「ネクストステージ」がテーマ、山田社長が語る今後の取り組み


 8日、NTTドコモは2010年冬~2011年春にかけて発売する新機種群を発表した。その内容は、スマートフォンや従来型の携帯電話(フィーチャーフォン)、デジタルフォトフレームや電子書籍端末などの新機種や、LTEサービス「Xi(クロッシィ)」とその料金体系、iモード向け「ドコモマーケット」などとなる。

 同日行われた発表会で、同社代表取締役社長の山田隆持氏は今回の発表において、ドコモは“ネクストステージ”に移る、としてスマートフォンやLTEサービスなど、新基軸のサービスで、新たな段階へ突入することをアピールした。

スマートフォン/フィーチャーフォンを双方に注力

 新機種群について山田氏は「一層の個性を追求したモデル」と表現。3D液晶搭載のスマートフォンや、クラウドサービス「Evernote」のアプリプリセット、沈胴式レンズを採用して“カメラに携帯電話機能が付いた”L-03Cなどを紹介した。

 質疑応答では、スマートフォンに注力する一方、フィーチャーフォンのユーザーが5000万存在しており、今後も継続して注力する方針を説明。10代ユーザー向けの“109ケータイ”「F-04C」、法人向けのSMARTシリーズなど、特定ユーザー層に向けたフィーチャーフォンが求められているとした。

ドコモの山田氏

 ただ、スマートフォンの売り上げは今後成長し、新規販売において、2013年ごろにスマートフォンがフィーチャーフォンを逆転する、との見方を示した山田氏は、その仕込みのため、2011年~2012年ころから、より一層スマートフォン向けサービスの開発に注力するとした。

 会見後の囲み取材において、スマートフォンにおける他社との差別化を問われた山田氏は、iコンシェルなどフィーチャーフォンで培ってきたサービス、あるいは人気のコンテンツをスマートフォンでも利用できるようにすることが重要と指摘。その戦略上、Androidというオープンプラットフォームは、ドコモにとって扱いやすいとした。

 ソフトバンクモバイルがAndroid端末を揃えてきたことについて、「他社のことだが」と前置きしながら、「iPhoneは確実に垂直統合モデル。キャリアからすると、ネットワークが(水を通すだけの)土管になっているのは確か。Androidはいろいろ手を加えられるようになっており、いろんな意味でAndroidがキャリアにとっても重要ではないか。iPhone一筋だと苦しいよ、なのでAndroidなのかな、と思う」とした。囲み取材では、XperiaやGALAXY Sに加え、スマートフォンのラインナップに今回の新機種が加わったことで、ソフトバンクモバイルのiPhoneと十分競合できる、との説明も為された。

 このほか、料金プランについては、弾力的に考えたいと説明。「多く利用するユーザーと、さほど使わないユーザーの間でも使用の公平性があってもいい。AT&Tで導入されたプランが1つの方向性かなと思う。その分安くするとか、バリエーションはいろいろあるだろうが、今後の環境で考えたい」と述べ、導入時期は未定ながら、通信量に応じた料金体系などを視野に入れているとした。

開発時期の違いで「Android 2.1」

 ソフトバンクモバイルが4日の発表会で「Android 2.2」をアピールした内容だったことを受けた質問に対し、山田氏は、開発開始時期が影響を与えると説明する。

 たとえば今回発表されたスマートフォンのうち、「LYNX 3D SH-03C」がAndroid 2.1となっているのは、開発当初、Android 2.2が存在しなかったためだという。ただ、今後の予定として、来年3月ごろには「LYNX 3D SH-03C」がAndroid 2.2へアップデートできるようにする方針も明らかにした。

LTEサービス「Xi」開始、年度末までに数万台

囲み取材前のフォトセッションに応える山田氏

 LTEサービス「Xi」について、山田氏は「他社に先駆けて開始することで、ネットワークもネクストステージ」と表現。2年契約を前提としたキャンペーン料金を打ち出したことを受け、「入りやすい料金にしたいと作った」と説明したほか、LTEの特徴は高速・大容量・低遅延の3つとして、従来よりも周波数利用効率が3倍になり、今後エリア拡充をLTEに集中する方針を示した。

 「これからのトラフィック増に対し、いかに限られた周波数を有効に使うか。LTEを主力としてこれから増設したい。当然、トラフィックが高いところからLTEを入れていく。原則としてW-CDMA/HSPAの増設をせず、LTEで対処できないか(検討する)。ローカルでトラフィック不足になると、HSPAでやらなければならないが、基本的にLTEでなんとか、なんとしてもやっていく」

 このように、今後のエリア拡充はLTEを中心に据える方針とした山田氏は、2014年度には3万5000局、人口カバー率70%を目指すとする。他社の高速通信サービスについては、利用する周波数幅が異なると指摘。他社と同じように10MHz幅が利用できれば、下り最大75Mbpsになるとして、周波数利用効率と通信速度を両立させているとした。

 囲み取材において、山田社長は2014年に同社ユーザーの約1/4がLTEへ移行しているとの推測を示す。そのとき、「6000万ユーザーになっていると嬉しい」と語りながら、4年後に1500万ユーザーを獲得できるとした。また通信速度制限は、従来のFOMAネットワークと同じく、直近3日間で300万パケットに達した場合は速度制限する方針とした。

フィーチャーフォンのテーマは“シンクロナイズ”

ドコモの丸山氏

 各種商品について説明を行ったドコモ プロダクト部長丸山誠治氏は、今回の新機種の開発コンセプトは「Synchronize(シンクロナイズ)」とする。これは、従来よりも一層、ユーザーのライフスタイルやニーズにあわせ“同期するケータイ”を表わした言葉だ。

 そのコンセプトの上で開発された新機種の特徴とは、「選べるデザイン」「選べるカメラ」「iコンシェルの進化」「つかいやすさの向上」と挙げる。1点目については渋谷の「109」に店を構えるファッションブランドとコラボした「F-04C」や、一部のパーツを好みのものにしたり、ネームなどを入れたりできる「N-02C」「F-01C」「F-03C」のマイセレクトサービスが紹介された。

 2点目は、沈胴式レンズを採用した「L-03C」などのことで、「画素数競争は収束しつつある」(丸山氏)として、多彩な撮影効果を楽しめる機種などをラインナップに揃えたとした。

 「iコンシェルの進化」「つかいやすさの向上」の具体的な内容については、それぞれの記事をご覧いただきたいが、これらの特徴により、フィーチャーフォンもまた“ネクストステージ”を目指すとした。

その他

 auが「Skype au」を開始することについて、山田氏は「VoIP(Voice over IP、通信での音声通話サービス)は、技術の流れ上、これから利用されるだろう。無線通信では遅延があって難しいという形だったが、ドコモのスマートフォンではSkypeアプリも利用できるものの、そう簡単ではない」と語る。

 VoIPの技術が進展すれば、今後考えなければいけない、とした山田氏は、auが回線交換を採用したことについて、検討はしたものの、場合によっては通常の音声通話よりも高い価格設定になりかねないと見ているとした。

堀北真希、渡辺謙、ベイダー卿も登場

 このほか発表会では、同社CMキャラクターである堀北真希、渡辺謙、ダース・ベイダー卿も登場した。トークセッションでは、司会者からの質問に対してベイダー卿が呼吸音で応え、それを渡辺謙が訳す、というシュールな場面も見られた。

 好みの端末として、コンパクトで防水仕様の「F-02C」を挙げた堀北は、その一方で「スマートフォンにもすごく興味がある」とコメント。「REGZA Phone T-01C」を好みの一台とした渡辺は「(よくするメールする相手は?)普段はかみさんかな。そして子供。その次にマネージャーですね」とコメント。自身がCMでキャラクターとなっているXperiaについてもデコメールが利用できることに触れて、出演作品の公開後に感想を記したメールをもらうと嬉しい、と普段の利用シーンを語っていた。

 



(関口 聖)

2010/11/8 22:15