日本通信、メーカーブランドのAndroid端末「IDEOS」を発売


 日本通信は、SIMロックが施されていないファーウェイ製のAndroid端末「IDEOS」を発売する。今週末より出荷を開始するとのことで、10日間、データ通信が利用できるSIMカードが同梱される。価格は2万6800円。同社直販サイトのほか、家電量販店などでの取り扱いが想定されている。あわせて提供されるIP電話サービスは2011年1月中旬より提供される。

Android 2.2搭載のIDEOS

IDEOS
背面

 「IDEOS」は、ファーウェイ製のAndroid 2.2搭載端末。今回販売される製品は、メーカーブランドとして提供されるものの、故障時のサポートは日本通信が担当する。スペックは、グローバル版とほぼ同等となる。

 2.8インチ、320×240ドット、26万2000色表示のTFTタッチパネルディスプレイ、320万画素カメラを搭載する。Bluetooth 2.1(A2DP)、Wi-Fi(IEEE802.11b/g/n)に対応し、端末をWi-Fiルーターにできる“テザリング”機能も利用できる。A-GPS、加速度センサー内蔵で、最大32GBのmicroSDHCカードが利用できる。大きさは104×54.8×13.5mm、重さは約100g。2GHz帯のほか850MHz帯もサポートする。

 いわゆるSIMロックは施されていないメーカーブランド品だが、今回販売されるパッケージには、MVNOである日本通信のSIMカードが同梱される。このSIMカードは、データ通信専用で10日間利用できる。それ以上利用したければ、日本通信などのSIMカードを調達することになるが、3G回線なしでも利用できるとのこと。データ通信だけの利用では、本人確認や月額利用の契約といった手続きが必要ないとのことで、家電などと同じようにその場ですぐ購入し、すぐ利用できるという。

 Android 2.2搭載で、今後、バージョンアップが行われるかどうかは、ファーウェイの判断による。ただ日本通信では、IDEOSがグローバルモデルであることから、多数のユーザーが存在する製品であり、バージョンアップが期待できるとしている。

パッケージには4色の背面カバーが同梱待受画面
メーカーブランドで提供価格は2万6800円

IP電話サービスを提供

 日本通信では、回線交換で音声通話も利用できるSIM製品「talking b-microSIM プラチナサービス」や。データ通信用のSIM製品「b-mobile SIM U300」を展開しているが、スマートフォンの中でも安価な価格帯となる「IDEOS」では、より安価な「U300」の利用が想定されている。

発信画面

 それでも音声通話を利用したいと望むユーザー向けに、今回「IDEOS」用のIP電話アプリが提供される。このアプリは、Androidの通話APIを利用し、操作部のインターフェイスは通常のAndroidと同じものを利用しながら、通話時の音声はパケット通信でやり取りする。電話番号は050番号となり、いわゆるIP電話サービスいうことになる。利用するには、日本通信のサイトで申し込むことになり、その際には免許証などの本人確認書類のコピーを送信することになる。本人確認後、アクティベーションキーが郵送され、それを入力することで通話機能が利用できるようになる。

 これまでにIP電話について、数多くのテストを実施したとする同社では、「目の前で通話相手とやり取りすれば遅延はわかるが、ハンドオーバーなど通常利用は問題ないレベルと考えている」としている。このIP電話サービスは、月額490円(15分の通話料含む)、通話料はどの相手でも30秒10円となる。3G網、Wi-Fi網のどちらでも通話できる。また、同じサービスを利用する相手同士でも通話料はかかる。

 MVNO(仮想移動体通信事業者)である日本通信は、NTTドコモのネットワークとレイヤー2接続と呼ばれる形の相互接続(事業者間接続)を行っている。MVNOの中には、キャリアからネットワークを借り受けて提供する卸型(卸電気通信役務)も存在するが、相互接続のほうがMVNOにとって裁量範囲が広く、より自由なサービスの設計が実現できるとされている。今回もレイヤー2接続を活かしたサービスとのことで、新たなモバイル向けIP電話技術を導入し、そのプロトコルを通すようにしたことで、より安価な通話料が実現できたのだという。

IP電話サービスは月額490円、30秒10円050番号で発着信
2933円で運用できるとアピール

 同社では「U300」とIP電話サービスをあわせ、月額2973円で利用できるとしている。他のAndroid向けにも同様のサービスを提供したいとのことだが、今回はIDEOS専用アプリでIP電話サービスが実現している。050番号のIP電話のため、緊急通報は発信できない。

 日本通信 常務取締役の福田尚久氏は「2010年はスマートフォンが多く登場したが、いずれもハイエンドで、普及価格帯の製品がなかった」とIDEOS投入の背景を語る。また、同社の製品として「プラチナサービス」は高価格帯のスマートフォン向けで、「U300」は普及価格帯のスマートフォン向けと位置付けた。代表取締役社長の三田聖二氏は「現在の市場は単純な価格競争だが、それではビジネスが続かない。今回の料金設定はIP電話の導入など、コストダウンの結果」と説明し、来年4月にも導入されると見られる、SIMロックフリー製品の本格的な登場に向け、競争力のある製品で挑む姿勢を見せた。

日本通信の三田氏日本通信の福田氏
コストダウンで競争力を強化相互接続と新技術を組み合わせた

 

(関口 聖)

2010/12/22 13:19