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「日本語が通じないカフェ」で翻訳アプリは役に立つのか
2017年10月10日 19:25
「Seja bem vindo」「こんにちは」――お互い話す言語が異なるのに、なぜか通じてしまう。こんな不思議な体験ができたのはNTTドコモが10月10日限りでオープンした「日本語が通じないカフェ」だ。
筆者が訪れたのは、10日の夕刻。学校や仕事帰りの人がふらりと立ち寄るような時間帯だ。店内はほどよい混み具合。席に着くとまず日本人スタッフがやってきて、利用方法を案内する。そしてメニューを見ると、日本語の記載はない。英語、中国語、韓国語のほか、ポルトガル語、ドイツ語などの言葉で記されている。
ここで登場するのがドコモのアプリ「はなして翻訳」だ。同アプリには、対面で交互にボタンを押して互いの言語で話しをする対面モードや、写真を撮ってその中に含まれる言語を翻訳する画像翻訳モードがある。まずはメニューを撮影して読み解いてみると……なるほど、チーズバーガーやカフェオレ、ジュースなどがメニューに並んでいることがわかった。
そして注文。やってきたのは日本語ではなく外国語のみ、という店員さん。今回はポルトガル語のスタッフがやってきた。お互いにタブレットで翻訳、というステップを挟みながらコミュニケーションを図る。
「Já decidiu?」(お決まりですか?)
「アイスカフェオレをください」
「Está mente vai querer outra coisa?」(ほかに何かご希望ですか?)
「いえ、大丈夫です」
おお、うまくいった。ちょっとラグがある場面もあったけど、快適だ。店内を見渡せば、スタッフを熱心にコミュニケーションを図る高校生の姿もある。
NTTドコモの担当者によれば、今回のカフェは翻訳アプリそのものをアピールするのではなく、企業の社会貢献活動(CSR)の一環という位置付け。言語の壁というコミュニケーションを阻む壁をアプリで乗り越えられれば、一歩踏み出せるのでは、という体験をもたらしたかったのだという。同日、会場近くでは多様性(ダイバーシティ)をテーマにしたイベントも開催されており、そのテーマにもあわせた形だ。今後も同社では、高齢者や障害を持つ人などに向けた取り組みを進める考え。「日本語が通じないカフェ」も1日限定だったが、反響が大きければ、また何らかの形で実施されるかもしれない。