデルに相応しいスペックとなっている。ただ、残念なのは320万画素というハイスペックのカメラを搭載しながら、オートフォーカスに対応せず、接写切替対応のパンフォーカスとなっている点だろう。


V403SH

V403SH
●V403SH
 「V403SH」は今回発表された中で、唯一のPDC端末だ。ボーダフォンではVodafone 3Gのエリアを急速に拡大しているが、地方や郊外などで不十分な地域もあるため、PDC端末のラインアップはまだ欠かせないところだ。

 V403SHは疑似パケット通信を利用するV40Xシリーズのモデルだが、従来のV401SHやV402SHとはまったく違う方向性の端末だ。従来のV402SHはアナログテレビチューナー機能を搭載しながら、コンパクトなボディに高機能を詰め込んだモデルだったが、V403SHはテレビチューナー機能などを省き、使いやすさとファッション性を重視したモデルとしてまとめられている。使い勝手については、昨年発売されたV501SHを継承しており、ワンタッチでか文字モードやシンプルメニューなどもサポートされている。シンプルなケータイは欲しいが、デザインやファッション性は重視したいというユーザーに向けた端末だ。


楽しさと実用性を考えた新サービス

 ボーダフォンは今回の新機種発表に合わせ、新サービス「デルモジ表示」「Vodafone live! CAST」「ボーダフォンアドレスブック」を発表した。


受信メールの絵文字やキーワードを判別して、受信メールを3Dアニメーション表示で楽しめる
 まず、デルモジ表示は簡単に言ってしまえば、絵文字を利用した3Dアニメーションのメールサービスだ。絵文字が含まれたメールを受信すると、メールの表示画面で文章をタイプするように表示しながら、途中の絵文字がアニメーションするという仕組みだ。

 アニメーションも絵文字が既定のサイズでチマチマと動くのではなく、画面の半分程度まで、一気に拡大されて表示される。文章にするとイメージが伝わりにくいのだが、見た目のインパクトはかなり大きく、何気ないメールもかなり表現力の豊かなメールになるという印象だ。ちなみに、デルモジ表示はメールを受信した端末側の表示機能であるため、送信側はいつもと同じように、絵文字を使ったメールを送信するだけだ。


 次に、Vodafone live! CASTだが、auのEZチャンネルやNTTドコモのiチャネルなどと同じような配信型サービスだ。あらかじめ申し込みをしておけば、深夜2:00~7:00の間にデータが配信され、通勤や通学の際、空き時間にコンテンツを閲覧できるという仕組みだ。コンテンツはWebマガジンのような形式で構成され、端末のブラウザで閲覧をすることになる。1日に最大1MB、一週間で合計3MBが配信されるが、配信時のパケット通信料は付加機能使用料(月額315円)に含まれる。今回はシンプルなサンプルページしか見られなかったが、ボーダフォンのPDC端末向けサービスで提供されている「ステーション」をリッチにしたようなコンテンツが配信されるようだ。最終的にはコンテンツの中身次第だが、今後が期待できそうなサービスのひとつだ。


Vodafone !ive! Castは、夜間にコンテンツを配信するサービス 利用料は月額315円。コンテンツはWebマガジンのような形式で構成され、端末のブラウザで閲覧をすることになる

ボーダフォンアドレスブックの設定画面
 3つめのボーダフォンアドレスブックは、端末の電話帳データを専用サーバーにバックアップしたり、パソコンからインターネット経由でサーバー上の電話帳データを編集できるサービスだ。パソコン上で利用しているOutlookとのインポートやエクスポート、相手先の誕生日を知らせてくれるバースデー通知などの機能も用意される。端末からのアップロードやダウンロードにはパケット通信料が掛かるが、パケット定額を契約しているユーザーなら、気にせずに利用することができる。

 この他に、3G向け留守番電話サービスの付加機能として、着信履歴に残らない着信(エリア外に居たときなど)をSMSで通知してくれる着信お知らせ機能も2月14日から導入される。同様のサービスはNTTドコモのFOMAでも提供されているが、地下やビル内などのエリア外に居たときや電源を切っているときでも着信があれば、エリア内に戻ったときに発信者電話番号を知ることができるので、エリアに不安を持つユーザーには嬉しいサービスと言えるだろう。


本格的な攻勢はこれから

 今回のボーダフォンの発表では、執行役副社長の野副正行氏、専務執行役の太田洋氏が説明を行ない、「2006年は番号ポータビリティもあり、市場はまだまだ難しい状況だが、2006年は攻勢の年と考えている」と意気込みを語った。

 冒頭でも触れたように、ボーダフォンは一昨年のVodafone 3G端末投入時、さらにさかのぼれば、J-フォンからのブランド移行時などに、ややユーザーのニーズを軽視したような動きが見られた。

 しかし、今回の発表、昨年のLOVE定額などを見る限り、そういった姿勢はほぼ解消され、従来のJ-フォン時代にあったようなユーザー第一の姿勢を取り戻しつつあるようだ。今回の発表されたラインアップには、噂されているワンセグ対応端末がなかったり、モバイルSuica対応が遅れていることなど、まだまだ不足が感じられる面も残されているが、今後のさらなる攻勢に期待の掛かる発表内容だったと言えるだろう。



URL
  ボーダフォン
  http://www.vodafone.jp/

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202万画素カメラ搭載のPDC端末「V403SH」
コンテンツ配信サービス「Vodafone live! CAST」
サーバーにアドレス帳を保存できる「Vodafone Address Book」
メールを3Dアニメで表示する「デルモジ表示」


(法林岳之)
2006/01/24 11:00

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