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「屋外で20Gbps」、ドコモとエリクソンが5G実験に成功

MediaTekと技術開発で協力、Verizon/KT/SKと5G向け実験仕様の団体も

 NTTドコモは22日、5G(第5世代)モバイル通信方式の技術開発で、エリクソンとの実証実験で、屋外のマルチユーザー環境で20Gbpsを超えるデータ通信に成功したと発表した。

 同日には、技術開発で新たに台湾MediaTekとの協力することを発表した。

 また、ドコモと韓KT、韓SK Telecomと米Verizonの4つの通信事業者は、実証実験の共通化を目指すアライアンスを立ち上げることで合意した。

屋外環境のマルチユーザー環境で20Gbps通信を実現

 ドコモでは、2020年ごろの実用化を目指し、5G技術の開発を進めている。エリクソンとは、5Gで利用される高い周波数帯でより遠方までデータを電波を届かせることができる無線通信システムを開発している。

 今回の実証実験は、横須賀市のドコモR&Dセンタ内の屋外環境で、エリクソンが設計・製造した実験用の基地局と端末に相当する移動局装置を用いて行われた。利用した周波数帯は15GHz帯。

 実験では、基地局アンテナから複数のビームを同時に伝送する「マルチビームMIMO」を検証。屋外環境で10Gbps超で通信できることを確認した。

 64個のアンテナ素子で指向性を持つビームを飛ばす「ビームフォーミング」の検証では、従来の7倍となる70m以上離れた端末で10Gbpsの通信を実現。

 1つの基地局に2台の移動局装置が接続したマルチユーザー環境の通信実験においても、受信時最大20Mbpsでの通信に成功した。

屋外マルチビームMIMO実験
屋外ビームフォーミング実験

MediaTekと提携、干渉防止技術の共同研究

 NTTドコモの5G技術の共同開発パートナーに、新たに台湾のMediaTekが加わる。MediaTekとの共同開発では、両社の持つ携帯電話端末の干渉防止技術を組み合わせた、新たな無線インターフェイスを開発する。また、5G対応端末のチップセットの共同開発についても、2018年以降に行う予定。

ドコモとパートナー各社の実験協力のイメージ図

実証仕様の共通化を目指す団体を設立へ

 今回韓KT、韓SK Telecomおよび米Verizonと立ち上げに合意した「5G Open Trial Specification Alliance」は、現在複数ある5G技術の実証実験の仕様において、共通化を目指す団体。

 実証実験の3GPPによって5G技術の仕様が策定される2018年までに行われる実証実験が対象。ネットワークベンダー、チップセットベンダー、端末ベンダー、測定器ベンダーなどの企業に呼びかけ、共通仕様を策定し公開する。

石井 徹