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「GRANBEAT」発表会、スマホの便利さを加え「音楽プレーヤーの最高傑作を」
2017年1月26日 18:20
オンキヨー&パイオニアイノベーションズは、ハイレゾスマートフォン「GRANBEAT DP-CMX1」の発表会を開催した。同端末はハイレゾ音源の再生にフォーカスしたAndroidスマートフォンで、SIMロックフリーやDSDS対応なども特徴。端末そのものについては別のニュース記事も参照していただきたい。
ポータブルオーディオプレーヤー×スマホ、満を持して投入
発表会にはオンキヨー&パイオニアイノベーションズ 代表取締役社長の宮城謙二氏がまず登壇。同社がハイレゾ対応のポータブルオーディオプレーヤーの第1弾として2015年11月に発売した「DP-X1」を開発している当初から、「これにSIMを入れるべきだ」という意見が社内で持ち上がっていたことを振り返った上で、「なぜ音質に特化したスマホを開発するのか?」と自問する。
同社のハイレゾへの取り組みは、コンテンツの拡充に注力しているのも大きな特徴。2005年に開始した同社のハイレゾ音源配信サイト「e-onkyo music」は、現在までに日本の主要なハイレゾ音源配信サイトのひとつになっており、楽曲数もここ数年で大きく拡大しているという。2016年度は27万曲になる見込みで、2017年度は30~40万曲まで拡大する見込み。
同社調べという、世界のホームオーディオの市場、約3兆2000億円のうち、ポータブルオーディオプレーヤー(デジタルオーディオプレーヤー)とヘッドホン・イヤホンは、それぞれ約25%でほぼ同じ割合。この2種類にワイヤレススピーカーなどを合わせた“ポータブルオーディオ”市場は、全体の半分以上を占める巨大な市場になっているという。
また、音楽の再生で使う機器の筆頭は、圧倒的にスマートフォンであるという調査結果も示し、ポータブルオーディオとスマートフォンの両方を実現する製品を「満を持して導入する」とした。
宮城氏は、「スマートフォンで失われていた音楽性、ミュージカリティを追求する。ハイレゾだけでなくAWAなどのストリーミングサービスでも(音が)格段に良くなる。スマホの利便性を借りて、音楽プレーヤーの最高傑作になった。ぜひ楽しみにしていただきたい」と自信を語った。
測定ではS/N比 121dBも、スマホならではの工夫
具体的な機能などは、オンキヨー&パイオニアイノベーションズ 取締役 ネットワークサービス事業本部 本部長の土田秀章氏から解説された。
土田氏は、ターゲットユーザーは「スマホの音では満足できない人」とした上で、「音楽を愛する人に、スマホで最高の音質を楽しんでもらいたい。今までのスマホの中で一番いい音にしたい。ハイレゾだけでなくCDをリッピングしたもの、圧縮音源、ストリーミングも、いい音で再生したい。そこに企画とエンジニアの意図がある」とし、あらゆる音源をハイレベルに再生できる製品であることをアピールした。
同氏からは、アルミ削り出しのボディや、内部で別基板にしてシールドも施したオーディオ基板へのこだわり、フルバランス駆動、aptX HD、歌詞表示といったオーディオプレーヤーとしてのこだわりが解説された。
ノイズ対策の影響が大きいS/N比については「我々は“シャイ”なので、カタログでは115dB以上となっているが、実際の測定では121dB以上のS/N比がとれている。(ノイズ対策により)3GやLTEのオン・オフによるS/N比の差も、誤差といえる範囲にまで追い込めているのも大きな特徴」とし、一般的に懸念される、通信機能からのノイズ対策にも自信を見せた。
質疑応答では、音質の傾向について聞かれ、オンキヨー製品の音の方向性を決めるサウンドマイスターがチューニングを行ったことを明らかにしている。「DP-X1A」など既存の製品との音質の差についても、「上下(優劣)ではない。回路構成や使用部品も基本的にはDP-X1Aと同等。もちろん、すべて同じにはならないが、ぜひ確かめてもらえれば」としている。
「ハイレゾ音源はダウンロードしようとすると大容量だが、MVNO事業者とそこをカウントフリーにするといったようなコラボレーションの可能性はあるのか?」との問いに対しては、土田氏は「(MVNOとは)これから具体的なお話をさせていただくが、ぜひとも、そういうようなことも視野に入れながら新しいご提案ができるように考えていきたい。残念ながら今時点ではお話しできるような内容はない」とコメントした。
楽天モバイル黒住氏、スマホとハイレゾを語る
発表会ではまた、開発当初からアドバイスを行っていたという、「楽天モバイル」チーフプロダクトオフィサーの黒住吉郎氏がゲストとして登場。個人向けドローンの取り扱いを開始するなど、面白い商品、楽しい商品という切り口でもラインナップを拡大しており、こうした流れの中に「GRANBEAT DP-CMX1」も位置付けられるとした。
黒住氏は、前々職のソニーモバイル時代に、Xperiaシリーズを手がけていた経験として、ソニー・エリクソンの端末が拡大したきっかけがウォークマン・モデルであったことなどに触れる。一方で、ハイレゾ対応を最初に果たした「Xperia Z2」は、「(ハイレゾ対応の内容は)中途半端感は否めなかった。USB接続で外部のポタアン(ポータブルアンプ)が必要とか、96kHzまでとか、どこか妥協があるのが拭えなかった」と振り返る。
「私がやってきたのは、スマートフォンになにかを付けるということだった。その経験があるからこそ、(GRANBEATの開発には)音楽に妥協してはいけない、そこがブレると意味がない、響かない、売れない、と言ってきた。スマホだからオーディオの回路を減らした、それでは意味がない。ベースモデルと同じかそれ以上でないと意味がないと言ってきた」と、積極的にアドバイスしてきたことを明かす。
重さや形状についても、重く、シャープで尖っているとした上で、「音楽を軸にして考えると、しっかりとした本体には意味がある。形状も、これ以上丸くなると、音を奏でるものとしての物欲が失せてしまう」と、音楽プレーヤーとしての魅力が第一に実現されている様子を語った。
大友康平が登場した第2部も開催
午前と午後の2回に分けて開催された発表会の午後の部には、ロックバンド「HOUND DOG」のボーカル、大友康平が登場。事前に「GRANBEAT」を1週間ほど使ったという大友は、デザインの印象を「一言で言うとゴツい。質実剛健。男が持って持ちごたえがある」と表現。
GRANBEATで聴くオススメの音楽のジャンルを聞かれると、「オーディオにこだわっている人はクラシック音楽。ピアニッシモから……何て言いましたっけ? フォルティシモ? それをこの小さなマシンが増幅してくれる」と、ちゃっかり自身の曲もアピール。
ハイレゾ音源の魅力については、「最近はジャズを聴くことが多く、ドラムのトップシンバルがキュンキュン言って、スネアの革が鳴っている感じがする。ボーカリストの息遣いも感じられる」とした上で、「一人でも多くの人に体験して欲しい」と語った。