富士通研、3D非対応スマホで3D映像が撮れるクラウド技術


 富士通研究所は、小型のアタッチメントを装着することで、携帯電話やスマートフォンなどのカメラで3D撮影を実現する技術を開発した。

 今回開発した技術は、アタッチメントを利用して、3D撮影非対応のスマートフォンなどで3D撮影を実現するための技術。カメラをスライドさせて2枚撮影することで3D化するのではなく、1つのカメラで擬似的に2つの映像を撮影し、それを3D化する。動画でも静止画でも3D撮影が可能。

 アタッチメントの構造は小型かつシンプルなもので、大きさは57×14×14mm。安価に製品化できるという。4枚の鏡を搭載しており、装着して撮影すると鏡に反射する形で被写体を右方向と左方向から撮影できる。撮影した映像は、1つの画面の中に左右に2つの小さな画面が表示される形で記録される。今回の技術は、クラウド側でこの小さな2つの画面を2つの映像として取り込み、さらにそれぞれゆがみを自動的に補正することで3D化を実現している。

 なお、映像の中の2つの小さな画面を抽出しているため、その分、3D化された動画は小さくなる。1920×1080ドットのフルHDで動画撮影した場合、3D出力した映像は800×400ドットになる。また、デジタルカメラなど光学ズームに対応したデバイスの場合には補正が困難なため、スマートフォンや携帯電話向けとしているという。

 撮影した映像をクラウド情報にアップロードすると、サーバー側で2つの映像の対応する箇所を合わせ、見やすい3Dとなるよう自動補正する。これをダウンロードすることで3D映像が得られる。発表会のデモンストレーションでは、3D対応テレビなどで採用されるアクティブシャッター方式、赤と青色メガネで閲覧するアナグリフ方式、裸眼3D対応ディスプレイ向けのレンチキュラー方式の3D映像が確認できた。


アタッチメント

 富士通研究所では、今回の3D変換技術をクラウドサービス「ニフティクラウド」の仮想サーバー上に設置し、ニフティ運営の「デイリーポータルZ」と共同で実証実験を行う。3D映像サイト「3DポータルZ」で今回の技術が利用できる。

 研究所では、3Dの課題として、対応映像コンテンツが少ない点を挙げている。今回の技術を活用して、ユーザーに3D映像を気軽に作成できる点をアピールしていきたい考え。アタッチメントは各社が安価に製造しやすい構造で広く生産を募り、富士通としては3D変換技術およびソリューションを事業化していきたい方針。現時点では商用化は未定としている。

画像では確認できないが、裸眼もしくはメガネをかけて3D映像が楽しめる


 

(津田 啓夢)

2012/4/26 12:42