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SNS「GREE」の未成年利用者への過剰請求、影響が拡大

SNS「GREE」の未成年利用者への過剰請求、影響が拡大

 未成年の利用上限額の設定ミスを報告していたグリーは、SNS「GREE」について、1月7日の発表よりもさらに影響範囲が拡大したことを明らかにした。対象ユーザー数は5544人となり、設定ミスにより過剰請求した総額は約5000万円にまで拡大した。

1月7日の報告

 1月7日の発表でグリーは、2012年4月26日~9月7日にかけて、フィーチャーフォン向けGREEで、クレジットカード決済を設定していた場合に、未成年を対象とした上限額設定が機能しておらず、上限額を超えて決済できる状態にあったと報告した。

 GREEでは15歳以下の上限額を月間5000円、16歳~19歳の上限額を月間1万円までとしている。しかし、733名の未成年利用者から、総額2811万4470円を過剰に請求していた。

 原因は、クレジットカード決済の利用上限フィルターが設定されていなかったため。グリーは昨年9月に不具合を改修していたが、発表は2013年1月7日と約4カ月間、状況を公表してこなかった。同社では、未成年利用者のクレジットカード決済の割合が少なく、影響が軽微であると考えたとしていた。

1月18日の報告

 しかし、その後の調査で過剰請求の影響は大きく拡大する。

 7日の発表で、フィーチャーフォン向けサービスの集計値を公表したグリー。その後、フィーチャーフォンとスマートフォン向けGREEについて、より精査した結果、新たな設定ミスも明るみになった。

 新たに、GREE月額コースのユーザーの一部に影響が拡大したほか、楽天Edyで決済していた場合も利用上限設定が働いていなかった。さらに、利用者が複数の決済手段を併用した場合についても、影響を受けることになった。詳細は後述する。

 なお、月額コースに関する不具合は現在も継続中だ。楽天Edyと複数決済手段を併用していた場合の不具合については復旧している。グリーでは、利用者が影響を受ける可能性があるソフトバンクユーザーの月額コース加入について、新規受付を停止している。

 18日の報告によって、設定ミスの影響を受けた未成年利用者の数は、733人から7倍以上に拡大し5544人になった。上限を超えて過剰請求した金額についても、総額4937万170円にふくらんだ。

 グリーでは、過剰請求を受けたユーザーに対して、順次メールで案内している。17日時点で、やりとりが行われている利用者は136名。返金対応などは1月下旬から順次実施するとしている。グリーのWebサイトには、電話対応可能な問い合わせ先なども案内されている。

月額コースの上限超過

 GREEでは、2012年4月1日より、携帯電話会社の利用料と合算して支払える、いわゆるキャリア決済の仕組みを導入している。キャリア決済の仕組みは、NTTドコモ、au、ソフトバンクの利用者が使えるが、ドコモとauが月初に課金される仕組みであるのに対し、ソフトバンクはサービス加入した当日から課金が始まる。

 上限超過の不具合は、キャリア決済導入以前の月額コースに加入していた未成年ユーザーにおいて発生している。現在も復旧しておらず、不備は2012年4月から継続していた。

 グリーでは、1月18日、不具合が継続しているため、ソフトバンクの未成年ユーザーがGREE月額コースに加入できないよう、申し込みを停止。さらに、GREE月額コースを利用する未成年が、プリペイドカード以外の決済手段を併用できないよう、利用制限も開始した。

 なお、不具合の原因について、グリー側の設計ミスであるとしている。

楽天Edyの上限超過

 楽天Edyについても、設定ミスによる過剰請求があった。発生期間は、2012年4月26日~8月21日の4カ月弱で、現在は復旧している。

 未成年ユーザーがフィーチャーフォン向けGREEを利用し、楽天Edyで仮想通貨「GREEコイン」を購入した場合、上限額が働かない状態になっていた。

そのほかの上限超過

 さらに、未成年の利用者が複数の決済手段を使った場合にも、上限額の設定が動作していなかった。不具合は2012年4月26日から継続しており、グリーでは2013年1月18日に対応が完了する見込みとアナウンスしている。

 この不具合は、例えば月額コースのユーザーに毎月付与されるGREEコインに加えて、クレジットカードなど別の決済手段でコインを買い足した場合などに発生する。それぞれの決済の合計金額が計算されるまでにタイムラグが生じるため、上限額が正常に機能しないという。グリーでは、こちらも設計ミスであるとしている。

被害者への対応急ぐ

 設定ミスによって未成年への過剰請求が拡大したグリー。同社はまず、GREE内のお知らせ欄で事態を告知し、該当するユーザーにメールで案内する。広報部では、影響を受けるユーザーへの返金措置など、対応を急ぐとしている。

 それと併行して、GREEの運営体制の見直しも図る方針だ。新たな体制が決まり次第、なんらかの形で報告する予定という。

津田 啓夢