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京セラのかんたんケータイ10代目「KYF32」、開発担当者が語る4つの特徴

 7月28日、auの新機種として「かんたんケータイ KYF32」が発売された。京セラにとっては4年ぶり、かつ10代目となる“かんたんケータイ”で、京セラらしい機能をAndroidベースのプラットフォームに搭載した機種になる。

ニーズを汲み取った商品開発

 京セラで携帯電話の商品企画を担当する大西克明氏によれば、2007年ごろは、新たに購入するユーザーと機種変更のユーザーが半々程度だったが、現在はほとんどが機種変更、つまり、かんたんケータイを使い続けているユーザーが9割以上を占めている。

 高齢化が進む日本社会において、シニア向けのモデルとなるかんたんケータイは必要と語る大西氏は、巣鴨などで街頭インタビューを行って高齢者のニーズを汲み取っていると説明する。そうした場で得られたニーズとして、たとえば「聴力が落ちてきて相手の声がもう少し大きくなってほしい」「キーが多い」「キーに印字されている内容とディスプレイに表示される内容が異なるとわかりづらい」といったものがわかってきた。

 そこで京セラでは「KYF32」において、「聞こえやすさ」「押しやすさ」「見やすさ」「あんしん」という4つの特徴を打ち出す。ここにはユーザーの高齢化がもたらす身体の衰えを機能でカバーする取り組みも含まれる。

4つの特徴

 聞こえやすさでは、周囲の雑音をカットして聞こえやすくする機能、ディスプレイの表面が震えるスマートソニックレシーバーが搭載された。一般的に携帯電話で通話する際には、画面上部にあるスピーカーで相手の声を聴き取る。一般的な携帯電話を使うシニア層のなかにはディスプレイ周辺を耳に当ててしまい、聞こえづらく感じる人がいるとのことで、スマートソニックレシーバーであれば、耳の当てる位置を気にしなくても聞こえるようになる。スマートソニックレシーバーは京セラならではの技術と言えるが、「聞こえやすさ」という面ではさらにauのVoLTEをサポート。より幅広い音域で通話できるようになったことで、聞こえやすさも向上した。

 「押しやすさ」はテンキー周辺のことで、キーの形状や視認性を配慮。たとえば左上に「メニュー」というボタンを用意して、ディスプレイ上の表示とキーを一致させた。方向キーのうち上はメール、下はカメラを起動するキーという役割を担い、キーそのものの数が増えないようにしている。発信・終話のキーは従来より38%大きくなったほか、キーの余白を約2倍にして、ごちゃごちゃして煩雑に感じられる部分を取り除いた。

 また長押し、短押しが割り当てられるとわかりづらいため、終話キーから電源の操作機能を外し、スライドスイッチで電源をON/OFFできるようにした。

 「あんしん」では、従来、テンキーの一部を長押しする形だったブザーの呼出を、側面に専用キーを設ける形にした。歩数計も用意しており、1日1回必ず、歩数情報をメールで離れた場所に暮らす家族へ送る。もし歩数のメールが来なければ何か異変があったかと気付きやすくする。このほか、歩数計と連動する機能として「東海道五十三次」の浮世絵が切り替わるようになっている。

 耐衝撃・防水・防塵も「あんしん」関連のスペック。京セラのかんたんケータイとして初めて耐衝撃に対応した。

 よく利用される機能であるカメラは、従来の500万画素から800万画素にスペックアップ。かんたんケータイとして手ブレ補正機能や顔検出機能を初めてサポート。検出した顔にピントをあわせてしっかり撮れる。

Androidケータイとしての位置付け

 京セラが手がけるAndroidベースのフィーチャーフォンは「かんたんケータイ KYF32」のほか、2016年春モデルの「GRATINA 4G」が存在する。

 「GRATINA 4G」ではWi-Fiやおサイフケータイなどの機能が搭載されている一方、「KYF32」ではそうした機能が省かれている。これは、「GRATINA 4G」と「KYF32」でカバーするユーザー層が異なるため。リテラシーがある程度高ければ「GRATINA 4G」を利用してもらい、ベーシックな携帯電話としての機能のみ求める層には「KYF32」という形になる。京セラでは今後、ユーザーのニーズを捉えながら商品開発を進めていく方針とのことで、ユーザーからの求めにあわせて「かんたんケータイ」シリーズのさらなる発展も視野に入れていく。

歴代のかんたんケータイのテンキー周辺