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新プランから“0円”が消えた楽天モバイル、三木谷氏が触れた「電気通信事業法」の施行規則って何?

三木谷氏

 楽天モバイルが13日に発表した新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」。7月1日から適用される同プランは、月額1078円~3278円の変動制となる一方、0円で利用できる幅がなくなることが注目を集めている。

 この“0円”廃止の理由について、楽天モバイル代表取締役会長の三木谷浩史氏は、「電気通信事業法に抵触するため」とコメントした。本稿では、この「電気通信事業法」の当該条項をあらためてご紹介する。

“囲い込みを防ぐ”ためのルール

 楽天モバイルの広報によれば、「新プランの提供開始以降に、旧プランの新規申込を停止したうえで並行提供すること」が、電気通信事業法に抵触するという。

 「電気通信事業法 第二十七条の三 第二項第二号」では、通信事業者の禁止行為として、「通信事業者間の適正な競争関係を阻害するおそれがある料金や条件を提示すること」が挙げられている。そして施行規則として、継続して利用してもらう料金プランに対する割引額について上限が設けられている。

 月間データ通信量が1GB以下の場合、新プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」での料金は1078円。一方、旧料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」では0円で、差額を割引ととらえた場合、前述のルールに抵触するおそれがあるということになる。

楽天モバイルの当初の案は「既存ユーザーはそのまま」

 三木谷氏は、「当初の案としては『既存ユーザーは当面そのままでもOK』ということも考えた」とコメントしている。

 つまり、楽天モバイルとしては、旧プランのユーザーには0円で通信を提供しつつ、新プランを並行して提供することも可能だったということになる。

 しかし、前述のとおり、そうした料金体系は、電気通信事業法に抵触するおそれがあるという判断があった。その結果として、ワンプランをつらぬく楽天モバイルの新料金プランからは、0円のゾーンが消えることになった。

(現行プランのRakuten UN-LIMIT VIについて)既存のユーザーさんには当面このまま使っていただくというのが我々の案だったが、「既存のユーザーをキープしたまま新プランを出す」というのが電気通信事業法上でダメだということがわかった。

三木谷氏のコメント

 今回の件について、総務省の料金サービス課は、「個社のことにはコメントしない」と回答。「一般論としてそういう施行規則がある」と回答するにとどめた。

新プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」提供開始以降に、旧プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」の新規申込を停止した上で並行提供することについては、「電気通信事業法 第二十七条の三 第二項第二号」に抵触しうると当社としては考えております。

月間データ通信量が1GB以下の場合における両プランの差額を割引と捉えると、その額は「一年当たりの利益の額が当該契約に係る一月当たりの料金を超える」に該当する可能性があると考えております。なお、当社は日頃より総務省とは密に連携をとっており、新しい料金プランについては、ご報告済みです。今後も法令遵守に努めてまいります。

以下、該当法令について、ご案内致します。

・電気通信事業法 第二十七条の三 第二項第二号

その移動電気通信役務の提供に関する契約の締結に際し、当該移動電気通信役務の利用者に対し、当該契約の解除を行うことを不当に妨げることにより電気通信事業者間の適正な競争関係を阻害するおそれがあるものとして総務省令で定める当該移動電気通信役務に関する料金その他の提供条件を約し、又は届出媒介等業務受託者に約させること。

上記に紐づく施行規則は、以下の通りです。

・施行規則第22条の2の17第6号

(電気通信事業者間の適正な競争関係を阻害するおそれのある料金その他の提供条件) 第二十二条の二の十七 法第二十七条の三第二項第二号の総務省令で定める料金その他の提供条件は、次のとおりとする。 六 契約を一定期間継続して締結していたことに応じて利用者に対して行われる当該契約に係る移動電気通信役務の料金(付加的な機能の提供の料金を除く。)の減免その他これと同等の利益(特定経済的利益に該当するものを除く。)の提供であつて、それにより利用者が受けることとなる一年当たりの利益の額が当該契約に係る一月当たりの料金を超えるものであること。

楽天モバイル広報の追加情報より引用

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