「第9回モバイル広告大賞」授賞式、スマートフォン利用の事例も


 15日、都内で「第9回モバイル広告大賞」授賞式が開催された。携帯電話やスマートフォンを活用したマーケティング活動のうち、優れたものを表彰するもので、3つの部門で、それぞれ優秀賞と入賞の作品が選出されている。なお、最優秀となるグランプリ作品は該当なしとなっている。

 マーケティング部門の優秀作となったのは、「iButterfly ~クーポン・エンタテインメント~」で、iPhone向けのAR(拡張現実)アプリ。日本各地を“飛んでいる”蝶をiPhoneのカメラごしに見つけ、iPhoneを網のように振って超を捕まえると、クーポンやコンテンツなどが得られる。

 キャンペーン部門の優秀賞は、郵便事業会社が広告主となった「ヒルズポスト2009」。これは年賀状関連のキャンペーンとして実施されたもので、六本木ヒルズにある建物「メトロハット」を郵便ポストに見たて、その前に設置した郵便ポストにユーザーが投函する様子を撮影しつつ、その投函シーンをメトロハットに投影する。その投函シーンから配達までの映像コンテンツを年賀状にプリントされたQRコード経由で楽しめるという仕組みだ。2010年の正月に向けて実施された同キャンペーンは1日6時間、計10日間行われ、約2400人が参加し、計1万1000通の年賀状が出された。

 クリエーティブ部門優秀賞は、本田技研工業の「動くiPhone新聞」で、iPhone向け新聞アプリの広告欄が動画になっており、紙面の上を自動車が走ったりするなど、インパクトのある表現を実現した。広告から、最寄りの販売店を案内したり、カタログ請求したりできるなど、ユーザーとの接点になっていることも特徴という。

iButterflyヒルズポスト2009動くiPhone新聞

 冒頭、挨拶に立った「モバイル広告大賞」主催のD2コミュニケーションズ(D2C)代表取締役社長の宝珠山卓志氏は「これまで“ワンストップ・モバイル・マーケティング”というスローガンを掲げ、何にでも応える気持ちで活動してきたが、今年から“NO WIRELESS, NO MARKETING”に変更した。デスクトップパソコンの後にケータイが登場し、10年を経てスマートフォンが出てきている。さらに、どう捉えてよいかわからないタブレット端末も登場しており、(タブレット端末は)今後30機種くらい出てくるだろう」と述べ、モバイルを利用することが必須の時代になったと訴える。同社のスタンスとして「共・想・創」という標語をかかげ、広告主やメディアとの協力関係強化に意欲を見せた。

 モバイル向け広告についても、年々表現力が豊かになり、さらに顧客管理などにも活かされるようになる一方で、次なる取り組みとしてスマートフォン向けマーケティング活動は端緒についたばかりと指摘する。「いくつかスマートフォン単体でのマーケティング事例が出てきているが、まだまだ少ない。数は出回っていない」(宝珠山氏)として、携帯電話とスマートフォンを活用したプロジェクトの登場に期待する姿勢を示した。

D2C社長の宝珠山氏宣伝会議の田中氏

 また、審査員を代表して登壇した、宣伝会議編集室長の田中里沙氏は「新技術を取り込み、ユーザーの潜在意識にあるものを顕在化する、夢のあるプロジェクトが多かったと思う。スマートフォン対応事例なども出てきたが、新たなアイデアが今後登場することも期待する」と述べていた。

 このほかD2Cでは、エムティーアイ開発のコンテンツ変換サービスのスマートフォン対応版「モバイルコンバート for スマートフォン」と有力サイトのスマートフォン向け広告枠のパッケージ販売を開始した。スマートフォンに適した形にサイトを自動生成し、ヤフーやサイバーエージェント、エキサイトのスマートフォン向け広告枠やAdMobのモバイル広告ネットワークを販売する。

 



(関口 聖)

2010/7/15 16:55