エリアワンセグを利用、大学授業における聴覚障害者向け実験


 筑波技術大学、三友、日立システムアンドサービスは、聴覚障害者向けの授業において、放送エリアを限定する“エリアワンセグ”を利用して、授業内容にあわせた手話映像や字幕を提供する実験を行う。実験は1月25日から開始されており、2011年2月3日まで行われる予定。

授業イメージ

 筑波技術大学は、聴覚障害者や視覚障害者のみ受け入れる国立大学。同大学における授業では、常勤教員は基本的に手話ができるとのことで、常勤教員の授業では手話を混ぜながら、板書、スクリーンへの資料投影などで授業を行う。一方、非常勤講師は必ずしも手話ができるとは限らないため、授業内容を聴覚障害者向けに説明すべく、手話通訳、字幕を付けて行う。字幕は、4人1チームでパソコンを使って速記する方法や、ネット経由で他地域の速記担当者に授業の映像を送出し、字幕を送り返してもらうといった手法を採る。そうした情報は、教室前方のスクリーンで表示される。聴覚障害者の中でも、手話よりも口話(相手の口の動きや会話の流れから会話内容を判断する)が得意といった人もいるとのことで、手話・字幕の両方を用意しているという。

ニンテンドーDSでの利用イメージ

 今回の実験では、授業に参加する学生の手元にある、ワンセグ対応のニンテンドーDSや携帯電話を利用して、手話の映像や字幕を手元の端末で見られるようにする。手話・字幕を提供するというスタイル自体は従来と同様だが、手元のディスプレイで見られるようにすることで、授業内容をより確実に伝えられることを目指す。どの授業で実験を行うか、科目は現在検討中とのことで、本格的な運用は2010年度以降になると見られる。総務省関東総合通信局から実験局免許が交付されており、実験が行われる教室に放送設備が据え付けられる。同実験では、エリアワンセグの電波フィールドについても検証する。

システムイメージ

 

(関口 聖)

2010/3/10 15:46