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使いやすさにこだわったiモード最薄端末「F212i」
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、メール端末、PDAまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindows XP基本編」「できるADSL フレッツ・ADSL対応」「できるZaurus」「できるVAIO Windows XP版」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。iモード用EZweb用J-スカイ用、H"LINK用(//www.hourin.com/H/index.txt)を提供。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。


久しぶりのストレート端末

 iモードの登場以降、徐々に増えてきた折りたたみデザインの端末は、昨年あたりから爆発的に増え、今やストレートデザインの端末の新製品は非常に少なくなっている。そんな中、久しぶりのストレートデザインを採用した富士通製端末「F212i」が発売された。実機を試用することができたので、レポートをお送りしよう。


確実に存在するストレートタイプに対するニーズ

F212i

 NTTドコモ/富士通『F212i』。サイズ:44×128×13mm、70g。ダークメタル(写真)、プリーズシルバーをラインアップ。
 メールやコンテンツ閲覧が可能なサービスが登場して以来、ケータイには大画面液晶が求められるようになり、そのスタイルに大きな変革が見られた。一昨年あたりまでは数モデルしか存在しなかった折りたたみデザインの端末が昨年あたりから爆発的に増え、今や折りたたみデザイン以外の端末が珍しい存在になりつつある。

 折りたたみデザインの端末は「大画面液晶が搭載できる」「本体を閉じれば、ボタンを誤操作しにくい」などの要因が支持されているが、その一方で「端末が全体的に大きくなる」「重量が増える」などのデメリットを抱えている。そのため、スーツを着るようなビジネスマンには、持ち歩きにくいという指摘も多い。

 今回紹介する富士通製端末「F212i」は、久しぶりのストレートデザインの端末だ。富士通と言えば、らくらくホンや内蔵キャラクター「きゃらいふ」、毎回おなじみの裏技など、特定のユーザーに確実にウケる商品を開発してきている。今回のF212iも同社ならではの分析によって生まれた端末だ。

 富士通が行なった調査によれば、市場全体の約10%がストレートタイプを欲しており、なかでも全体の約40%に相当する会社員からの支持が非常に多いという。折りたたみデザインの端末はごく一部に厚さ20mmを切る端末が登場したものの、その多くは20mm以上の厚さがあり、ワイシャツの胸ポケットやジャケットの内ポケットに入れてみると、かなりかさばる。ファッション的にもせっかくのスーツのシルエットが崩れるという声も聞く。

 今回のF212iはこうしたユーザーのために開発された端末というわけだ。また、最近の端末は高機能化が進むあまり、実用的な機能の取り込みや端末本来の使い勝手が疎かにされる傾向があり、富士通ではこの点についても十分配慮して、開発を行なったという。


PDC携帯電話では最薄の13mm

スライドスイッチ

 本体右側面にスライドスイッチを装備。ワンタッチで誤動作防止ロックができる。
 製品のスペックや細かい仕様については、NTTドコモや富士通の製品情報ページ、「ケータイ新製品SHOW CASE」を参考にしていただくとして、ここでは筆者が購入した端末で得られた印象を中心に紹介しよう。

 まず、ボディは前述の通り、ストレートデザインを採用しているが、PDC方式を採用する携帯電話では最薄となる13mmという薄いボディを実現している。重量もわずか70gしかなく、非常に持ちやすい。このサイズなら、ワイシャツの胸ポケットやジャケットの内ポケットに入れても違和感はないだろう。本体側面にはスライド式のロックスイッチがついており、ワンタッチで誤動作防止状態に切り替えることができる。欲を言えば、一部の端末で実現されているスライド式のマナースイッチなども取り込んで欲しかったが、ストレートデザインの端末としてはかなり完成度が高い。

 液晶ディスプレイは132×176ドット/65,536色表示が可能なTFTカラー液晶パネルを採用している。半透過型なので、屋内外でも比較的、視認性は良好だ。ちなみに、昨年から今年に掛けて発売された多くの折りたたみデザインの端末では、120×160ドットの液晶パネルが採用されており、ストレートデザインでこれらを上回るスペックを実現してきたのは評価に値する。また、従来のFシリーズでも搭載されていたが、標準でインストールされている待受画面が時間帯によって切り替わる機能も継承されている。

 ボタン類は中央に方向キーと[iモード]ボタンを組み合わせたマルチカーソルキーを配し、左上に[Menu]ボタン、右上に[アドレス帳]ボタンをレイアウトしている。マルチカーソルキーは上下が発着信履歴、左がメール、右が伝言メモの機能が割り当てられている。ストレートデザインの端末に大画面液晶を搭載すると、通常はボタン類がかなり小さくなってしまうのだが、F212iは適切なサイズを保っており、操作性は失われていない。ちなみに、各ボタンの長押しの機能は[iモード]ボタンがメールなどの問い合わせ、[メール]ボタンがメールの新規作成、[伝言メモ]ボタンが伝言メモの起動、[アドレス帳]がアドレス帳の新規作成となっている。


液晶 キーレイアウト
 ストレートデザインとしては高解像度の液晶パネルを採用。待受画面は時間帯によって表示が変わる。  4分割のマルチカーソルキーの中央に構成したキーレイアウト。中央ボタンがF211iと違い、iモードボタンになっている。

実用性の高いスケジュール機能を搭載

カレンダー

 [クリア/カレンダー]ボタンで呼び出せるカレンダー画面。登録されているスケジュールも一目でわかる。

メニュー

 メニュー画面は基本的にF211iシリーズを踏襲。マルチカーソルキーと同じデザインを画面で再現。
 富士通が供給するFシリーズは、派手さこそないものの、従来から実用性の高い機能を数多く搭載していることで知られている。たとえば、iショットメール送信時の発信者番号通知の一時的な有効設定などもFシリーズでいち早く搭載され、一部の後発メーカーもこれを見習っている。

 今回のF212iでもいくつかの実用的な機能が搭載されているが、なかでも力が入れられているのがスケジュール機能だ。ケータイが身近な手放せない存在になるとともに、端末に搭載されるスケジュール機能には注目が集まっているが、F212iのスケジュール機能は使い勝手がよく考えられている。

 まず、スケジュール機能は多くの機種がメニュー画面などから呼び出す形式になっているのに対し、F212iでは待受画面で、マルチカーソルキー下にある[クリア/カレンダー]ボタンのワンタッチで呼び出すことができる。カレンダー画面にはアイコンが表示され、スケジュールの有無を一目で確認することができる。アイコンは24種類を選ぶことができ、スケジュール内容は8文字のタイトル、24文字のメモを加えることができる。くり返し設定は毎日、毎週、毎月で設定でき、アラームを起動することも可能だ。アラームについてはスケジュールの時刻だけでなく、5分/10分/30分/1時間/1時間半前に知らせる事前アラームにも対応している。たとえば、15時に他社で打ち合わせの予定があり、30分前にオフィスを出なければならないときは、15時に打ち合わせのスケジュールを登録し、30分前に事前アラームをセットしておくといった使い方ができるわけだ。

 スケジュールはカレンダー画面から登録できるが、意外に便利なのがクイックスケジュールだ。たとえば、今日の15時半に何か予定を登録したいときは、待受画面でテンキーから「1530」と入力し、[Menu]ボタンを押す。表示されたメニューから「スケジュールに登録」を選べば、登録ができる。登録した内容はあとで修正したり、メモを追加することもできるので、時間だけをサッと登録しておき、あとで日付やスケジュールの内容を追加して、登録し直すという使い方もできる。この他にも登録したスケジュールをカレンダー画面だけでなく、一覧表示にしたり、登録したスケジュールをコピーして、メールにテキスト形式で貼り付けたり、スケジュールを他人に見られないようにする、休日を自分に合わせて設定するなど、非常に実用性の高いスケジュール機能を網羅している。


英和辞書

 過去に意外に搭載例が少なかった英和辞書を搭載。4万語の単語から調べることができる。

遠隔ダイヤルロック

 遠隔ダイヤルロックやメールセキュリティ、フォルダセキュリティなど、セキュリティ面も配慮されている。
 また、F212iではビジネスマンの利用を考慮し、新たに英和辞書が追加されている。英和辞書はユーザーによって、頻繁に利用するものだが、携帯電話ではコンテンツでの提供が中心で、意外に搭載例が少ない。F212iに搭載されている英和辞書は約4万語を網羅しており、ごく標準的な単語であれば、手軽に引くことができる。また、電卓も凝っていて、税率の設定が0~99%の範囲で設定でき、ワンタッチで税込の数値を割り出すことができる。こうした機能も実用性重視のFシリーズらしい取り組みだ。

 また、212iシリーズ共通の機能として、通話料金の上限通知と遠隔ダイヤルロックが追加されている。通話料金の上限通知はあらかじめ設定した通話料金に達すると、通話終了時のアラームや待受画面の「\」マークなどで知らせるもので、毎月1日の午前0時に積算をリセットすることもできる。遠隔ダイヤルロックは他の電話から一定のルールに基づいて呼び出すことで、遠隔操作でダイヤルロックを掛けられる機能だ。たとえば、自宅やオフィスの電話から1分間に3回、呼び出せば、ダイヤルロックを掛けるといった使い方ができる。端末をなくしたときなどに有効な機能だ。

 Fシリーズはメール周りの機能も充実していたが、F212iはフォルダ管理や自動振り分けをサポートし、振り分け条件はメールアドレスや題名、電話帳グループなどを設定することができる。送受信メールを他人に見られないようにするメールセキュリティ、フォルダ単位で設定できるフォルダセキュリティも搭載されている。文字入力は従来モデルから好評を得ている時間帯を考慮した予測変換(朝なら「お」を入力したとき、「おはよう」が候補の先頭になる)、確定した文字を自動的に記憶する頭出し予測変換を搭載している。


普通に使いたい人のための実用ケータイ

 さて、最後にF212iの「買い」について診断してみよう。F212iは、確実にファンが存在するストレートデザインを採用し、PDC方式の携帯電話では最薄の13mmという薄さを実現したスマートな端末だ。日常的にスーツを着用するビジネスマンにも気軽に胸ポケットなどに入れて、持ち歩くことができる。機能的にも使いやすいスケジュール機能や英和辞書、セキュリティ機能などを搭載し、外見以上にビジネスマンのことを考慮した設計となっている。カメラやiアプリといったエンターテインメント機能はないが、実用性についてはピカイチの出来と言っても過言ではないだろう。

 こうした点を考慮し、F212iをおすすめできるのは、やはりビジネスマンということになるだろう。確かに、カメラやiアプリは今のケータイに欠かせなくなりつつある機能だが、逆に、搭載されていて困るシチュエーションもある。たとえば、企業内の秘密を守るため、「カメラ付きケータイお断り」という場所も増えてきているそうだが、こうした場所に頻繁に出入りするようなビジネスマンでもF212iなら、安心して使うことができる。しかもカメラやiアプリが搭載されていないから機能面が貧弱というわけではなく、ビジネスマンに必要とされるであろう機能をきちんと揃え、使い勝手もよく考慮されている。派手さはないが、実用性をきっちり考えて作られた端末というわけだ。

 残念ながら、出荷直後にF212iのセールスポイントのひとつであるスケジュール機能に不具合が発生し、一時的に販売が停止されているが、販売も間もなく再開される見込みだ。F212iは派手な高機能よりも実用性の高いケータイを求める人なら、ぜひともチェックしておきたい端末のひとつだ。


・ ニュースリリース(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/02/whatnew1108a.html
・ 製品情報(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/p_s/products/keitai/212i/f212i/f212i.html
・ ニュースリリース(富士通)
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2002/11/8.html
・ 製品情報(富士通)
  http://www.fmworld.net/product/phone/f212i/

F212i(ダークメタル)
ドコモ、厚さ13mmの薄型ストレート端末「F212i」
富士通製iモード端末「F212i」のアラーム機能で不具合


(法林岳之)
2002/11/26 11:05

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