ニュース
社内のコミュニケーションがFacebookのようにつながる「Workplace」
“法人版Facebook”を担当者が日本向けに解説
2017年5月17日 20:06
フェイスブックジャパンは、社内のコミュニケーションツールとして利用できる「Workplace」(ワークプレイス)の日本での正式提供を開始した。すでにいくつかの企業に導入されていることもあり、5月17日に開催された説明会ではコンセプトや日本での事例が紹介された。
「Workplace」は、「Facebook」で提供されているようなコミュニケーションや情報共有の仕組みを、企業の内部のコミュニケーションツールとして利用できるよう提供するもの。Facebookのメッセンジャーに相当する機能やビデオ通話、動画のライブ配信機能なども用意されている。Facebookアカウントとは連携せず、各ユーザーはFacebookのIDがなくてもWorkplaceを利用できる。
基本的には、企業内や、店舗や工場とその従業員といったさまざまな環境で働く従業員のコミュニケーション・情報共有の活性化や効率化を図るもの。「Workplace」を導入しているほかの企業と連携することもでき、企業をまたいでグループをつくることも可能。
またチャットボットを設定することもでき、例えばWorkplaceのメッセンジャー(Work Chat)上でボットと受け答えしながら定型書類の申請を行うといった使い方も可能という。
同サービスはグローバルでは2016年10月から提供されており、無料のスタンダード版と有料のプレミアム版がある。グローバルの例では、プレミアム版は従業員数1000人以下で一人あたり3ドル、1万人未満が一人あたり2ドル、1万人以上が一人あたり1ドル。企業向けのコミュニケーションツールとしては「破壊的な価格設定」とし、低料金であることも特徴としている。
従業員、経営者の双方に意識改革を誘発する「Workplace」
17日の説明会には、Facebook Workplace事業 アジア太平洋地域責任者のナクル・パテル氏が登壇し、コンセプトや概要を解説した。
企業としてのFacebookのミッションは、世界中の人々のつながりをサポートすることにあり、それには、仕事をしている世界の35億人にアプローチすることが重要になるという。
WorkplaceはSNSの「Facebook」とは異なり、導入した企業が主体的に管理や運営を行うプラットフォーム。このため、どういうやりとりが行われているかという具体的・統計的データはすべて企業側で分析・管理を行う。また通常の「Facebook」のIDとは連携しないほか、広告の表示はなく、デザインもFacebookとは異なっている。
一方で、アンケート作成、コメント、レポート作成、メッセンジャー機能などの基本的な使い勝手はFacebookを踏襲しており、(Facebookに触れたことがあれば)説明や習熟期間が不要とするほか、スマートフォンから利用できるモバイルファーストも徹底するなど、「Facebook」の特徴も継承されている。
Workplaceは、元をたどると、Facebookの社員が自らの業務にFacebookのグループ機能を利用していたことに始まるという。一方、プライベートのコミュニケーションも、業務も、Eメールを主体にして進めることは難しいか、効率が悪いという状況になっており、Workplaceの基になる機能を開発する傍らで、市場環境としても、業務にコミュニケーションツールを利用する方法が確立されてきたという。
変化に対応できない会社は消えていくのは、過去50年で88%の会社が消滅したという歴史が証明していると示すパテル氏。「企業が変わらなくても、変化は周りで起こる」と、業務においてもコミュニケーションで大きな方向転換が起こっていることを訴える。
パテル氏は、マーク・ザッカーバーグ氏の「Workplaceはビジネスを運営することに似ている」というコメントや、導入企業による「エンタープライズのソフトウェアだが、マインドセットの変革だ」という感想を紹介し、Workplaceにより業務上やりとりされるコミュニケーションが隅々まで見渡せ、垣根なくやりとりできることで、業務に携わる人間や経営者の意識も大きく変革される様子を語った。
ひとりのアイデアが全店舗で採用、“法人版Facebook”のインパクト
1万4000社以上が採用しているというグローバルでの導入企業の事例では、北米のスターバックスを挙げる。北米の全店舗に導入したことで、全従業員がどこにいても新しいCEOのメッセージを動画のライブ配信で受け取れたことや、逆に、あるひとりのスタッフが思いついて試作したドリンクが(スターバックスの)Workplace上で話題になり、全店舗で採用されるメニューになったことなどを紹介した。
「Workplace」は日本でもすでに300社に採用されているとのこと。例えばコロプラでは、開発するゲームタイトルごとにグループを作り、オープンな設定にすることで、他のチームの知見を共有しやすくなり、上層部もどのような開発がどういう経緯で進められているのか、会社全体を俯瞰しやすくなったという。
架空の日本企業の設定で「Workplace」のデモンストレーションを披露したFacebook Workplace事業 アジア太平洋地域担当 グロースマネージャーの豊田哲太郎氏は、「ただのチャットツールとしてや、部活動の報告から、全社向けの議論、チームの議論、1対1の迅速な議論まで、さまざまなコミュニケーションをサポートできる」とWorkplaceの特徴を語る。
また、「モバイル、デスクトップに関係なく、働く場所も問わず、スピーディに意見や知識を共有して意思決定を行える」と、従業員のさまざまな環境に対応できることもアピールし、政府が進める働き方改革にも貢献できるものとした。