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Apple、iOS 9やwatchOS 2などを発表
WWDC現地レポート
(2015/6/9 10:26)
米Appleは6月8日、サンフランシスコのMoscone centerで開発者向けイベント「WWDC(WorldWide Developer Conference)」を開催し、iPhoneやApple Watch、Mac向けのOSの最新版を今秋、リリースすることを発表すると共に、定額音楽配信サービス「Apple Music」について発表した。
世界70カ国から約6000人が参加
アップルにとって、毎年恒例となった開発者向けイベント「WWDC」。少し悪ノリの入ったオープニングムービーの後、ティム・クックCEOが登壇し、今年のWWDCが26回目を迎え、世界70カ国から参加し、その内の約80%が初参加で、350人のスカラシップの学生が含まれることなどが紹介された。
まず、最初に取り上げられたのがMac OSの最新版となるMac OS Xだ。従来のYosemiteに続くコードネームは「El Capitan」(エル・キャピタン)が与えられた。ちなみに、El Capitanはヨセミテ国立公園にある世界一の花崗岩の一枚岩のことで、デモが行なわれたMacにはそれらしい壁紙が使われていた。
iOS 9
Mac OS Xに続き、iPhoneやiPadに搭載される「iOS」の最新版となる「iOS 9」が説明された。従来版のiOS 8の搭載率はすでに83%に達し、順調な移行が進んだことを明らかにしながら、新機能のデモが行なわれた。
iOS 9の進化点を表わすポイントとして、「Intelligence」「App」「iPad」「Foundation」が挙げられ、それぞれのキーワードに沿って説明された。インテリジェントに進化を遂げた「Siri」、提携する事業者が拡大し、英国でもサービスが開始される「Apple Pay」などが説明される一方、「Notes」の大幅な機能強化、一部地域での公共交通機関を利用した乗り換え案内や出入り口情報などが強化された「Map」、従来の「Newsstand」をベースにした新アプリ「News」、文字列の範囲選択やコピー&ペーストが使いやすくなった「キーボード」、iPadを中心にサポートされるマルチタスク機能「Multitasking」などが説明された。
一方、開発者向けの新情報として、アップルが提供する開発言語「Swift」が「Swift 2」にバージョンアップすると共に、オープンソース化されることが明らかにされると、来場者からは大きな歓声が上がった。ちなみに、iOS 9はiPhone 4s以降、iPad 2以降に提供され、開発者向けには7月から、一般向けには9月から無料で公開されることも発表された。
watchOS 2
次に、今年4月から販売が開始されたApple WatchのOSである「watchOS」の説明が開始された。「watchOS 2」と名付けられた新バージョンでは、自分で撮った写真やタイムラプス映像を壁紙に表示できるなどの「TimePease」の改良、「Health & Fitness」の強化に加え、今回のバージョンからサードパーティが「Complication」の開発が可能になることが発表された。
Apple Watchの右側面に備えられた「Digital Crown」は、これまで標準アプリのみで利用できていたが、今回のバージョンからサードパーティ製アプリでも利用できるようになり、その実例として、フォルクスワーゲン社の乗用車のエアコンなどを制御するデモが行なわれた。watchOS 2は、開発者向けに本日から、一般向けには今秋から無償で公開される予定となっている。
月額9.99ドルのストリーミング音楽配信サービスを開始
「Mac OS X」「iOS」「watchOS」という3つのOSについての発表があった後、壇上には再びティム・クックCEOが登場し、スクリーンにおなじみの「One more thing...」が映し出されると、会場内は再び大歓声がわき起こる。
音楽を楽しむ環境の変遷を表わすムービーが流された後、かねてから噂されていた定額制音楽配信サービス「Apple Music」が発表された。
内容としては、iTunes Storeと同じライブラリがすべてストリーミングで聞き放題となる音楽配信サービスで、24時間いつでも放送されている「global radio」、そしてファンとアーティストをつなぐサービスなどで構成される。
Apple Musicは今年6月30日から世界中の100の国と地域でサービスが開始され、月額料金は9.99ドルで、最初の3カ月は無料で利用することができる。最大6人までが楽しめるファミリーアカウントは月額14.99ドルで提供される。プラットフォームはMac OS XやiOSに加え、今秋からWindowsとAndroid向けもサポートされる。プレゼンテーションでは日本での展開について、具体的な言及がなかったが、100の国と地域という数から考慮して、順当に行けば、日本でのサービス提供開始も十分可能性があると考えられる。