手描き入力関連の新サービスを支援「手描きコンソーシアム」設立


 学研パブリッシング、シャープ、ウィルコムなどをはじめとする13の企業と東京大学、早稲田大学の研究者は共同で、手描き入力に関する新サービスの開発・普及を目的として「手描きコンソーシアム」を設立した。

 同コンソーシアムは、パソコンや携帯電話、スマートフォンといった端末・サービスにおける、手描き入力の新サービス提供を支援する目的で設立された。手描き入力に関連するセミナーや技術セミナー、シンポジウム、ワークショップ、分科会運営といった活動が予定されており、会員企業は今後1年で30~50社を目指す。

 手描き関連のフォーマットの策定などではなく、よりビジネスに近い領域で新サービス起ち上げを支援するのが目的とされており、手描きに関連したさまざまな企業が集まることで、共同してサービスとしての早期の成功を狙うのが目標となる。

 4月19日時点でのコンソーシアムの会員は、学研パブリッシング、シャープ、ゼンリン、デジタルハリウッド、日本テレビサービス、ロケーション、ウィルコム、ブイキューブ、グローバルエンジニアリング、BOOST、スマートジャパン、イートライジャパン、ユニファイ・リサーチの13社。加えて、東京大学と早稲田大学の研究者も会員として参加する。

 

「手描き入力が見直される時期にきている」

ユニファイ・リサーチ 代表取締役社長の五内川拡史氏

 4月19日には都内で記者向けに発表会が開催され、コンソーシアムの趣旨や目的が説明された。事務局を務めるユニファイ・リサーチ 代表取締役社長の五内川拡史氏は、手描き入力が欧米のタイプライター文化とは異なる、日本で長く親しまれてきた伝統的な文化であるとした上で、タッチパネルが携帯電話やゲーム機にまで普及したことで、「手描き入力が見直される時期にきている」とコンソーシアム設立の背景を語る。

 五内川氏は、手描き入力は今後、入力の簡単さや表現力の向上といったことに加え、ネットワークを利用した共有・同期といった機能が備わることで「システムとしての『手描き革命』が起こる」とし、現段階ではまだ課題を多いとするものの、「川上から川下まで、いろんな企業が集まる場所が必要なのではないか。手描きに関してはコンソーシアムにくれば分かる、という場にしたい」とコンソーシアムの意義を語る。同氏は「コミュニティを作り、新規事業の創造支援に結びつけたい。日本ならではの繊細かつ高度な手描き技術を構築し、世界に訴えられるものにしたい」と意気込みを述べたほか、技術標準化団体とは異なり、各会員企業をフラットな関係とした、事業創出を主眼に置いた組織である点もアピールした。

 説明会ではこのほか、手描き入力関連のデモも実施された。すでにサービスが提供されているウィルコムとシャープの「手描きチャット」では、リアルタイムに画面を共有し、画面に手描きで入力できる様子を披露。この仕組みの応用例として、通信添削問題の出題と回答や、地図への手描きでの指示、ビジネス文章への手描きの校正、楽譜への音符の入力といった利用方法が紹介された。

手描き関連の企業が集まることで新サービスの創出を支援する手描きコンソーシアムの活動方針
デモにはウィルコムとシャープの「手描きチャット」が登場リアルタムの通信添削といった手描きチャットの利用例が示された

 



(太田 亮三)

2010/4/19 16:37