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NTTドコモ/パナソニック モバイルコミュニケーションズ『P901iS』。サイズ:49×102×25mm、115g。ブラック×スモーク(写真)、シルバー×GEKKA、レッド×ディンプルをラインナップ
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カスタムジャケットで『着せかえケータイの定番』というイメージすら定着したFOMAのP90Xiシリーズ。その最新端末となるP901iSでは、光を組み合わせることで、さらに楽しくケータイを使えるようにしている。筆者も実機を購入したので、レポートをお送りしよう。
【この端末のチェックポイント】
- ヒカリ×カスタムジャケット
- SD-Audio対応
- 基本機能をチェック
- こんなユーザーにおすすめ
■ ヒカリ×カスタムジャケット
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P900i(左)、P901i(中)、P901iS(右)と進化してきたカスタムジャケット。P901iSは周囲に丸みが付き、端末と一体感が出ている
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P900iではじめて採用されたカスタムジャケット。それまで、着せかえと言えば、他社のイメージが強かったが、P900i以降、すっかりFOMA P90Xiシリーズ(P900iVなどを除く)が着せかえケータイの代名詞的存在になりつつある。その後、N700iやN701i、auの一部の機種でも着せかえデザインが実現されたが、ここ1年半ほどの間に築かれたアドバンテージは大きく、家電量販店やデパートのケータイ関連商品を扱うコーナーを見てもカスタムジャケットのバリエーションは他を圧倒している。
今回紹介するP901iSも継続して、カスタムジャケットを採用している。従来モデルとは形状が異なっているが、周囲の4カ所をナットで固定するというコンセプトは受け継がれており、P901iに続いて、ジャケットがない状態で利用する「ノンジャケスタイル」も継承されている。ただ、今回のノンジャケスタイルはややむき出しっぽいイメージが強く、個人的には今ひとつしっくり来ない。カスタムジャケットの形状は従来が平らな板状だったのに対し、P901iS用は少し周囲に丸みが付けられ、ボディにフィットするような構造になった。ちなみに、カスタムジャケットはサードパーティ品も数多く登場し、バリエーションが増えているが、P901iSはカスタムジャケットの形状が独特なため、サードパーティの製品ではうまくフィットしないものがあるかもしれない。
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サブディスプレイ横に装備された49個のLEDがカスタムジャケットに透けて光る。光り方のパターンもバリエーションが多い
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プリインストールiアプリ「ジャケットコーディネーター」でカスタムジャケットに合わせた光り方を一括ダウンロード、設定することが可能
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P901iSのカスタムジャケットがもうひとつ特徴的なのは、「プライベートウィンドウ」と呼ばれるサブディスプレイ横に装備された「ドットエリア」の存在だ。7×7ドット、合計49個のLEDを本体に組み込み、カスタムジャケットから透けるように光らせることで、さまざまな演出や情報表示を可能にしている。たとえば、オプションのカスタムジャケットにある「YOZORA」に合わせ、LEDを花火のように光らせたり、「GEKKA」に合わせ、ホタルが光っているように見せるなどの演出が可能だ。ちなみに、カスタムジャケットに合わせたLED点灯は、プリインストールiアプリ「ジャケットコーディネーター」でダウンロードすることができる。
一方、LEDを利用した情報表示としては、時刻や発着信、メール受信時などの状態表示、後述する音楽再生機能でのイコライザ表示(曲調には連動しない)などがあり、プリインストールのiアプリ「インフォスクリーン」を組み合わせることにより、天気予報などをアイコンで表示するといった新しい試みも見られる。この他にも同じくプリインストールiアプリの「ドットクリエイター」を利用し、自分だけのLEDの光り方を作り出すこともできる。
ユーザーが手軽に個性を主張できることで、人気を集めてきたカスタムジャケットだが、P901iSではLEDの点灯をはじめ、クリアジャケットの採用、ジャケットコーディネーターによる一括カスタマイズ、パソコン上でデザインを作成できる「P-jacket Creator」の提供などにより、さらに一歩進んだカスタマイズをできるようにしている。最近、ケータイにデコレーションを施すユーザーを見かけるが、P901iSのカスタムジャケットによるカスタマイズであれば、ケータイのオリジナルのスタイルを壊すことなく、「Myケータイ」を主張することが可能なため、カスタム派にはかなり大きな魅力と言えるだろう。
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プリインストールiアプリ「ドットクリエイター」でオリジナルの光り方を作成することもできる
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プリインストールiアプリ「インフォスクリーン」でダウンロードした天気予報などの情報をアイコンでドットエリアに表示することもできる
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■ SD-Audio対応
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P901iSのCD-ROMに収録されている「SD-Jukebox V5 Light Edition」。Standard Editionとは、音楽CDからMP3形式の音楽データを生成できるかどうかなどが異なる
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P901iSのもうひとつのセールスポイントは、音楽再生機能への対応だ。FOMA端末ではFシリーズやD901iSがiTunesで生成したAACファイルの再生に対応した音楽プレーヤーを搭載しているが、これらは著作権保護機能を利用しておらず、iTunesさえあれば、手軽に利用できる。その半面、私的録音補償金制度にiPodなどの汎用的なデジタルオーディオプレーヤーを含めるかどうかの議論などもあり、著作権保護機能を利用していないケータイの音楽再生機能は今ひとつ安心して利用できず、着うたなどを提供するコンテンツプロバイダにとっても歓迎しにくい面もあった。
これに対し、P901iSは著作権保護機能に対応したSD-Audioによる音楽再生機能を搭載しており、パッケージ内のCD-ROMにはSD-Audioに対応した「SD-Jukebox Ver.5 Light Edition」が収録されている。同方式による音楽再生機能は、同じNTTドコモのP701iD、ボーダフォンのシャープ製端末や三洋電機製端末、auのW32HやW31SA/IIなどが販売されている。SD-Audioはここのところ、急速に対応製品や対応サービスが増えており、SDオーディオプレーヤーやミニコンポなどもラインアップが増え、ニフティが開始する音楽配信サービス「MOOCS」でもSD-Audioが採用されている。
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USBモードで「miniSDモード」を選択すれば、FOMA USBケーブルで接続すると、著作権保護機能対応の外付けドライブとして認識される
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音楽再生機能を利用するための基本的な流れは他機種同様で、同梱の「SD-Jukebox V5」をパソコンにインストールし、音楽CDから取り込んだAAC形式の音楽データをminiSDカードに保存。あとはP901iSのデータBOXからSDオーディオを選択すれば、音楽再生ができるようになる。音楽CDからの取り込みはいったんパソコンに取り込むという形でもかまわないし、音楽CDから取り込みながら、自動的にminiSDカードにチェックアウト(書き込む)するという手順でも操作できる。MP3形式の音楽データをAAC形式に変換して、書き込むことも可能だ。
一部のSD-Audio対応ケータイでは、著作権保護機能に対応したメモリカードリーダーを別途、用意しなければならなかったが、P901iSは端末本体に同じ機能が搭載されており、別途、カードリーダーを購入する必要はない。P901iSのUSBモードを「miniSDモード」(USBマスストレージで動作するモード)に切り替え、パソコンとP901iSをFOMA USB接続ケーブルで接続すれば、P901iSが外付けの著作権保護機能対応のカードリーダーとして認識されるしくみだ。
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音楽再生の画面には曲名やアルバム名が表示される
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再生モードはリピートやランダムなどにも対応する
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音楽プレーヤーの機能としては、早送りや巻き戻し、スキップ(次の曲や前の曲)などの基本操作、リピート(1曲/全曲)、ランダム、ランダムリピートが選べる再生モード、プレイリストの変更、ノーマルやS-XBS、トレインが選べる音質モードなどがあり、曲名やアーティスト名などの情報ももちろん、表示される。ただ、ヘッドホンは同梱されておらず、別売の平型ステレオイヤホンセットP01などを別途、用意する必要がある。最近は音楽再生機能を搭載したケータイも増えたため、純正品以外でもも平型コネクタに接続できるヘッドホンが販売されているので、それらを利用するのも手だろう。
再生中の操作としては、iモードのコンテンツ閲覧、メールの送受信などができる。MAIN MENUに表示されている機能のうち、ツールグループ(「データBOX」「ツール」「電話帳」「ユーザデータ」)に含まれるものを起動しようとすると、切り替えを促す画面が表示される。ただし、メール作成時の電話帳参照などで切り替わることはない。音楽再生中に着信すると、設定した着信音が割り込む形で鳴るが、通話などが終了すれば、再生中だった曲の途中から再開することができる。プレイリストにも対応しているが、新規作成はプレイリスト一覧画面からではなく、曲一覧画面から作成する仕様になっており、少しわかりにくい。ちなみに、SD-Jukebox V5でminiSDカード上に作成したプレイリストを再生することも可能だ。
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音楽再生中に待受画面に戻るには、[TASK MENU]から切り替える必要がある。もっと簡単に戻れるようにできないものだろうか
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認識できるminiSDカードは256MBまで。512MB以上は認識しないように制限が掛けられている。非常に残念な仕様だ
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ただ、実際に使ってみて気になるのは、操作の煩雑さとメモリカードの対応だ。まず、音楽再生機能は待受画面から数ステップで起動しなければならず、音楽再生の画面から待受画面に戻るのに、[マルチ]ボタンを押して、[TASK MENU]で切り替えなければならない。メモリカードも最大256MBまでの対応となっており、512MBや1GBのカードは認識しない(制限が掛けられている)。音楽CDから取り込みときのビットレートを128kbpsに設定すると、実質的には音楽CD4~5枚分程度しか保存できない計算だ。カメラなどで他のデータも保存することを考慮すれば、実質3枚分強といったところだろうか。ビットレートを低くするという解決策もあるが、miniSDカードはすでに512MBのものが5,000~7,000円台、1GBのものもすでに1万円を切っている状況を考えると、せっかくの音楽再生機能の魅力が半減してしまう残念な仕様だ。ちなみに、miniSDカードの制限は同じアーキテクチャを採用する他のFOMA Pシリーズや兄弟分とも言えるFOMA Nシリーズでも同じ対応となっている。
■ 基本機能をチェック
続いて、基本的な機能をチェックしてみよう。P901iSのユーザーインターフェイスは、基本的にP900iやP901iのものを継承している。メニュー画面は9分割のアイコン表示を採用し、ユーザーが自由に設定できる一覧形式の「プライベートメニュー」、カメラやピクチャビューアなどの機能が登録されている「ショートカットメニュー」も用意されている。この3つのメニュー画面は[メニュー]ボタンをくり返し押すことで、順番に表示される。ちなみに、MAIN MENUの画面については、前述のiアプリ「ジャケットコーディネーター」などで、デザインを変更することも可能だ。
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基本となる[MAIN MENU]の画面。FOMA Pシリーズではおなじみの画面だが、操作のレスポンスがあまり良くない
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[プライベートメニュー]はユーザーが自分で選んで機能などを登録できる
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メールの仕様も基本的にはP901iなどと同じで、フォルダによる管理、メールアドレスや件名による自動振り分け、不要なメールを優先的に削除するゴミ箱などの機能も継承されている。P901iSでは新たに特定の人とのメールのやり取りを一覧できる「メール送受信一覧表示」、画面を上下に分割表示して、受信メールを見ながらの返信メール作成、メール一覧画面で本文表示など、細かい部分の改良が加えられている。日本語入力は通常のかな入力や2タッチ入力、T9入力をサポートしているが、相変わらず、メール作成画面でインライン変換ができない、マルチタップ時に逆順操作([1]を4回押して表示される[え]を[う]や[い]に戻す操作)で側面の[モード/ホーム]ボタンを押さなければならない、予測変換候補の選択にコマンドナビゲーションキーの下方向を長押ししなければならないなどの不満も残されている。他の最新端末に比べ、そろそろユーザーインターフェイスが古めかしく見えてしまうのは筆者だけだろうか。
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カメラ機能や使いかたナビ、SDオーディオ(音楽再生)などが並ぶ[ショートカットメニュー]
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文字入力中、逆順操作をするには、側面にある[モード/ホーム]ボタンを押さなければならない
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カメラはオートフォーカスに対応していないため、左側面に接写切り替えスイッチが装備されている。ただし、接写モード時に画面にガイダンス(アイコン)が表示されないので、設定ミスに注意が必要
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カメラはメイン側が202万画素νMaicovicon、イン側が10万画素のCMOSイメージセンサーを採用する。オートフォーカス機能は搭載されていないが、メインカメラでは最大1,600×1,200ドットでの撮影が可能だ。撮影した画像は本体メモリおよびminiSDカードに保存でき、サムネイル形式及び一覧形式で画像を閲覧することができる。フォルダ内でのスライドショー再生も可能だ。
901iSシリーズはFeliCa搭載が標準仕様となり、P901iSもFOMA Pシリーズとして初めてFeliCaを搭載している。FeliCaはボタン部の背面に内蔵されているが、少し大きなプロテクターを装備することで、リーダー機器と接触したときの衝撃を緩和できるようにしている。セキュリティ機能については901iSシリーズ標準仕様のFeliCaロックが搭載されている。P901iSでは[メニュー]ボタンの長押しだけで、ロックと解除を切り替えられるほか(解除時は端末暗証番号の入力が必要)、一定時間(5分、60分、180分で設定)、操作がないときに自動的にFeliCaをロックした状態に切り替えられるタイマーロックも搭載されている。これに加え、オムロンが開発したフェイスリーダー(顔認証)によるロック機能も搭載されているが、コンビニエンスストアなどで支払いをするたびに顔認証の操作をするのはかなり勇気のいる行動なので(笑)、今ひとつ実用性はないと見ている。
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ボタン部背面にFeliCaを搭載。端末をリーダーに当ててしまうことを考慮し、少し柔らかいパッドを装着している
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[メニュー]ボタン横の印刷でもわかるように、[メニュー]ボタンの長押しでFeliCa機能をロックすることができる
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その他の機能では、901iSシリーズの標準仕様として搭載された「PDF対応ビューア」、端末の機能をキーワードや音声入力で検索できる「使いかたナビ」、電源ON時に自動的に時刻設定を行なう「自動時刻設定」、声で電話帳を呼び出す「ボイスダイヤル」などが新たに搭載されている。音声入力はなかなか面白い機能で、今後のアレンジ次第では発展が期待できそうだが、ケータイを頻繁に利用する公共の場所で声を出して操作をするのは、今ひとつ恥ずかしいものなので、クルマや屋内での利用などに活用できる機能の登場を期待したいところだ。
こうした機能以外の面で気になったのは、全体的な操作感だ。正直に書いてしまうと、901iSシリーズの中でもっともキーのレスポンスが悪く、だんだんイライラしてきてしまうくらいだ。初期のFOMAは操作のレスポンスが今ひとつの端末がいくつかあり、世代を追うごとに少しずつ改善されてきた印象だ。たとえば、Symbian OSを採用したFOMA Fシリーズは世代を追うごとに操作感が改善された顕著な例だ。これに対し、これに対し、FOMA PシリーズはFOMA Nシリーズと共通のLinuxベースのプラットフォームを採用しており、ムーバよりは遅さを感じるものの、個人的には何とか我慢できる範囲だった。しかし、P901iSでは世代が進んだにもかかわらず、なぜかレスポンスが一段と悪くなっている。特に、MAIN MENUの画面は明らかに反応が遅く、かなりストレスを感じる。ぜひ、次期モデルでは操作の軽快さという点にも配慮して欲しいところだ。
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FeliCaのロックを解除後、一定の時間経過後、自動的にロック状態に戻すことも可能
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フェイスリーダーでさらにセキュリティを強化できるが、実際の操作が煩雑なため、今ひとつ実用性は低いような……
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■ カスタムジャケットをとことん楽しみたいなら「買い」
最後に、P901iSの買いのポイントについて考えてみよう。カスタムジャケットというコンセプトで、FOMAの人気モデルに定着したFOMA Pシリーズ。P901iSではLEDによる「ヒカリ」という演出を加え、「ドットクリエイター」や「ジャケットコーディネーター」といったiアプリを組み合わせることで、一段とカスタムジャケットを楽しめる環境を整えている。「Myケータイ」で個性を主張したいユーザーにとって、進化したカスタムケットはかなり魅力的なものだろう。音楽再生機能については、miniSDカードが256MBまでという不満が残るものの、著作権保護機能で安心して音楽を楽しめること、パッケージに「SD-Jukebox V5」が同梱されていること、著作権保護機能対応リーダーを端末自身で実現していることなど、使いやすい環境がひと通り整っている。SD-Jukebox V5のユーザーインターフェイスがやや独特なため、初心者は少し迷うかもしれないが、注目の音楽再生機能をきちんとサポートしたことは評価できるだろう。
以上のことを総合すると、P901iSはカスタムジャケットをとことん楽しみたいユーザー、音楽再生機能を利用したいユーザー向けということになる。特に、カスタムジャケットとLEDによるヒカリを組み合わせた環境は、ユーザーの工夫次第で、さらに楽しく演出できる可能性を秘めている。友だち同士でいろいろな演出方法を教え合うのも楽しそうだ。惜しむらくは最後に触れた端末の操作レスポンスで、この点だけは実際に動作する端末を触って、自分で許容できる程度か否かを判断して欲しい。
■ URL
ニュースリリース(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/page/20050606.html
ニュースリリース(パナソニック)
http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn050606-1/jn050606-1.html
製品情報(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/901i/p901is/
製品情報(パナソニック)
http://panasonic.jp/mobile/p901is/
SD-Jukebox Ver.5 Light Edition(パナソニック)
http://panasonic.jp/support/software/sdjb/prod/v5/v5le/
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(法林岳之)
2005/10/04 12:28
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