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お得意の「連携」でシリーズを強化したau 2005年夏モデル
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auは5月23日と26日、さらに6月3日と発表会を相次いで行ない、2005年夏モデルを発表した。一昨年来、展開を続けているCDMA 1X WIN対応端末と普及モデルに位置付けられるCDMA 1X対応端末を3機種ずつ、さらに、将来性を考えた新サービスを合わせて発表している。発表内容の詳細については発表会レポートの記事を読んでいただくとして、記者発表で触れた実機の印象などをまじえながら、その内容を見てみよう。
■ au 2005年夏モデル&新サービス
昨年来の好調が伝えられるau。魅力的なサービスや料金プランもさることながら、サービスに合わせた端末ラインアップを上手に構成してきていることも好調の一因とされている。今回の夏モデルの発表でも3つの新サービスが発表され、それらのサービスをサポートする端末が発表された。さらに、数年間、音沙汰のなかったタフネスケータイ「G'zOne」も復活するなど、話題性に事欠かないという印象だ。新たに発表されたサービスの内容から順にチェックしてみよう。
【夏モデルのチェックポイント】
- EZテレビ
- 安心ナビ
- 聴かせて検索
- 新端末
■ 地デジ時代を見据えたEZテレビ
ケータイへのテレビチューナー搭載は、すでにボーダフォンなどが実現しているが、地上アナログ放送のチューナーであり、電波状態が不安定なところではなかなか良好が画質が得られず、なかなか定着したという印象は少ない。街中で使っている人を見るケースもほとんどない。ただ、テレビチューナー機能搭載に対するニーズは非常に高く、調査会社などが行なうアンケートでも「次のケータイに欲しい機能」の上位にランクされている。
今回、auが発表したEZテレビも同じように地上アナログ放送対応のテレビチューナーを搭載しているが、年末にもスタートする携帯電話向け地上デジタル放送の時代を見据えた連携機能が搭載されている。縦長の液晶ディスプレイの上半分に受信した番組を表示し、その下半分のエリアに「お知らせウィンドウ」と呼ばれる情報ウィンドウを表示するしくみを採用している。
このお知らせウィンドウには、番組と連携したコンテンツ、後述する「聴かせて検索」などと連携するメニューが表示され、番組を見ながら、それに関連する商品や音楽などを入手できるしくみを考えている。auが一昨年から提供している「EZ・FM」でも着うたサイトとの連携が実現されていたが、EZテレビは言わば、そのテレビ版とも言える連携を考えているわけだ。お知らせウィンドウに表示される内容については、テレビ局38社と話し合いを進めており、テレビ局サイドである程度、自由に情報を提供できるしくみを提供していくという。
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テレビ番組のBGMから着うたフルなどが確認できる
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ところで、EZテレビ搭載については、すでに報じられているように、回線契約のない状態では視聴できないようになる見込みだ。過去のテレビチューナー搭載端末において、新規契約後にすぐに解約し、ハンディサイズのテレビとして使われた例が多かったことも関係しているようだ。現在、国内のケータイは販売奨励金によって、実際の価格よりも割安に購入できる。しかし、テレビチューナー目当てで端末を買われると、ビジネスモデルが崩れるため、今回のような措置を執らざるを得ないわけだ。
携帯電話事業者側の考えは理解できるが、FMチューナーやカメラがかまわなくて、テレビチューナーだけは回線契約が必要という論理には、やや矛盾があるように感じるのは筆者だけだろうか。ハードウェアに限らなければ、プリインストールされているアプリの多くも回線契約後も利用できるケースがほとんどだ(通信が必要なアプリを除く)。FOMAにおいてもFOMAカードを利用してダウンロードしたアプリは、FOMAカードがない状態では起動できないが、プリインストールされているアプリは通信が必要なアプリを除いて利用できる。今後、携帯電話向け地上デジタル放送サービスが開始されれば、より高品質な番組を視聴できるため、あらかじめこうした制約を掛けておこうという狙いがあるのかもしれない。
ところで、地上アナログ放送がどれくらいの画質で見えるかという点については、車載テレビなどを視聴したことがある人なら、わかるだろうが、電波状態によって、かなりノイズが入るため、とても家庭用テレビと同じレベルでは視聴できない。特に、ケータイは自動車用に比べ、アンテナなどに制約のあるため、さらに状況が厳しくなる。ただ、お知らせウィンドウが表示されれば、スポーツ中継などで途中経過を流すといった工夫もできそうだ。EZテレビはケータイにテレビチューナーを組み合わせただけの端末に比べ、少し違った展開が期待できそうだ。ただ、いずれにせよ、EZテレビは携帯電話向け地上デジタル放送サービスへ向けての布石となるサービスであり、その点を十分に理解したうえで必要の是非を考えた方がいいだろう。
■ 安心ナビ
2001年にサービスが開始された「eznavigation」、2003年に開始された「EZナビウォーク」と、auは米クアルコム社のgpsOneの機能を活かしたサービスを展開しているが、「安心ナビ」はこれらのサービスに続く、GPS機能を活かしたサービスだ。
安心ナビについては速報記事でも詳しく解説しているが、相手の位置確認ができる「安心ナビ 位置確認」、特定エリアに入ったことを家族などに知らせる「安心ナビ エリア通知」から構成されている。安心ナビ 位置確認は「いつでも位置確認」と「位置確認メール」の2つの機能があり、いつでも位置確認は相手が端末の操作をせずに位置を確認できるのに対し、位置確認メールは相手が了解すれば、居場所を知ることができる。親が子どもの居場所を知りたい場合などに適したサービスと言えそうだ。
ちなみに、位置確認メールは事前登録が不要で、相手が拒否したときは検索した側に「位置を確認できませんでした」というメッセージが表示されるが、対応端末であれば、検索できてしまうのは少し気になる点だ。また、安心ナビは双方がこのサービスに対応していなければならないため、夏休みを控え、子どもにケータイを安心ナビ対応端末を持たせようと考えているのであれば、自分自身(親の側)も対応端末をいっしょに購入する必要があることも覚えておきたい。今後、安心ナビはauの標準サービスになっていくそうだが、当初はG'zOne TYPE-Rを含め、4機種しか対応端末がないので、早いラインアップの拡充を期待したいところだ。
■ 聴かせて検索
2002年11月のサービス開始以来、好調を続ける着うたサービス。他社も追随しているが、auの看板サービスのひとつとして、定着している。
今回発表された聴かせて検索はEZアプリを使い、テレビやラジオなどから聞こえてくる音楽をケータイに聴かせ、その楽曲名などの情報を検索できるサービスだ。同様のサービスは着うたなどを配信しているレーベルモバイルなどから提供されているが、事業者自身で提供するのは着うたサイト全体の利用拡大を狙ったものだろう。
KDDI執行役員コンテンツ・メディア事業本部長の高橋誠氏は、以前から講演などで「コンテンツの入り口はたくさんあった方がいい」と述べていたが、今回の聴かせて検索も着うたサービスへの新しい入り口のひとつということになる。実際の認識率についてはかなり高いという印象で、十分、実用になりそうだ。ちなみに、聴かせて検索は3機種が対応しているが、EZアプリ(BREW)として開発されており、デモを見る限り、あまり特殊な仕掛けがないようなので、もしかすると、動作確認が取れれば、他機種でも利用できるようになるかもしれない。
■ 2005年夏モデルは6月中旬から順次発売
さて、auの2005年夏モデルは、2回に分けて発表された計6機種が6月中旬から順次、発売される予定だ。発表会で触れた印象を簡単に紹介しておこう。ただし、いずれも発表会のデモで短時間、開発中のモデルを試用しただけなので、実際に発売される端末と異なる可能性があることはご容赦いただきたい。
●W32SA
今回発表された6機種の中で、もっとも多くのサービスに対応した端末だ。EZテレビ、EZ・FMに加え、安心ナビ、聴かせて検索にも対応しており、三洋電機製端末らしい「全部入り」を実現している。AV機能も充実しており、SD-AudioとSD-Videoに対応し、保存した音楽データをFMトランスミッターでカーオーディオやミニコンポなどにワイヤレスで飛ばすこともできる。本体のメモリーカードスロットはUSBマスストレージ対応モードで動作させられるため、パソコンの外付けドライブとして認識させられるが、著作権保護機能付きリーダー/ライターとして使えるため、音楽データの書き込みもしやすい。ただ、オーディオデータを書き込むための「SD-Jukebox」はパッケージに同梱されないので、別途購入する必要がある。端末のデザインは現行モデルのW31SAのようなスライド式ではなく、昨年発売されたW22SAをリファインしたような印象だ。「全部入り」という強烈な個性のわりに、デザイン的にはやや大人しいイメージだ。
●W31CA
昨年末に発売されたW21CAをベースにデザインされた端末だが、カメラは3.2メガピクセル化され、Picsel Technologiesの技術を利用した「PCドキュメントビューアー」が搭載されるなど、一段とパワーアップしている。発表会ではあまり触れられていなかったが、PCドキュメントビューアーはメールに添付されたファイルの閲覧にも対応しており、拡大や縮小、回転などの機能もサポートされている。カメラのオートフォーカス機構やPCサイトビューアー、SD-Videoのサポート、USBクレードル充電台、2.6インチワイド液晶などは従来モデルをそのまま継承している。
●W31T
PCサイトビューアー、安心ナビに対応した端末だ。PCサイトビューアーはW21CAに搭載されているものとほぼ同じだが、キー割り当てなどが少し異なる。液晶ディスプレイのサイズも違うため、ページを表示したときの印象は少し異なる。ボディはWIN端末としてはかなり薄い20mmに収められており、手に持ったときの印象も薄い板状のものを持ったようなイメージだ。これだけの薄さにまとめながら、miniSDカードスロットも搭載しており、Bluetoothにも対応する。サービス面では安心ナビや聴かせて検索にも対応しており、安心ナビで組み合わせる親側の端末としても良さそうだ。
●A5511T
EZテレビと聴かせて検索に対応した端末だ。ボディデザインは昨年発売されたA5506Tを踏襲したようなイメージだが、miniSDカードスロットは右側面に移動している。W31Tが角を落とした持ちやすいデザインであるのに対し、A5511Tは閉じたときの合わせ部分のエッジを立たせたような主張のあるデザインが特徴的だ。A5509Tでもサポートされた「でか文字」「でか受話音」が継承されているが、ドームキーではなく、通常のフラットなボタンデザインとなっている。ハッキリしたボディカラーやエッジを効かせたデザインで仕上げられているが、ユーザーインターフェイスも比較的、素直で、実際に使ったイメージはあまりクセのない端末という印象だ。「さりげなくEZテレビ」といったところだろうか。
●A5512CA
最近のau端末には珍しく、コンパクトにまとめられた端末だ。手の大きさにもよるが、A1400シリーズのコンパクト端末に匹敵するサイズにまとめられている。安心ナビに対応し、ティーンズモードなどを搭載していることからもわかるように、安心ナビを利用するときの子ども側に持たせる端末としても適している。防犯ブザー的に使えるホットブザーなども便利だろう。背面のディスプレイはモノクロ液晶だが、側面のボタンを押すことで、タイマーやストップウォッチとしても使うことができる。Flash壁紙もユーザーを飽きさせない工夫ができており、意外に楽しい端末と言えそうだ。
●G'zOne TYPE-R
2001年8月に登場したC452CA以来、約4年ぶりに復活したG'zOneシリーズ端末だ。関係者によれば、現在でも10万人近いユーザーが従来のG'zOneを利用しているそうで、このシリーズの根強い人気に驚かされる。ちなみに、初期のモデルのC303CAやC311CAは、EZweb A/B/スタンダード/プレミアムコースの利用が今年11月末で終了するため、今回のG'zOne TYPE-Rがちょうどいい乗り換え端末ということになりそうだ。
ボディはA5403CAなどを発展させたようなイメージだが、実はオリジナルデザインはこちらが先で、その派生モデルな形でA5403CAなどが開発されたという。ボディサイズは先端に装備された“バンパー”などのため、かなり大きく感じるが、その存在感のある独特のデザインはかなり目立つ。スペックなどを見るとわかるが、A5512CAと兄弟モデル(兄妹?)的な位置付けで開発されており、安心ナビにも対応し、背面ディスプレイを利用したストップウォッチやタイマーも搭載されている。電子コンパスも搭載しており、背面ディスプレイにコンパスを表示させることも可能だ。
G'zOne TYPE-RはCDMA 1X対応端末であることがやや気になるが、米クアルコムのベースバンドチップのラインアップから考えて、将来的にCDMA 1X WIN対応モデルが登場する可能性も十分にあるだろう。今回のモデルの成否がそれを左右することになるのかもしれない。
■ 「連携」で楽しく使える2005年夏モデル
本誌ニュース記事などでも取り上げているように、昨年来、auの好調が続いている。その要因としてはいろいろなものが挙げられているが、筆者が強く感じているのが「連携」というキーワードだ。今回の2005年夏モデルでも魅力的な端末や複数のサービスをうまく連携させている。たとえば、EZテレビはテレビチューナーを搭載するだけでなく、お知らせウィンドウでコンテンツサービスと連携したり、安心ナビは場所を知るためにEZナビウォークと連携する、聴かせて検索で着うたサイトと連携するといった具合いだ。気になる点があるとすれば、前述のEZテレビに回線契約が伴うという制約、話題を集めている音楽再生機能をサポートする機種が少ないことくらいだろう。
また、全体的な流れとして気になるのは、こうした端末やサービスの連携を多くのユーザーが意識しているかどうかという点だ。確かに、端末の機能やサービスを連携させることで、ケータイを有機的に使えるのは、ユーザーとしてもうれしいことだ。本誌を愛読してくれているような「ケータイ・リテラシー」の高いユーザーなら、上手に連携させて使うことができるだろう。しかし、市場にはそれほどケータイ・リテラシーの高くないユーザーも数多く存在するはずだ。それは決して中高年ということではなく、すべての年代層に存在すると予想される。こうしたユーザーに対し、いかにわかりやすく、使いやすい環境を提案できるかも今後のauに求められるのではないだろうか。
■ URL
ニュースリリース(5機種&新サービス)
http://www.kddi.com/corporate/news_release/2005/0523/
ニュースリリース(G'zOne TYPE-R)
http://www.kddi.com/corporate/news_release/2005/0526/
ニュースリリース(Think the Earthプロジェクト)
http://www.kddi.com/corporate/news_release/2005/0603/
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(法林岳之)
2005/06/09 12:05
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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