津波被害の農地、ドコモなど3社が支援事業で提携


 マイファーム、NTTドコモ、NECは、東日本大震災の津波で、塩害をこうむった農地に対する復興支援事業で、提携することで合意した。

 今回の提携では、マイファームが塩害(潮害)を受けた農地に対して、土壌改良材を販売し、NTTドコモが降雨量などを計測できる環境センサーを無償で、NECが土壌の塩分や温度などを計測できる農地用センサーや、各センサーで計測したデータを扱う農業ICTクラウドサーバーを提供する。

 NTTドコモによれば、東北6県の耕地面積90万900ha(ヘクタール、1haは1万平方m)のうち、津波による塩害をこうむったのは2万3600haで、全体の2.6%にあたる。特に宮城県では、耕地面積のうち11%が影響を受けているという。

 塩害をこうむった農地では、浸透圧が高くなり、植物の根が吸水しづらくなり、さらに土壌の微生物が死滅して植物が育ちにくくなる。さらに土壌からカルシウムが不足して生育に障害がでる。こうした状況を改善するため、マイファームでは土壌改良材を震災後に開発。既に検証を行ったとのことだが、提携することで、ドコモとNECのセンサーが計測したデータをもとに、土壌改良材の有効性を示せるようになる。土壌改良材は300kgから受注し、価格は20万円~。塩害の状況によって必要量や配合が変わるとのことだが、300kgでおよそ一反(0.1ha)を再生できる。

 9月中にも、マイファームが支援する農園20カ所で土壌改良材を散布し、センサーを設置する。一般販売も同月中に行われる見込みで、その際には、先に散布された農地のデータが無償で提供される。

 ドコモでは、以前から環境センサーを活用し、気象情報を収集する取り組みを行っていることから、今回の提携で農地に対して提供する環境センサーと設置工事費用、および運用費用は無料とする。環境センサーで得られたデータは、農地復興に用いられるだけではなく、ドコモの環境センサーネットワークにも応用されることになる。NEC提供のセンサーおよびクラウドサーバーは有償で、センサー本体(設置工事費含む)は約80万円で、センサー1本で約1haをカバーできる。

 

(関口 聖)

2011/8/25 16:57