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スーパーフラットデザインのスマートなケータイ「talby」
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au『talby』。サイズ:45×132×13mm、79g。Hornet Green(写真)、Orage Orage、Hole Blackをラインアップ
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一昨年、INFOBARでユーザーを驚かせたau design project。その後、他社もデザイン色の強いケータイを相次いで発売し、デザインケータイが注目を集めているが、auからau design project第3弾となる「talby」が発売されている。プロダクトデザイナーとして著名なMarc Newsonのデザインによる端末だ。筆者も実機を購入したので、レポートをお送りしよう。
【この端末のチェックポイント】
- デザイン&操作性
- 基本機能
- こんなユーザーにおすすめ
■ アンテナレスのフラットボディ
もっとも身近なデジタルツールであるケータイだが、ここ数年、デザインよりも機能が優先されてきた感は否めない。そんな状況に一石を投じたのがau design projectであり、2003年末に登場した「INFOBAR」はその象徴的な存在として、各方面から高い注目を集めた。
今回紹介するtalbyもau design projectから生まれた端末だ。プロダクトデザイナーとして高い評価を得ているMarc Newson氏を起用し、INFOBARとはまた違ったセンスの端末として仕上げられている。Marc Newson氏はスタジオやレストランなどのインテリアをはじめ、椅子などの家具、自転車、旅客機のシート(ベッド)、ジェット機のコンセプトモデルに至るまで、幅広い製品をデザインしてきたことで知られる。身近なところではTEFALのフライパンなどの調理器具、ナイキのトレーニングシューズ、ランバンのサングラスなども手掛けており、腕時計メーカーのIKEPODの共同創業者の一人でもある。筆者はあまりデザイン製品には詳しくないが、それでも氏のホームページで紹介されている製品のいくつかは知っていた。
ボディデザインはINFOBARに引き続き、ストレートデザインを採用している。ボタン面も含め、全体的にフラットデザインで仕上げられており、ボディの厚みも13mmに収められている。これだけのコンパクトかつ薄いボディを実現しながら、アンテナは本体に内蔵されており、非常にスマートにまとめられた印象だ。液晶ディスプレイ上に開けられている横長の穴はデザイン的なアクセントになっているほか、ストラップを通すこともでき、パッケージには専用のネックストラップも同梱されている。
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右側面にはロックキーを装備。隣に描かれているのはMarc Newsonのサインと機種名
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左側面には[memo]キー、[簡易ライト]キーを装備。[簡易ライト]キーはカメラ利用時以外も長押しでライトが点灯する
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キーはボディ面に埋め込まれているため、操作性は今ひとつ。デザイン的には確かにきれいなのだが……
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ボディ全体の質感はメタル筐体を採用しているため、なかなか良く、ボディの剛性感もしっかりしている。INFOBARは塗装の剥げが心配だったが、talbyは数カ月の利用でもそれほどキズが目立つこともない。剥げるとすれば、側面にあるMarc Newson氏のサインやロゴ程度だろう。
ストレートデザインを採用したことで、端末を使っていないときのボタンの誤操作が気になるが、本体左側面にスライド式のロックスイッチが備えられている。左側面には簡易留守メモやメモ帳を起動するための[memo]キー、カメラ部横に装備されたライトを点灯するための[簡易ライト]キーが装備されている。液晶ディスプレイは240×320ドット/26万色表示が可能な2.1インチTFTカラー液晶、背面にはVGAサイズの静止画撮影が可能な33万画素CMOSカメラを搭載するなど、スペック的にも最新端末の普及モデルと変わらないレベルを実現している。
ただ、ボディを極力フラットに仕上げようとしたためか、ボタン類の操作性はやや慣れが必要な印象も残る。特に、漢字変換時などに利用する方向キーの押しやすさ、方向キーの上にレイアウトされた[CLEAR/マナー]キーの位置は、メールを頻繁に利用するユーザーには気になるところだ。また、通話の開始や終了時に、ダイヤルボタンの[1]や[3]を間違って押してしまうこともある。その一方、ショートカットキーは充実しており、ダイヤルボタンの[1]から[0]、[*]、[#]を長押しすると、50音の各行の電話帳が表示され、[メール]ボタンのダブルクリックで[Cメール]メニューが表示される。
■ 基本機能
デザインが重視された端末とはいえ、基本機能が充実していなければ、ケータイとしての意味がない。基本機能についてもチェックしてみよう。
メインメニュー画面は9分割式のアイコン表示を採用しているが、[アプリ]キーを押すことで、カスタマイズも可能だ。出荷時には「Standard」「Animal」「Yura-Yura」の3種類がインストールされており、ダウンロードしたメニューアイコンも利用できる。INFOBARのときに比べ、画面を表示するフォントがきれいになったほか、壁紙やサウンドデータなどもオリジナルのものが出荷時にインストールされており、talbyの描く世界観を端末の中で体験できる。ちなみに、壁紙などはtalby専用サイト「CLUB talby」([EZ]キーの長押しでアクセス可能)で配信されている。
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プリセットされている「Standard」のメインメニュー画面。9分割式アイコンの標準的スタイル
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プリセットされている「Yura-Yura」のメインメニュー画面。Flashによるアニメーションを利用したリスト式メニュー
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メインメニュー画面からスマートモードに切り替えることも可能
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切り替え時に文字サイズを大きく設定することも可能
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スマートモードのメインメニュー画面。基本的な項目が一覧形式で表示される
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文字サイズを「大」に設定すると、メール画面の文字も大きいサイズに変更される
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スマートモードを解除してもフォントサイズは元に戻らないので、設定メニュー内で一括設定するのが簡単だ
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ケータイに慣れていないユーザーのための「スマートモード」も用意されており、メインメニュー画面から切り替えることができる。スマートモードではメインメニュー画面がテキスト表示のシンプルなものに変更されるほか、メールやEZWeb、電話帳などの文字表示を最大に設定できる。中高年層のユーザーにはうれしい機能だが、スマートモードを解除したとき、文字サイズが元に戻らないなどの不満点も残る。スマートモードは一度、設定してしまえば、使い続けるものだし、文字サイズの一括設定でサイズを変更すれば、元に戻せるが、やや詰めの甘さが見える点だ。
メールはフォルダによる管理、メールアドレスや件名による自動振り分けにも対応し、アドレス帳登録外のメールを特定フォルダに振り分けることも可能だ。頻繁にメールをやり取りする相手との送受信メールを特定のフォルダにまとめて登録できる「なかよしボックス」も用意されているが、こちらは振り分けというより、送受信ボックスに保存されているメールのショートカットを集めて保存しておくようなイメージに近い。
カメラは33万画素CMOSイメージセンサを採用しているため、最近のメガピクセルケータイほどのクオリティは望めない。とは言うものの、壁紙サイズ(240×320ドット)やケータイサイズ(132×176ドット)での連写、ホワイトバランスの調整などもでき、バーコードリーダーの機能も搭載されている。カメラ起動時のショートカットとしては、[*]キーと[#]キーでホワイトバランスの切り替え、[メール]キーで撮影サイズと連写の切り替えなどが利用できる。
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背面にさりげなく装備されたカメラ。隣にLEDライト、左側には接写切り替えスイッチを備える
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カメラのファインダー画面。中央下段に撮影サイズが表示される。接写やライトの設定、セルフタイマーなどもファインダー内にアイコンで表示される
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撮影した画像は本体メモリーに保存される。本体メモリーの容量はINFOBARが3MBだったのに対し、talbyでは8MBまで拡張されており、利用には不満はない。撮影した画像はサムネイル表示が可能で、VGAサイズで撮影した画像をQVGAサイズに変換するなどの編集機能も提供されている。高機能端末に比べると、明らかに見劣りがするが、端末の方向性を考えれば、必要十分なレベルに達している。
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VGAサイズで撮影したサンプル画像。JPEG回転させている。リンク先は無加工。(モデル:篠崎ゆき/スーパーウイング所属)
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QVGAサイズに変換すれば、フレームを使って、楽しい写真を作ることもできる
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その他の機能では、EZアプリ(BREW)に対応しており、EZナビウォークも利用することができる。対応するEZアプリ(BREW)も豊富で、安心して使うことができる。欲を言えば、もう少し「CLUB talby」で提供されるコンテンツを充実させて欲しいところだ。
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アポメールから起動したスケジュール画面。カーソルのある日付のスケジュールが下段に表示される
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スケジュールを選ぶと、その内容が表示される。[電話帳]キーを押せば、スケジュールがメールに添付される
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スケジュールが添付されたメール作成画面。本文の「スケジュールを登録してね!」は入力された状態で起動する
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■ さりげなくセンスを主張したい人に
さて、最後にtalbyの「買い」について考えてみよう。INFOBARで高い評価を得たau design projectから生まれたtalbyは、人気プロダクトデザイナーのMarc Newson氏を起用し、コンパクトかつスリムで美しい端末にまとめあげた。INFOBARのときに比べ、画面デザインやフォントなどにも配慮し、機能的にも他の普及モデルの端末と同レベルに仕上げられている。スマートモードの設定やボタン配列などに若干の不満が残るが、このあたりは慣れてしまえば、何とかなりそうだ。
これらのことを総合すると、talbyを「買い」と言えるのは、やはり、端末のデザイン性を重視したいユーザーということになる。ただ、他のau design projectの端末に比べ、存在感などの自己主張がそれほど強く見えないので、どちらかと言えば、さりげなく自らのセンスを主張したいユーザーといったところだろうか。ハッキリと主張したいINFOBAR(カラーにもよるが)、存在感を重視したいPENCKに対し、スマートに主張したいtalbyといった印象だ。もちろん、これは筆者の個人的な印象なので、人によっては好みから外れるかもしれない。
また、CDMA 1X端末であるため、ガク割が使える学生ユーザーにとっても要検討端末と言えそうだ。若年層のユーザーは高機能端末を求める傾向が強いため、talbyでは物足りないかもしれないが、他の端末にはない「味」があることは確かだ。センス良くケータイを使いこなしたいユーザーにおすすめしたい。
■ URL
ニュースリリース(au)
http://www.kddi.com/corporate/news_release/2004/1013/
製品情報(au)
http://www.au.kddi.com/seihin/kinobetsu/seihin/talby/
Marc Newsonホームページ
http://www.marc-newson.com/
■ 関連記事
・ au、フラットデザインに高機能を搭載した「talby」
・ talby(Hole Black)
・ ケータイのデザインに新風を吹き込む「INFOBAR」
(法林岳之)
2005/04/06 11:52
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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