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ターゲットは一般家庭、LINE舛田氏が語った「Clova WAVE」の未来

ポストスマートフォン時代を語る舛田淳氏

スマートフォンの次の時代

 「スマートフォンの時代から、次の時代に入ろうとしている。ポストスマートフォンの時代は、すべてのモノがインターネットにつながり、すべてのコトがAIで最適化される世界」――LINE 取締役 CSMOの舛田淳氏は、「Clova WAVE」の発表会の冒頭にこう語る。

 「何年間も行われてきたインターフェイスの変化が起こる。タイピングやタッチをするインターフェイスのGUI(Graphical User Interface)から、VUI(Voice User Interface)の時代に変化しようとしている。この変化は日本でも世界でも起ころうとしている。そこに我々が提供しようとしているのがClova。生活を支え、豊かにするAIというコンセプトで開発している」と、舛田氏は、ユーザーインターフェイスの変化とAIの提供が、今後は重要な取り組みになると位置づける。

強みは日本と「LINE」、ターゲットは一般家庭

 舛田氏は、正式版となった「Clova WAVE」を解説した(※関連記事)後は、質疑応答に臨んだ。「Clova WAVE」における音声通話機能について聞かれると、ハードウェアとしての「Clova WAVE」への実装は未定としたが、クラウドAIの「Clova」には、「LINE」で提供している通話機能を実装していく予定とした。

 この日の午前、Googleから、スマートスピーカー「Google Home」を日本で販売することが具体的に案内されたほか、すでにAmazonも、クラウドAI「Amazon Alexa」やスマートスピーカー「Amazon Echo」の日本での提供をアナウンスしている。

 こうした競合他社と比較した際の強みについて聞かれると、「我々は(会社としての)LINEを作ってから、ずっとチャレンジャー。日本の住環境、日本のユーザーを、我々が最も最適に捉えられる。そのひとつがIRリモコンや『LINE』との連携。これはLINEでしかできないこと」と日本を基盤にサービスを提供してきた強みを語ると、「LINEの家族アカウントを提供するのも、我々にしかできない。7000万人のLINEのユーザーがClova WAVEを利用しやすいように、毎日使いやすいように、いろいろなスキル(Clova Skills)を考えていく。それが我々の強み」と、コミュニケーションプラットフォームとしての規模の大きさも背景に、特徴を打ち出していく方針を語っている。

 舛田氏はまた、「Clova WAVE」をはじめとした、クラウドAIを使うセンサーやIoT製品は今後、スマートフォン以上に普及すると予測する。「だからこそチャレンジしている。10年前やスマートフォンがそうであったように、最初は小さい規模かもしれないが、どんどん普及して、あたりまえの存在・環境になり、それがプラットフォームになる。そこにサービスやコンテンツ、パートナーやビジネスが生まれる。我々はそこを目指している。2~3年をかけていろいろなことを準備していく」と、Clovaを提供する背景を語っている。

 パートナーとの連携や拡大については、特に「Clova Skills」の開発で連携を拡大していく。「いろいろ発表したかったが、準備もあり、まだ早いかな、となった。LINEがそうであったように、ClovaやClova WAVEについても、スキルを増やす取り組みでいろいろな方々とコミュニケーションをとっている。年内や年始も含めて、次々に機能が追加されると考えてください」と、今後も積極的に機能(スキル)を追加していく方針。サードパーティが「Clova Skills」を開発できる開発者向けキット(SDK)やプラットフォームについても2018年初頭に提供する予定であるとしている。

 スマートスピーカーという分野の製品について、普及の見込みを改めて問われた舛田氏は、「スマートフォンが出たときも、日本にはフィーチャーフォンがあるからいいんだと大半の人が言っていた。そうした中でも、(スマートフォンは)良いものなので広がっていった。LINEなら、一部の人しか使っていなかったVoIPサービス(インターネット回線を使う通話サービス)やチャットを普及させた実績がある」と、製品が普及していく過程や実績を語ると、「我々が手がけるからには、多くの人に使ってもらわないといけない。一部の人ではなく、一般的な家庭にどうやって普及させていくかにしか興味はない。マーケティングや機能も含めて、いろいろな施策を考えていきたい」と、実験的ではなく、あくまで一般家庭をターゲットに普及を図っていく方針を語っている。