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Spotifyが一般公開を開始、招待なしで利用可能に

 Spotifyは、無料プランもある定額制の音楽ストリーミングサービス「Spotify」を一般公開したと発表した。9月29日の日本でのサービス開始から、今まではエントリー制としていたが、11月10日からは誰でも利用できるようになった。同時にSNS連携の強化や対応機器の拡大も発表され、対応が開始されている。

 「Spotify」は世界でアクティブユーザーが1億人以上という大型の音楽配信サービスで、日本では4000万曲以上が配信され、1日に2万曲以上が追加される。同サービスの特徴になっている、あらかじめ用意されるプレイリストは20億本以上で、毎日200万本が追加される。

 日本で展開されている「Spotify」の内容は、これまでと同様。広告付きでシャッフル再生が主体のフリープランと、月額980円(税込)ですべての機能が利用できるプレミアムプランの2つが用意されている。

 サービスの詳細については発表時のニュース記事も参照していただきたい。

SNSや「Shazam」連携を強化

 11月10日からは、招待制を廃止した一般公開に合わせて、SNSでの共有機能が拡張される。Twitterでは、視聴中の楽曲を共有すると「Twitter オーディオカード」として投稿されるようになり、このカードが表示されたユーザー(フォロワー)は、Spotifyのアプリを立ち上げることなくタイムライン上で30秒間の試聴が可能になる。

 Facebookではプロフィールページに楽曲やアルバム、プレイリストを表示でき、Facebook Messengerで友人へ送ることも可能。

 また、音楽認識サービスの「Shazam」とも提携を開始。「Shazam」アプリでは、検索結果の楽曲をSpotifyで再生できるようになった。

オーディオ機器や自動車からも利用可能に

 さらに、Wi-Fi機能を搭載した、100種類以上のデバイスでも対応が開始された。Wi-Fi対応のオーディオ機器や、テレビ、ゲーム機、パソコン、自動車などで、ひとつのアカウントでマルチデバイスとして利用できる。

 ゲーム機はPlayStation 4および3がすでに対応しており、ゲームプレイ中のBGMをSpotifyから選ぶ、通信対戦中の相手と同じ曲を聴くといったことが可能になっている。

 オーディオ機器の対応状況は、今後発売される機種を含め、オンキヨーが10機種、GoogleのChromecast Audio、ソニーが25機種、テクニクスが2機種、デノンが3機種、パイオニアが14機種、ボーズが10機種、マランツが2機種、ヤマハが33機種となっている。

 なおボーズのSpotify対応モデルについては、11月1日にボーズから「SoundTouch 10」などの対応モデルや利用方法が発表されている。僚誌AV Watchのニュース記事も参照していただきたい。

 テレビでは、Amazon.co.jpのFire TV/TV Stick、GoogleのChromecast、ソニーのAndroid TV搭載ブラビアが対応した。自動車では、車載のコンソールなどでBMWが81モデル、MINIは20モデルが対応。ボルボは「XC90」などの90シリーズが近日対応予定としている。

日本でもプレイリストが人気、海外で人気を博すアーティストも登場

 11月10日には、都内で記者向けの発表会が開催され、サービスの一般公開や機能の拡充について解説された。登壇したスポティファイジャパン 代表取締役社長の玉木一郎氏は、9月29日の日本でのサービス開始から6週間の傾向を振り返り、アーティストやDJなどと連携し、アーティストからファンに招待コードを送るといった、ファンと一体になった取り組みも進めていたことなどを説明し、SNSなどでは、プレイリストなどを通じて知らない音楽に出会えることがユーザーの間で評価されている様子を紹介した。

スポティファイジャパン 代表取締役社長の玉木一郎氏

 その日本のユーザーの過去6週間の利用動向だが、楽曲再生回数の3分の1は、プレイリストから再生されたものであったことを明らかにした。アルバムや楽曲を指定して再生する方法以外に、豊富に用意されたプレイリストが積極的に利用されているとし、さらに日本のユーザーには「ゲーム」カテゴリーのプレイリストの人気が高いことも特徴であるとした。

 日本ではまた、気分やシーンにあわせたプレイリストが好評で、日本発の動きとしては、「ノルウェイの森」といった特定の文学作品テーマにし、本を読む時に聴く音楽のプレイリストが登場していることも取り上げている。

 玉木氏はまた、海外で多くのユーザーが利用し、グローバルな音楽メディアとなりつつあるSpotifyの環境によって、Spotifyで配信される日本のアーティストに海外からも注目が集まっている様子を紹介する。

 例えば、RADWIMPSのボーカルによるソロプロジェクト「illion」は、ノルウェーで作成されたプレイリストに楽曲がピックアップされたことをきっかけに人気を集め、その人気を見た英国のキュレーターがプレイリストにピックアップ、人気がさらに拡大するといった動きが起こり、海外だけで50万回の再生数につながったという。

 玉木氏は、「日本のアーティストが世界で発見され、人気を博す。そういう手伝いの一旦を担える」と、日本のアーティストにとっても大きなチャンスを秘めている様子を語っている。

 発表会には、密に連携しているというボーズから、代表取締役社長のピエール・ペルラン氏が登壇し前述のSoundTouchシリーズなどの取り組みを語った。

 またソニー・インタラクティブエンタテインメントからは、ネットワーク担当の塚嵜英史氏が登壇、PlayStation Musicとして、ゲームのBGMをSpotifyから選んで聴くスタイルを紹介した上で、こうしたプレイスタイルをEGOISTとのコラボレーションで紹介する動画「PlayStation Music meets EGOIST」を公開したことも明らかにした。

ボーズ 代表取締役社長のピエール・ペルラン氏(左)
ソニー・インタラクティブエンタテインメント ネットワーク担当の塚嵜英史氏(左)