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Spotify参入で定額制サービスに混戦の兆し、利用率は増加

オリコン人気アーティストは「dヒッツ」が最多

 インプレスのシンクタンク部門であるインプレス総合研究所は、定額制音楽配信サービスの利用実態を調査し、結果を明らかにした。

 調査はスマートフォン上のWebアンケートで実施され、2万1910人が対象になった。期間は3月10日~17日。定額制音楽配信サービスを現在利用していると回答した1283人に対し、詳細な調査を行っている。前回の調査は2016年7月。

 定額制音楽サービスの市場は、日本でもすでに主要なサービスが提供されているが、2016年は海外で大手の「Spotify」が日本市場に参入、楽天も「Rakuten Music」を開始するなど、参入が続いた。また、一部のMVNOでは、音楽配信サービスを含めて、対応サービスのパケット通信量のカウントを除外する“カウントフリー”を導入し、ユーザーの利用環境にも新たな選択肢の増加や変化が起こっている。

利用率、すべての年代で増加

 定額制音楽サービスの利用率は、「現在利用している」が11.9%で、2016年7月の前回調査より2.8ポイント増加した。「過去に使用したことがある」は18.3%で、合計すると利用経験者は31.2%になった。

 性年代別でみても利用率はすべて増加した。男性はどの年代でも利用率が13~16%に収まるのに対し、女性は10代(13~19歳)の12.3%を頂点として、年代が高くなるほど利用率が低くなる傾向。

Amzonの「Prime Music」がシェア1位、2位以下はSpotify参入で混戦の兆し

 定額制音楽サービスを現在利用しているユーザーを対象に、メインで利用しているサービスを聞くと、「Prime Music」が4.4ポイント増加の40.6%で1位だった。

 2位は「LINE MUSIC」(12.5%)、3位は「Apple Music」(9.5%)、4位は「AWA」(7.2%)、5位は「Spotify」(7.1%)と続いた。圧倒的1位の「Prime Music」がシェアをさらに伸ばす一方、2016年の「Spotify」参入の影響で、2位以下ではSpotify以外の各サービスのシェアが低下している。

 年代別にみると、10代(13~19歳)は「LINE MUSIC」のシェアが男女とも1位で、そのほかはすべて「Prime Music」が1位だった。また女性は総じて「LINE MUSIC」のシェアが高い傾向だった。

 メインで利用しているサービス以外のサービスの利用経験を聞くと、有料・無料を含めて66.7%が利用経験があると回答。特に、無料で利用することで、複数サービスを比較している様子が明らかになっている。

選んだ理由、「安い」「おまけ的に利用できる」

 メインで利用しているサービスを選んだ理由については、「月額の利用料が安い」が26.4%、「他サービスの会費によりおまけ的に利用できる」が26.2%となり、シェアの高いAmazonの「Prime Music」のサービス内容(音楽配信サービスは、プライム会員向けサービスの一部)が大きく影響する形になっている。

 このほかでは、「オフラインで再生できる」(21.6%)、「コストパフォーマンスがよい」(21.5%)、「楽曲の数が多い」(20.9%)、「好きなアーティストの楽曲が配信されている」(20.3%)と続いている。

 定額制音楽配信サービスの満足度については、「非常に満足」が22%、「やや満足」が48.7%になり、合計で約7割が満足していると回答した。

不満点

 一方、不満点を聞くと、「好きなアーティストの曲が配信されていない」が43.5%、「楽曲数が少ない」が27.8%、「毎回パケット通信量がかかる」が16.5%となり、前回の調査と同様の傾向になった。

 なお、調査結果では圧倒的シェアを獲得している「Prime Music」だが、楽曲数は100万曲以上、後述するオリコンセールスTOP100アーティスト数は20と、どちらの指標も調査対象の12のサービス中、最低になっている。

日本人向け、オリコンの人気アーティスト数は

 各サービスが公表しているサービススペックでみると、楽曲数は「Spotify」「Google Play Music」が4000万曲以上、「AWA」が3000万曲以上、「Apple Music」が3000万曲と、大規模なサービスが揃っている。ただし、これらの配信楽曲数は海外のアーティストを含む総数。

 最も不満とされた「好きなアーティストの曲が配信されていない」に関連し、国内の人気アーティストの指標として「オリコン 2016年度年間ヒットランキング アーティストトータルセールスTOP100」を用い、TOP100のアーティストの楽曲が配信されているかどうかを調査すると、NTTドコモの「dヒッツ」が70アーティストで最も多く、KDDIの「うたパス」が65アーティストという結果になった。

 前回調査でも「dヒッツ」はオリコン2015年度同TOP100で67アーティストと最も多く、「うたパス」が57アーティストで続いており、ラジオ型サービスながら独自性を打ち出している。なお、そのほかのサービス(Prime Musicを除く)もTOP100のアーティスト数はおおむね50前後で、前回調査と同様。