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HPがWindowsスマホ「HP Elite x3」国内で披露、デスクトップのように使える仮想化アプリも

 日本HPは、今夏発売予定のWindows 10 Mobile搭載スマートフォン「HP Elite x3」を、メディア向けに公開した。

 「HP Elite x3」は、Windows 10 Mobile搭載の法人向けスマートフォン。Snapdragon 820を搭載し、スマートフォンをモニターに接続してパソコンのように使える「Continuum」もサポートする高スペックなモデルだ。基本的には法人向けの製品だが、HPのオンラインショップでは個人でも購入できるようになるという。

 発売は今夏を予定し、法人向けにSIMロックフリーで提供される予定。すでにKDDIが、法人向けの製品として取扱いを表明している。価格や具体的な発売日は明かされなかったが、近日中に案内するとしている。

 会場では、開発中のElite x3の実機や、Continuumで接続して利用できるノートパソコン型「ノートドック」や、モニターに接続して利用する「デスクドック」が展示されていた。また、仮想化技術を使用して、Win32ソフトウェアも利用できるシンクライアントソリューション「HP Workspace」も披露された。

あるビジネスマンと「HP Elite x3」の一日

 プレゼンテーションでは、ビジネスの場でElite x3を利用する想定で、デモンストレーションが実施された。

 Elite x3を利用するとあるビジネスマン。電車の中で、片手が使えなくても虹彩認証でロックを解除、モバイル版のOfficeでプレゼンテーションの原稿を修正して素早く返信する。カフェでは「ノートドック」にワイヤレス接続し、集中して書類を作成。職場では「デスクドック」と「HP Workspace」を使って、マルチタスクな作業もスマートフォン1台でこなす……といった内容だ。

ノートドック

 外出先で利用できる「ノートドック」は、ノートパソコンのような筐体に、12.5インチのディスプレイ、キーボードとバッテリーに、接続機能のみを搭載したような製品。単体では利用できず、必ずElite x3と接続してContinuumで利用する製品だ。

 Elite x3とは、無線と有線(USB Type-C)の接続に対応する。拡張端子として、USB Type-Cを3ポート、ヘッドホン端子、microHDMIポートを搭載する。バッテリーは接続した状態で、最大12時間程度持続するという。ノートドックに接続したまま、Bluetoothヘッドセットを使って通話することもできる。

バッテリー残量は右側面のインジケーターで表示する

デスクドック

 モニターやキーボードと接続して利用する「デスクドック」は、Elite x3を接続するUSB Type-Cポートのほかに、急速充電にも対応する2基のUSB-Aポートや有線LANポート、DisplayPortを搭載する。

 モニターに接続すれば、有線でのContinuum接続が可能だ。Continuum接続中、Elite x3のタッチパネルをトラックパッドとして活用できる。

HP Workspace

 Windows 10 MobileのContinuum接続機能は、あくまで搭載しているモバイル向けのアプリがフルスクリーンで利用できるものだ。デスクトップパソコンのように、ウインドウで複数起動したり、デスクトップ版のソフトウェアを動作させることはできない。

 「HP Workspace」は、このデメリットを解消するためのソリューションだ。仮想化技術を使用し、HPのクラウドサービス上でWindowsソフトウェアを動作させる。それをストリーミングすることで、あたかもスマートフォン上でマルチウィンドウで動作しているように見せる。

 ストリーミングで動作させるWindowsソフトウェアは、クラウド上にあらかじめ登録しておく。業務で利用するための専用ソフトウェアも登録可能だ。スマートフォンではWorkspaceアプリからソフトウェアを起動する。ソフトウェアはそれぞれ単体のウインドウとしてストリーミングされ、アプリ上で重ねて表示する。

下部にネットワーク速度などを表示する機能も

 サーバーサイドで動作させるため、多少の遅延はあるが、負荷のかかるソフトウェアでも動作可能としている。デモンストレーションでは負荷のかかるソフトウェアとして、Google Earthを動作させていた。

 「HP Workspace」の日本での利用料金や提供形態は未定となっている。また、個人向けサービスとしての提供は予定していないという。

Actiontecはワイヤレスディスプレイアダプターの新機種を展示

 発表会と同日開催の、企業のIT担当者向けの展示会「第2回 HP Mobility Solution Day」では、HPのWindows製品を利用したソリューションが展示されていた。

 Actiontec Electronicsは、Windows Mobileに対応するワイヤレスディスプレイアダプターの新機種「ScreeBeam Pro Premium」を披露。7月下旬以降の発売予定で、価格は1万4800円程度になる見込みだ。

 Miracastに対応し、2.4GHz帯と5GHz帯で接続可能、1080pでの画面転送に対応といった点は販売中の「ScreenBeam Mini2 Continuum」と同じで、新たに5.1チャンネルの音声転送が可能になった。スティックタイプから据え置き型に変更されたことで、発熱を抑えて利用できる。

 このほか、サードパーティ各社はWindows 10 Mobileで使用可能なモバイルデバイス管理や閉域網接続のソリューション、モバイル対応のグループウェアや社員教育システムなどを展示していた。

 また、会場では「HP Elite x3」の純正ケースやワイヤレス充電アダプターも展示していた。純正ケースは手帳型のものやカーボン調のデザインで耐久性を高めるもので、日本でも発売する予定という。ワイヤレス充電アダプターは、Qiを利用するもので、こちらは日本での発売は未定としている。

「HP Elite x3」純正Qiチャージャー
純正ケース