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サムスン、「Galaxy Note 5」「Galaxy S6 edge+」発表
(2015/8/14 17:53)
サムスンは米国ニューヨークのLicoln Centerにおいて、「Samsung Galaxy Unpacked 2015」を開催し、同社のフラッグシップモデル「Galaxy S6 edge+」と「Galaxy Note 5」の2機種を発表した。
イベントの冒頭、President&CEOのJK Shin氏が壇上に立ち、サムスンが2011年にリリースしたGalaxy Noteで大画面ディスプレイとペンという新しい方向性を打ち出し、Galaxy Note 2、Galaxy Note 3、Galaxy Note 4と進化させ、Noteという新しいカテゴリーを作り上げてきたことなどが紹介された。また、わずか2年前のInternational CESにデビューしたフレキシブルディスプレイの技術は、曲面ディスプレイを実現し、ユーザーはより美しく、より大きな画面でさまざまな体験をできるようになったことにも触れ、ディスプレイの大型化などにより、ユーザーは多くのマルチメディアコンテンツを楽しむ一方、複数のタスクの利用を求める人々が増えてきたという。
そして、「THE NEXT Galaxy」と銘打たれた新製品「Galaxy S6 edge+」「Galaxy Note 5」が発表された。紹介ムービーでは2011年に「大画面スマートフォンのパイオニア」となり、2013年に「曲面ガラステクノロジー」の先駆者となったことを受け、これらを融合させる形で「Galaxy S6 edge+」を開発し、さらにデザインを一新し、ペン入力が強化された「Galaxy Note 5」として紹介された。JK SHIN氏は「大きなディスプレイを搭載しながら、スリムなボディを実現した新製品だが、それだけではありません」として、新機種2モデルが今年3月のMWC 2015で発表された「Samsung pay」にもいち早く対応することも合わせて明らかにされた。
続いて、Samsung Electronics AmericaのVice PresidentでProduct Strategy & Marketing担当のJustin Denison氏が登壇し、商品の具体的な説明が行われた。Denison氏はまず、サムスンが2011年までにGalaxy SやGalaxy S2で成功を収めてきた中で、ユーザーへの新しい提案として、Galaxy Noteを発表したことを振り返った。Galaxy Noteはそれまでのスマートフォンにはなかった大画面ディスプレイを搭載したことで、ペン入力と共に新しいスマートフォンの可能性を拡げてきたことを紹介した。今や大画面ディスプレイはスマートフォンにとって、「いい」ものではなく、「必須」となってきたという。そして、今日ではスマートフォンのディスプレイがユーザーに取っての最初の画面として利用され、より重要度が増しているが、ディスプレイサイズの大きさはボディサイズに直結してしまうため、ユーザーからは折衷案的な選ばれ方がされているという。そこで、サムスンではユーザーが妥協して、サイズを選ぶのではなく、大きなディスプレイを搭載しながら、スリムで薄い端末を実現することを目指したという。
今回のGalaxy Note 5では前面のディスプレイをペン入力などがしやすいフラットタイプを採用し、背面を曲面ガラスで覆うことで、スリムで持ちやすい形状を実現している。Sペンについても新たにデザインされ、新機能も追加されている。たとえば、端末がスリープ状態でもSペンを取り出すと、自動的にメモが起動し、すぐにメモを取ることができる。電話番号やレストランの名前など、必要なときにすぐにメモができる。また、従来モデルから採用されてきたエアコマンドも強化され、エアコマンドからフォルダを表示し、書類を開き、サインをして、保存するという流れもスムーズに操作することが可能だという。スクリーンキャプチャも表示画面だけでなく、ドライブルートの一覧やWebページなど、スクロールが必要なものもワンタップで取り込めるようになっている。
そして、Galaxy Note 5の新しいアクセサリーとして、着脱可能なQWERTYキーボードが紹介された。背面カバーといっしょに本体を挟み込み、ディスプレイの下側1/3程度を覆うような構造で、ちょうどBlackBerryのような形状になる。使わないときは取り外し、背面側に装着すれば、大画面で映像コンテンツなどを楽しむことも可能だ。
次に、Samsung Electronics AmericaのVice PresidentでProduct Marketing担当のAlanna Cotton氏が登壇し、Galaxy S6 edge+についてのプレゼンテーションが行われた。同氏は「2年前、サムスンがGalaxyをさらに進化させることを決め、優れたディスプレイ、最高のカメラ、斬新なデザインの端末を目指し、今年、Galaxy S6 edge+を送り出すことができた。なかでもデュアルエッジデザインは他のどのスマートフォンにもないもので、多くの称賛を受けることができた」と紹介。そして、これをさらに大画面化したものとして、今回のGalaxy S6 edge+が開発された。スクリーンは5.7インチと大型化したが、ボディサイズは抑えられている。ライバルとなるiPhone 6 Plusが5.5インチディスプレイを搭載し、ボディ幅が77.8mmであるのに対し、Galaxy S6 edge+は5.7インチディスプレイを搭載しながら、75.8mmに抑えられている。
Galaxy S6 edge+は画面が大型化したことで、この端末はまるで「Entertainment House」のように楽しめるという。「Avengers」のような映画はもちろん、NBAのような動きの激しいスポーツ、レーシングゲームなどもコクピットに座っているような感覚で楽しむことができる。Bluetoothワイヤレスヘッドホンで臨場感あふれるサウンドを楽しむことができ、新たにLive Broadcastサービスも提供される。
デュアルエッジスクリーンを活かす機能として、これまでも最大5人までの連絡先をすぐに呼び出せるピープルエッジが搭載されているが、これを拡張し、自分の気に入ったアプリを登録しておくことで、同じようにすぐに起動できるという。
再び、ステージにはJustin Denison氏が登壇した。今回発表されたGalaxy S6 edge+とGalaxy Note 5はハードウェア的に同じプラットフォームで開発されているという。5.7インチのQHDディスプレイ、最新で最高のカメラ、サムスンがパイオニアである充電技術も大きく進化を遂げている。メモリーはLPDDR4対応4GBメモリーを搭載し、より多くのアプリをスムーズに動かすことができる。モバイルデータ通信は現在の最新技術である4G LTEに対応するが、今後、標準化されるカテゴリー9にも対応できるようにしており、最新のモバイルネットワークを最大限に活用できる。カメラについては、Galaxy S6 edgeに搭載されたものが各方面で高い評価を得ていることを紹介し、これを継承したものが搭載されているという。新機能としてはビデオの手ブレ補正「VDIS(Video Digital Image Stabilization)」に光学手ブレ補正を組み合わせることで、動きながらの動画撮影でも安定した動画を撮影できるようにしている。
また、GalaxyシリーズではSideSync機能を利用することにより、ワイヤレスでパソコンと連携し、シームレスにファイルなどをやり取りできるようにしているが、最新のWindowsに加え、Mac OS Xでも利用できるようにした。
バッテリーについても新たな改良が加えられた。Galaxy S6 edgeではWPC準拠のワイヤレス充電機能が搭載されているが、今回の2機種は高速ワイヤレス充電に対応しており、両機種ともバッテリーが空の状態から約2時間でフル充電ができるという。これに合わせ、FAST CHARGINGに対応した新しいワイヤレス充電台も提供される。また、これをサポートするため、「CORD-FREE FUTURE」をキーワードに充電できる環境を整えていくという。端末の発売については、米国で8月21日からを予定しており、予約は8月13日15時から受け付けている。
正式にサービスが開始されるSamsung payついて、Samsung ElectronicsのHead of Samsung payのExecutive Vice PresidentのInjong Rhee氏がプレゼンテーションを行った。同氏は「自分の財布には多くのプラスチックカードが入っている。クレジットカードや店舗のカードなど、さまざまなものがあり、まるで鍵束のようになっている。なかでも磁気テープを利用したカードは世界中で利用されており、店舗にはカードリーダーが設置されているが、これまでのスマートフォンで考えられてきたモバイルペイメントは限られた環境でしか利用できなかった。NFCについては搭載する端末がまだ少なく、店舗の多くも対応していないため、結果的に既存の磁気カードを利用するケースが多い。これに対し、Samsung payは既存の磁気カードリーダーしかないような環境でも利用することができ、登録や使い方もとても簡単になっている」と語った。
対応するカードとしてはAmerican Express、VISA、MasterCardなどの大手カード会社をはじめ、日々、対応を表明するところが増えているという。また、一般的なクレジットカード会社のカードだけでなく、店舗ブランドのクレジットカード、会員カードやギフトカードなどにも対応する。セキュリティについては、これまでサムスン製端末に搭載されてきた「Knox」を利用しており、決済の度にユニークなコードが発行されて、端末とやり取りするため、極めて安全に決済ができるという。従来のサービスのように、既存のクレジットカード情報をやり取りするしくみにはなっていない。サービス開始は韓国で8月20日、米国では9月28日を予定しており、中国、スペイン、イギリスをはじめ、他の多くの国にもサービスを展開していく予定だという。
最後に、再びAlanna Cotton氏が登壇し、今回の発表は通過点でしかなく、サムスンとして、これからも消費者の声に耳を傾けながら、新しいプロダクトを開発していくとした。今日の発表は「カーブ」がひとつのテーマだったが、「次は何か」ということで、9月に行なわれるIFAで「Samsung Gear S2」が発表されることが予告され、イベントを締めくくった。
Galaxy S6 edge+
Galaxy S6 edge+は2560×1440ドット表示が可能な5.7インチ、SuperAMOLED(有機ELディスプレイ)を搭載したモデルだ。ディスプレイの両サイドはGalaxy S6 edge同様、曲線で仕上げられたデュアルエッジスクリーンを採用する。基本的なデザインは従来のGalaxy S6 edgeを継承し、ディスプレイサイズが違うこともあり、ボディがひと回り大きくなっている。ただ、ワイドに拡がったという印象よりも縦方向が長くなった印象の方が強い。
CPUは2.1GHzと1.5GHz動作のクアッドコアを2つ組み合わせた64bitオクタコアが採用される。CPUの型番は明記されていないが、プロセスルールは14nmプロセスで製造されており、Galaxy S6 edgeなどと同じSamsung製Exynos 7420が該当すると推察される。メモリーはプレゼンテーションでも触れられていた通り、LLDDR4対応の4GB RAMが搭載され、ROMは32GBと64GBのモデルがラインアップされる。microSDメモリーカードのスロットはないため、外付けなどでの対応になる。
モバイルネットワークはLTEのカテゴリー9、カテゴリー6に対応しており、Wi-FiはIEEE802.11/a/b/g/n/acに準拠し、MIMO(2×2)に対応する。Bluetooth 4.2LE、NFC、MSTに対応する。
バッテリーは3000mAhのものを本体に内蔵しており、着脱することはできない。ワイヤレス充電はWPCとPMAの両規格に対応する。カメラは背面がF値1.9のレンズと光学手ブレ補正を組み合わせた16MPカメラ、前面がF値1.9のレンズを組み合わせた5MPのものを搭載する。
基本的なユーザーインターフェイスはGalaxy S6 edgeと共通だが、デュアルエッジスクリーンを利用したピープルエッジは拡張されており、アプリなども登録できるようにしている。AndroidプラットフォームはAndroid 5.1(Lollipop)を搭載する。
実際に手に持った感覚としては、5.7インチのディスプレイサイズを感じさせない持ちやすさで、Galaxy S6 edge同様、側面のスリムさが持ちやすさにかなり影響している。ボディの質感も非常に良く、Galaxy S6 edgeで好評を得たメタルとガラスを組み合わせた高級感のある仕上がりをそのまま継承した印象だ。
Galaxy Note 5
Galaxy Note 5はGALAXY NOTEシリーズの最新モデルに位置付けられる。基本的なハードウェアの構成はGalaxy S6 edgeと共通で、事実上の兄弟モデルと言える。ディスプレイも同じスペックの2560×1440ドット表示が可能な5.7インチ、SuperAMOLED(有機ELディスプレイ)を搭載するが、Galaxy Note 5はフラットなディスプレイとなっている。
CPUやメモリー(RAM/ROM)、モバイルネットワーク、バッテリーなどの仕様もまったく共通となっている。従来のGALAXY NOTE Edgeなどとの違いで言えば、バッテリーが固定式となっており、着脱ができない。
ボディは前面がフラットであるのに対し、背面側は曲面ガラスを使った形状で仕上げられている。ちょうどGalaxy S6 edgeを裏返しにしたような形状だと考えれば、わかりやすい。ボディ形状が従来モデルから変わったため、Sペンなどの取り出しも変更されており、今回は格納されたSペンの頭の部分を押すと、ボタンが飛び出し、そこに指先をかけて取り出すような構造となっている。
Keyboard Cover
Galaxy S6 edge+、Galaxy Note 5向けに提供されるオプションで、背面側に装着するカバー部分とディスプレイ側に装着するキーボード部分から構成される。端末とはBluetoothなどで接続しているわけではなく、キーボード装着時はハードウェアキーが押下されると、キーボード部裏側のディスプレイと接する部分に静電を発生させ、特定のキーを押したときと同じ状態を作り出す。実際にキーを打って、文字を入力してみたが、キーの押し感も十分で、レスポンスも悪くない印象だ。タッチ&トライのスペースではGalaxy S6 edge向けのものもデモが行われており、担当者は「日本で販売されているGalaxy S6 edgeでも利用できるはず」と話していた。
Samsung pay
今年3月のMWC 2015の際に催された「Galaxy Unpacked 2015」で発表されたモバイルペイメントサービスだ。韓国と米国に続き、世界各国での展開を狙っている。既存のNFCに対応したリーダーでも決済ができるが、MST(Magnetic Secure Transmission)と呼ばれる技術を使うことにより、既存の磁気カードリーダーしか対応していない決済端末でも対応するスマートフォンで利用できるようにするという。タッチ&トライコーナーでは実際にデモを行なっていたが、米国などでよく見かけるVeriFoneの決済端末に対し、Galaxy S6 edgeから決済のコマンドを送り、レシートが出力される様子などが紹介されていた。磁気カードの登録はスマートフォンのカメラ機能を使い、クレジットカードのエンボスを読み込むが、その情報がそのまま決済端末に送られるわけではなく、その都度、異なる決済コードをやり取りするため、安全に使えるとしている。