アップル、LTE対応で高精細になった「iPad」の新モデル


 米アップルは、iOS搭載タブレット「iPad」の新モデルを発表した。ディスプレイの高解像度化、LTEへの対応など、さまざまな新機能が盛り込まれている。3月16日に発売され、8日から予約を受け付ける。アップルのサイトではWi-Fi版の予約を受け付けている。

 今回発表された「iPad」は、iOS搭載タブレットの最新モデル。昨年発売されたモデルは「iPad 2」と名付けられていたが、発表では「The new iPad」(日本語サイトでは“新しいiPad”)と呼ばれ、製品名は「iPad」というシンプルな名称になっている。

 価格はWi-Fi版の16GBが4万2800円、32GB版が5万800円、64GB版が5万8800円、Wi-Fi+4G版の16GB版は5万3800円、32GB版が6万1800円、64GB版が6万9800円。

ハードウェアの進化

 機能面では高精細化したRetinaディスプレイの搭載、LTEへの対応などが大きな特徴となる。Retinaディスプレイは9.7インチ、2048×1536ピクセル(解像度264ppi)で、耐指紋性撥油コーティングを採用する。プロセッサはA5Xと呼ばれる新型で、グラフィックではクアッドコアで動作し、競合チップのTegra 3(NVIDIA製)と比べ、グラフィック性能は4倍になるという。

 背面に5メガピクセルのiSightカメラを搭載し、オートフォーカスや顔検出などに対応する。30fpsで1080pというHD動画撮影も可能となる。写真や動画に位置情報を付加できる。前面にはVGAサイズ(30fps)で撮影できるFaceTimeカメラを搭載する。

 通信機能では、Wi-Fi対応モデルに加えて、Wi-Fi+4Gモデルが用意される。ここで言う4Gとは、LTE方式のことで、米国ではVerizon WirelessやAT&TでLTEによる通信が利用できる。3Gにも対応しており、日本向けモデルを紹介するサイトでは、下り最大21MbpsのHSPA+、下り最大42MbpsのDC-HSDPAに対応と案内しており、LTEについては触れられていない。ただし、対応周波数が850/900/1900/2100MHz帯とされている。ソフトバンクモバイルではHSPA+およびDC-HSDPAのサービスを1.5GHz帯で提供しているが、今夏運用を開始する900MHz帯はHSPA+方式でサービスを提供する予定とのこと。なお、米国Verizon Wireless向けモデルの3G通信機能はCDMA2000 1xEV-DOをサポート。この通信方式は、日本でauが採用している。データ通信のみで、音声通話は利用できない。GPS機能は、Wi-Fi版に搭載されず、Wi-Fi+4G版で対応する。

 Bluetooth 4.0搭載で、Wi-FiではモバイルWi-Fiルーターのように使うテザリングをサポートする。ただし日本など一部の国ではテザリングが利用できないとのこと。

 アップルのWebサイトでは対応の通信事業者として、ソフトバンクモバイルでの利用を案内。ただし予約についてソフトバンクモバイルは「(発表直後の)現時点ではコメントできない」としているものの、3月16日からは発売する方針であることを明らかにしている。またauで販売されるかどうか、KDDIでは「ノーコメント」としている。

 このほか従来モデルの「iPad 2」は、価格を引き下げた上で、今後も継続して提供される。ただし16GBモデルのみの取り扱いとなり、Wi-Fi版の価格は3万4800円、Wi-Fi+3G版は4万5800円。

 大きさは241.2×185.7×9.4mmで、重さはWi-Fi版が652g、Wi-Fi+4G版が662g。Wi-Fi利用時の連続動作時間は約10時間で、3GやLTEを利用する際は約9時間になるとのこと。ボディカラーはブラックとホワイトの2色。

内蔵アプリ

 あわせてアップルでは、iOS 5.1の提供を発表。8日より提供するとのことで、これにより英語、フランス語、ドイツ語、日本語の音声入力と読み上げが可能となる。iCloudも利用できる。

 仕事に活用できる「iWork」、作曲できる「Garage Band」、映像編集の「iMovie」といったアプリケーションについてもアップデートし、新型iPadの高精細ディスプレイに対応する。また「iPhoto for iPad」も提供される。

 iOS 5.1とiTunes 10.6は8日から無料で提供される。iPhoto、iMovie 1.3、GarageBand 1.2は4.99ドルで提供される。

(関口 聖)

2012/3/8 05:07