NECのMEDIAS春モデル発表会、グローバル向け2画面スマホも


MEDIAS新製品のプレゼンテーションを行った田村氏(右)と西大氏

 NECカシオモバイルコミュニケーションズと日本電気(NEC)は22日、新製品発表会「MEDIAS Spring Collection 2012」を都内で開催した。NTTドコモから2012年春モデルとして販売されるスマートフォン「MEDIAS ES N-05D」、タブレット「MEDIAS TAB N-06D」のプレゼンテーションが行われたほか、グローバル展開を予定している端末3種が公開された。

“開くとタブレット”になる折りたたみ式2画面スマホなど

展示された「グローバルマスターモデル」3機種

 NECカシオでは海外向けの製品展開に注力しており、新製品発表会場で展示された3機種は海外展開の基本となる「グローバルマスターモデル」という位置付け。ハードウェア仕様の詳細やサポートする無線方式は現段階で決定しておらず、納入先(携帯電話事業者)に応じて適宜調整することになるという。なお、展示モデルはいずれもモックアップで、電源は入らない状態だった。

 3機種の中でもっとも特徴的な外見となっているのが「Best Cloud UX Device」と名付けられたモデル。4.3インチ級のディスプレイを2つ備えた、折りたたみ式構造を採用している。ただし折りたたみ方向が一般的なフィーチャーフォンとは異なり、画面が外側に常時露出する格好となる。これは「折りたたむとスマートフォン、開くとタブレットになる」という用途を意識したもの。また、左右別々の画面表示に対応することで、“パーソナルクラウド”がより使いやすくなるという。

 「Large Screen in One-hand」モデルは、5インチ級の大型ディスプレイを搭載。さらに狭額縁構造で実装することにより、片手でも扱いやすいモデルになる見込み。

 もう1つの「The most Stylish」は、ごく一般的なスマートフォンの外観を継承。画面サイズは4.3インチ級で、カメラ起動の早さやタッチパネルのレスポンス性が重視されているという。このモデルのみ、Android 4.0が実際に動作しているデモ端末が用意されていた。

 いずれの機種もいわゆるコンセプトモデルではなく、2012年内の発売を目指して実際に開発が進められている。LTEへの対応、最新OSの採用など、その時点で旬となる仕様も積極的に導入する。日本での販売も検討しているという。なお、スペイン・バルセロナで開催される「Mobile World Congress 2012」のNECブースでも参考展示される。


2画面仕様の「Best Cloud UX Device」大画面が特徴の「Large Screen in One-hand」

近年のスマートフォンをほぼ踏襲する外観の「The most Stylish」「The most Stylish」については、Android 4.0が実際に動作するモデルもあった。モックアップとはボタン部が微妙に異なる

タイでのMEDIAS販売、4月にスタート


4月からタイ市場でもMEDIASを販売

 また、NECカシオではタイのIT機器販売大手「SiS Distribution(Thailand)PCL」と提携し、4月からタイ市場向けにMEDIASシリーズの端末販売を開始すると発表した。MEDIASのグローバル展開は今回の例が初という。このほかにも、いくつかの業者との商談が最終段階にあると明かした。

 会場に展示された開発中の3機種についても、海外の事業者へ随時提案を行っていく。この際、カシオブランドでのタフネスモデルについても同時展開を図る。

薄さと強度を両立、「MEDIAS ES N-05D」の魅力とは

NECカシオモバイルコミュニケーションズ 代表取締役執行役員社長の田村義晴氏

 新製品発表会では、まずNECカシオモバイルコミュニケーションズ 代表取締役執行役員社長の田村義晴氏が登壇し、3月1日発売予定の「MEDIAS ES N-05D」についてプレゼンテーションを行った。

 MEDIASシリーズは現在、端末の仕様やデザインに応じて4つの製品ラインを設けている。MEDIAS ESはこのうち「上質なスタイリッシュライン(機能とデザインの両立)」となる「X」のラインに属する機種であることが最初に説明された。

 その上で田村氏は「2011年に発売を開始したMEDIASシリーズの第2世代モデルだ」と解説。初代にあたる「MEDIAS N-04C」が本体の厚み7.7mm、防水仕様が追加された「MEDIAS WP N-06C」が7.9mmだったのに対し、MEDIAS ES N-05Dは6.7mmと、防水仕様を維持しつつ、さらに薄型化した点を特にアピールした。

 一方、薄さの反面として「破損しやすいのでないか」という懸念が出やすいことから、強度に優れた部材を積極的に導入。ステンレスと樹脂を組み合わせたハイブリッドフレーム、サイドアルミフレーム、タッチパネル一体型液晶ディスプレイなどにより十分な剛性を確保されていると強調した。また、持ちやすさについても特段の配慮を行ったという。


従来機種よりもさらに薄型化一方で端末の強度も確保している

CMキャラクターである長谷川潤さんのビデオメッセージも上映された

タブレットなのにおサイフケータイ対応、その真意は?「MEDIAS TAB N-06D」

NEC パーソナルソリューション事業本部長の西大和男氏

 続いて、NECのパーソナルソリューション事業本部長である西大和男氏が「MEDIAS TAB N-06D」についてのプレゼンテーションを行った。なお、同端末はNECカシオではなく、NEC名義での開発・製造となっている。実際の開発にもNECの開発者が関わっているという。

 「MEDIAS TAB N-06D」は約7インチのディスプレイを採用。10インチ級のタブレットより一回り近い本体サイズを実現することで「色々なシーンで使っていただけるよう、持ち歩けることを重視した」と、西大氏は説明する。

 筐体サイズがコンパクトになる一方で、防水やNOTTV(モバキャス)対応を実現。さらに、タブレットながらおサイフケータイとしても使える。モバイルSuicaとして改札の通過も可能。プレゼンテーション中には、西大氏が手元の「MEDIAS TAB N-06D」で着信に応じ、通話機能の標準搭載をアピールする一幕もあった。

 これについて西大氏は「よりスマートフォンに近い感覚で使っていただける、大画面のタブレット」と説明。スマートフォンとの違いを意識することなく、いつでも気軽に持ち運んで使える点を指摘した。


タブレットながら、スマートフォンとほぼ遜色ない機能を備える音声面の機能も充実させた

遠隔サポートにも対応「エントリーユーザーとも親和性高い」

 発表会のゲストとして、NTTドコモ プロダクト部 第一商品企画担当部長である藤間良樹氏が登壇した。「MEDIAS TAB N-06D」では大画面でNOTTVを楽しめる点、「MEDIAS ES N-05D」については、その薄さから女性層やエントリーユーザー層の獲得が期待できる点を、MEDIAS春モデルの魅力だと解説した。

 また両機種とも、ドコモが2月下旬から3月にかけて提供を開始する予定の新サービス「スマートフォンあんしん遠隔サポート」にいち早く対応していることに言及。藤間氏は「この遠隔サポートは女性やエントリー層のご利用を意識したもの。MEDIAS ES N-05Dを購入されるお客様との親和性も高いのではないか」と、期待を寄せていた。


NTTドコモ プロダクト部 第一商品企画担当部長である藤間良樹氏MEDIAS春モデル2機種の「スマートフォンあんしん遠隔サポート」対応を解説した



(森田 秀一)

2012/2/22 19:47