携帯向けマルチメディア放送への参入希望が明らかに


 総務省は、「携帯端末向けマルチメディア放送」の実現に向けた調査の一環として、10月1日~11月2日にかけて募集していた参入希望の結果を公表した。携帯電話関連事業者では、ドコモ系列とKDDI系列が全国放送の受託事業者と委託事業者の両方に名乗りを挙げ、ソフトバンク系列が委託事業者への参入を希望している。

携帯端末向けマルチメディア放送 とは

 現在、国内の放送事業は、据置テレビをメインターゲットにした地上デジタル/アナログ放送や、衛星を使ったCS/BS放送、有線で提供するケーブルテレビなど複数存在する。携帯機器向けには、地上デジタル放送の仕組みを利用した「ワンセグ」が実用化されているが、、アナログテレビ放送終了後、空いた周波数の活用方法として、「携帯端末向けマルチメディア放送」の導入が検討されている。

 これまでに有識者による議論が行われたほか、2009年8月には基本方針がとりまとめられており、参入形態などが定められた。これにあわせ、総務省では「携帯端末向けマルチメディア放送」への参入希望が調査されることになった。

全国/地方、委託/受託で参入

 携帯端末向けマルチメディア放送では、全国で同一の放送を行う「全国向け放送」と各地ごとに異なる事業者が免許を持つ「地方ブロック向け放送」にそれぞれ周波数が割り当てられる。限られた周波数帯であっても、複数の事業者が番組を提供できるよう、無線局免許を持つ(放送設備を持つ)「受託放送業務」と、受託事業者に番組を提供する「委託放送業務」という制度が採用される。

 今回の調査では、計36社が名乗りを挙げているが、そのうち、全国向け受託事業に名乗りを上げたのは、NTTドコモやフジテレビなどが出資するマルチメディア放送の子会社(今後設立予定)と、KDDIとクアルコムが出資するメディアフロージャパン企画、四国アセチレン工業や愛媛銀行などが出資する株式会社ハートネットワークの3社のみ。地方向け受託放送には、ハートネットワークや、日本電波塔(東京タワー運営会社)、エフエム東京が参入を希望している。

 一方、これら受託事業者にコンテンツを提供する委託事業については、ドコモ系列のマルチメディア放送、KDDI系列のメディアフロージャパン企画のほか、ソフトバンクらが出資するモバイルメディア企画のほか、J-WAVE、キッズステーション、テレビ東京、住友商事、WOWOWなどが手を挙げている。

 ただし、今回は免許割当に向けた申請ではなく、あくまで参入希望を述べるだけということもあってか、公表された資料内では事業者名や参入希望先を非開示にする企業も存在している。公表された数値には、非開示のものも含まれている。

 



(関口 聖)

2009/11/16 17:05