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auの2014年夏モデルは「3日間、使える」

ユーザーの利用実態にあわせた基準を策定

 8日に発表された、auの2014年夏モデルのうち、スマートフォン6機種はいずれも「実使用時間が3日間以上」と、長時間、稼働するという。この基準は、KDDIの独自調査によってまとめられたものだ。

実際の利用から基準を策定

 今や外付けバッテリーは人気製品になるほど、スマートフォンに対して、バッテリーの持ちに関する印象は、厳しく評価する傾向が強い。これに対して携帯各社およびメーカーでは、Androidスマートフォンの消費電力について対策を進めており、たとえばNTTドコモが昨夏より「実使用時間で3日間持つ」とアピールし始めている。今回、KDDIでは約1000名のモニターを募り、2013年12月17日~24日の8日間にわたり、モニターのスマートフォンに調査用のアプリをインストールしてもらい、1日あたりの利用動向を調査した。

 その結果、1日あたりの平均使用時間は約180分(ブラウザなどで約42分、メールや電話で約30分、ゲームや動画などで約72分、その他が約36分)という結果が導きだされた。これはヘビーに使う人、ライトに使う人と、さまざまな利用傾向のユーザーのデータが元になっている。この利用時間を1つのモデルとして、今回、auの夏モデルは「3日間以上持つ」としている。なお、NTTドコモが用いている「3日間持つ」という実使用時間の基準は1日あたり約80分。auの基準とは100分も違う。

 こうした基準を用意したのは「バッテリーの持ちを分かりやすく案内する」(商品統括本部プロダクト企画1部長の内藤幹徳氏)という狙いがあるため。今もスマートフォンに対して、バッテリーの持ちが不安要素のトップに挙げられる一方、待受時間などのではわかりにくいという意見が寄せられており、今回、基準を設けて、バッテリーの持ちをアピールすることになった。

キャリアアグリゲーション、バッテリーへの影響は?

 今夏、auのスマートフォンの特徴の1つは、キャリアアグリゲーション(CA)に対応すること。キャリアアグリゲーションとは、現在の通信方式「LTE」の次世代版である、LTE-Advancedの機能の1つ。複数の周波数をひとまとめにして利用できるようになり、その分、通信速度が向上したり通信が安定したりする、という効果がある。

 これまでより多くの電波を使う、と聞けば、もしかしたら、バッテリー消費への影響を気にするかもしれない。このあたりは、高速化によって、これまでよりも通信にかかっていた時間が短縮してその分消費電力が減る、といった言い方もできるが、KDDIによれば、通信回路(RF回路)そのものも工夫したことで、これまでと同等の消費電力になったという。

 CA対応機種では、モデム機能を司るRFチップが2つある。これまでのチップセットでは2つのRFチップ両方で上り下りの通信を行う形だが、auの2014年夏モデルではRFチップの1つが受信専用、もう1つが小型化されて電力の効率化が図られた上で上り下りの通信を行う形。この小型化かつ電力効率化のRFチップだけであれば10%の電力を削減できるが、受信専用チップが削減分とほぼ同等の消費電力。つまり、2014年夏モデルのRFチップは、2つあわせて、今までと同程度の消費電力になっている。

 また上り通信の際の電力消費ではクアルコムの技術「Envelope Tracking」が採用されている。送信信号(上り通信の信号)をアンテナへ送る際にはアンプを経由して、増幅しているが、これまでは送信信号の強弱を時間軸で平均し、それにあわせて電圧をかけていた。場合によっては増幅させすぎていたこともあるが、Envelope Trackingではリアルタイムで送信信号の強弱を検出して、適切に増幅する。無駄な増幅がなくなり、電力消費の無駄を省く、という仕組み。こうした技術が商用化されたからこそ、このタイミングでキャリアアグリゲーションが導入された、という背景もあるそう。こうした取り組みで、auでは、ユーザーが抱く、スマートフォンのバッテリーの持ちに関する不安を払拭していく考え。

関口 聖