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KDDI、2017年度は「au STAR」などユーザー還元策を拡大

2016年度通期の決算は増収増益に

 KDDIは2017年3月期(2016年4月~2017年3月)の決算を発表した。決算発表会にはKDDI 代表取締役社長の田中孝司氏が登壇した。

 2016年度通期の連結売上高は、前期比6.3%増の4兆7483億円、連結営業利益は前期比9.7%増の9130億円で、増収増益だった。

 田中氏は、国内事業が増益を支えたとしたほか、総務省のガイドラインによる販売コスト(顧客獲得コスト)の低下も影響したとする。

KDDI 代表取締役社長の田中孝司氏
2017年3月期の決算ハイライト

数が減少するau、MVNOを加えて規模を拡大

 モバイル通信事業は「安定的な成長」とし、「UQ mobile」「J:COM MOBILE」「BIGLOBE」の3つのMVNO事業の拡大も増収を牽引していくとした。「UQ mobile」は対面販売の強化、「BIGLOBE」はオンラインを中心にSIMカード需要に応え、新たな顧客を獲得していくといった各社の方針も示されている。

 「モバイルID」数は、契約の数ではなくユニークユーザー数を示すものとして用いられているが、auの契約者数に限ると減少傾向が続いているものの、上記のようなMVNOのユーザー数(BIGLOBEのドコモ回線も含む)を加えることで第4四半期には反転、増加したとしている。今後も「au+MVNO」という枠組みで成長を目指すという。なお、一人あたりの平均収入を示すARPAは増加傾向を維持しており、付加価値ARPAの増加を図って増収に結びつけていく考え。

 モバイルID数のうち、auの契約者数が減少している傾向については、総務省のガイドラインの影響でMNO間の流動(MNP)がなくなっているとした上で、「MVNOへの流出が顕著になっているとみている」と分析している。

 田中氏はこれに加えて、新規・機種変更を含めた端末の総販売数が減少している状況にも言及する。スマートフォンの販売数は対前年比で3.8%減少したとし、コンシューマー向けの新規の販売は「大幅に落ち込んだ」とする。機種変更の販売の増加は新規・MNPの減少をカバーできず、全体として販売数が下がったという状況を明らかにしている。

「au STAR」などに250億円の戦略的投資

 一方、販売コストの低下が増益要因になっていることから、ユーザー還元策は2017年度も拡大していく方針を示す。ユーザー還元施策の中心は「au STAR」などの取り組みになるという。一方、ユーザー還元策の一環としての料金プランの値下げは、「考えないといけないが、現時点での回答は控える」とするにとどまった。

 なお、2017年度は500億円の戦略的投資があるとし、このうち250億円は「au STAR」などのリテンション(顧客維持)施策に投資し、150億円を店舗改装などを含めたライフデザイン事業でのチャネル改革に、100億円を「Wowma!」などの販売拡大に投資するとしている。

 ドコモがシェアプラン向けに発表した月額980円の基本プラン「シンプルプラン」に対しては、「いろいろ考えなければいけない。考えがまとまったら発表する」と、対抗していく方針。

 設備投資は2017年度で5300億円を予想しており、これは700MHz帯や3.5GHz帯への投資などが中心になる見込み。5Gへの設備投資は、2019年から本格化させるとしている。

決算プレゼンテーション