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ソニーの電子ブロック「MESH」で“未来の住まい”を作るハッカソン

電子ブロック「MESH」を使ったハッカソン

 1月24日と25日の2日間に渡り、三井不動産レジデンシャル、ソニー、ニフティの3社が共同で、“未来の住まい”を作ることを目指した開発者向けイベントを開催した。このイベントでは、ソニーが開発し、現在クラウドファンディングサイト「Indiegogo」で出資を募集している電子ブロック「MESH」を、正式出荷に先がけて使用した。

 「2020年 ふつうの家」というコンセプトで、5年後の未来の家づくりを考えているという三井不動産レジデンシャルが、ソニーとニフティの2社と手を組んで開催した今回の開発者イベント。テーマが住まいということもあり、会場にマンションのモデルルームを選び、実生活を想像しやすい環境を用意。総勢50名9チームが2日間かけて開発に取り組み、さまざまなアイデアを形にして発表した。

ハッカソンでの発表の様子

単機能な小型ブロックの組み合わせで、多彩な機能を簡単に実現

左からスイッチ、LED、加速度センサー、入出力端子をもつMESH

 MESHは、スイッチを備えたもの、LEDを備えたもの、加速度センサーを備えたもの、他の外部機器と連携可能な入出力端子を備えたもの、という4種類のいずれかの機能をもつ小さなブロック。Bluetoothによる通信機能をもち、近くにあるiPad上で専用アプリから各ブロックに動作などを割り当てたり、連携させることで、多彩な動きを実現する。

 例えば、加速度センサーのMESHを取り付けた壁をノックした時に、別の部屋のLED付きMESHが光るようにすれば、「夕食ができた」といったような家族間のコミュニケーションが離れていても可能になる。また、無線機能付きカメラとMESHを連携することで、扉を開けた瞬間に写真を撮る、という使い方もできる。

 個別のMESHに対する動作設定は専用のiPadアプリ上で行うが、あらかじめ用意されている数多くの機能をMESHを模した図形にドラッグ&ドロップ操作でつなげていくだけで、思い通りの動作を実行できる簡単操作も特徴となっている。スイッチを押したらLEDを光らせる、というような動作であれば、ほぼ3回のドラッグ&ドロップ操作のみで実現可能だ。

手のひらに複数個余裕で乗るようなサイズ
入出力機能を備えたMESHは、上部に設けられた端子に接続することで他のハードウェアと連携が可能
MESHへの動作の割り当ては専用のiPadアプリで簡単に行える
動作に応じてiPadから音を出すことも可能。あらかじめ用意されたもの以外に録音した音も使える

 MESHを開発したソニーの善積氏によれば、MESHは「誰でも発明家にする」がコンセプト。ハードウェア開発は、小型のマイコンボードであるArduinoなどの登場によってハードルは下がってはいるものの、それでも電子回路や開発言語などの知識が必要で、誰でも簡単に使い始められるものではない。こうしたデバイスを使うことなく、コンピューターのことをあまり知らない人でも容易に日々の暮らしに役立つ仕組みを作れるのがMESHというわけだ。

 1月6日にIndiegogoで出資の募集を開始したMESHは、2週間で目標額の半分以上を達成。3月7日に出資は締め切られ、無事プロジェクトが進行することになれば、個別の出資金額によって3種類、もしくは4種類全部のMESHを受け取ることができる。今回のイベントで得られたアイデアや課題はもちろんのこと、正式出荷でより多くの開発者、一般ユーザーに使用してもらい、それらの意見もくみ取って今後の製品開発に活かしていく予定。

 また、Make、Experience、Shareの3つの言葉からなるMESHにおいては、特にShareの部分に力を入れていきたいという。どのMESHをどのように組み合わせ、アプリ上でどういった設定をしていくとどんなものができるのか、という手順・設定内容を“レシピ”化し、そのレシピを手軽に入手して活用できるようにするサービスも検討しているとのこと。

ハッカソン最優秀賞は、仮面ライダーになって家電を操作するアイデアに

 イベント2日目の各チームの発表では、日常生活の不便を解消する、あるいは家族とのコミュニケーションに役立つ、といった内容のアイデアが多く出た。最後の表彰式で最優秀賞(ソニー賞)に選ばれたのは、子どもに家電を触らせることなく、仮面ライダーのライダーベルトや武器などのおもちゃを使って、ポーズを取らせることで家電を操作できるようにするもの。

 その他、三井不動産レジデンシャル賞には、お風呂の湯気にプロジェクターで“俺の嫁”を映し出すアイデア、ニフティ賞には、クローゼット管理やオークションへの出品を容易にするアイデア、MA(マッシュアップアワード)賞には、朝玄関で鍵を手に取る時に写真を撮影しファッションコーディネートを自動記録するアイデアがそれぞれ選ばれた。

ソニー賞に選ばれたチーム
三井不動産レジデンシャル賞に選ばれたチーム
ニフティ賞に選ばれたチーム
MA賞に選ばれたチーム
ニフティ賞の賞品はZenfone 5 LTEとSIM(NifMo)のセットだった

日沼諭史