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街で遊ぶポケモン『Pokémon GO』、フィールドテスト版を体験してみた
2016年6月10日 22:00
街中を歩けば、ポケモンに出会い、他のプレイヤーとバトルも楽しめる――現実世界を舞台にしたスマートフォンゲーム『Pokémon GO』はいったいどんなゲームなのか。
発表時に大きな話題を呼んだ本作は、これまでに日本やオーストラリア、ニュージーランドでフィールドテストを開始。米国でもテストが開始された。
その『Pokémon GO』を、一足早く体験できるツアーに参加してきた。どういったゲームなのかご紹介しよう。なお、『Pokémon GO』は開発中で、実際の仕様とは異なる場合がある。またプレイ画面については見やすいよう加工している。ご了承いただきたい。
フィールドテスト版は「ポケモンを捕まえてジムでバトル」
今回紹介されたものは、現在のフィールドテスト版とほぼ同等。「現実の世界を歩くと、街中に『ポケストップ』や『ジム』があり、ときどき現われるポケモンを捕まえて、ジムでバトルを楽しむ」という流れで遊べるようになっている。
ポケストップやジムは、米ナイアンティック(Niantic,Inc.)が提供するスマートフォンゲーム「Ingress」でユーザーから寄せられたスポット情報をもとに設定されている。公園や街中にあるアートなどが登録されているが、ポータル情報の全てが採用されているわけではない。ナイアンティックとポケモン社が共同開発するなかで、どのポータルを用いるか、調整しているという。
『ポケストップ』や『ジム』は、実際にその場へ近づかなければ操作できない。そのため、いろんな場所を訪れたくなる……というのが、『Pokémon GO』の仕掛けのひとつ。現実を拡張し、新たな価値を提案するナイアンティックならではの要素とされ、ナイアンティック アジア統括マーケティングマネージャーの須賀健人氏は「街中でさまざまなものにであるのが『Pokémon GO』の魅力」とアピールする。
『ポケストップ』からはポケモンを捕まえるためのモンスターボールや、捕まえやすくするための道具、あるいはポケモンのタマゴが入手できる。
ポケモンを捕まえよう
街中を歩いていると、プレイヤーの近くにポケモンが現われる。その姿をタップすれば、ポケモンを捕獲するための場面へ切り替わる。手持ちのモンスターボールを投げて捕まえることになるが、捕まえやすいかどうかは、ボールをタップしている最中、表示される輪っかの色でわかる。緑であれば捕まえやすく、赤くなれば捕まえにくい。
ちなみにこの場面では、ARゲームらしく、スマートフォンのカメラをONにして、実世界の上にポケモンを表示しながらプレイすることもできる。
捕まえられれば、そのポケモンの情報を見ることができる。ノーマルタイプなのか、みずタイプなのか……といった要素は、後述するバトルに関わる部分。高さ・重さは、ポケモンの姿を想像しやすくするためのもので、バトルなどには関わりがない。HPは体力としての要素であり、CPは総合的なポケモンの強さを示す。
川辺に近ければみずタイプのポケモンなど、場所に応じて登場するポケモンが変わる。フィールドテスト版では100種類以上のポケモンが既に登場済とのことだが、たくさんのポケモンたちに出会いたければ、普段暮らす街だけではなく、さまざまな場所へ出かける必要がありそう。
ちなみに『Pokémon GO』では、歩いている最中、スマートフォンの画面を見ずに手で持って歩く状態になれば画面が真っ暗になる。スマートフォンの天地が逆さまになればアクティブになるバッテリーセーブモードで、GPSや画面描画などで電池を消費するゲームということもあって、街中で遊ぶ場合はバッテリーセーブモードへ手軽に切り替える、といった使い方になる。いわゆる歩きスマホよりもバッテリーが長持ちする、というメリットを生み出すことで、歩きスマホへの対策にもしたいようだ。
育成要素は開発中
ポケモンを捕まえれば、そのポケモンの『進化のカケラ』が手に入る。コラッタを10匹捕まえれば、コラッタを進化させるためのカケラが10個、という具合だ。進化のカケラはポケモンごとに集める形。10種類のポケモンを集めた場合、それぞれの進化のカケラを1つずつ入手することになる。カケラを必要な数だけ集めればポケモンを進化させられる。
その一方で、ポケモン自体の強さを向上させるような育成については、現在開発中とのこと。正式版で実装されるかどうかも、明らかにされていない。
また、周辺機器として任天堂が開発する「Pokémon GO Plus」についても、開発中とされ、発売時期などは明言されていない。
『ジム』でのバトルは強化や、多人数攻撃も
『ジム』はもともと中立的な場所だが、プレイヤーが訪れてポケモンを配置すれば、『仲間チーム』の拠点として扱える。プレイヤーは、青、黄色、赤と3色用意されたいずれかのチームに所属して、『ジム』を通じて他のプレイヤーとのバトルを楽しめる。
『ジム』には『名声』という要素が用意されている。自分自身、あるいは自分と同じチームの『ジム』にバトルを仕掛ければ「トレーニング」することになり、勝負を通じて名声を上げられる。「名声」が上がれば『ジム』のレベルが上がり、より多くのポケモンを配置できる。
「Ingress」では基本的に攻撃が有利とされる。守備側のプレイヤーがその場に留まり無尽蔵にシールドなど、守備用道具を使い続ければ守り切ることもできるが、そのような状況は稀だ。それに対して、『Pokémon GO』のジムはトレーニングを通じて、強大な拠点を構築できる。Ingressとはやや方向性が異なる部分と言えそう。
一人では倒せないという状況になったとしても、ジムに対しては、同時に最大5人で攻撃できるようになっている。多人数でバトルを挑むことで、奪還しやすくするという形だ。
もっとも、正式サービスが開始され、プレイヤーが増えたあとも「守りやすい」と言えるのかどうか、現時点では何とも言えない。バランス調整なども今後あり得るため、正式サービス開始後の状況もまた楽しみな部分だ。
バトルでは、相手のポケモンの攻撃に対して左右のフリックで避けつつ、タップして攻撃していく。アクションしていけば、自分のポケモンのゲージが溜まっていき、特殊な技を繰り出せる。
正式ローンチは近い?
昨年9月の発表から約9カ月。フィールドテストでは多くの声が寄せられたそうで、指摘に基づいて改善を図った部分もあるという。正式版の登場時期は未定だが、5月25日にはゲーム内容を一歩踏み込んで紹介するリリースが発表。「その日が来るのが近づいてきました」と、正式ローンチが近い将来であることをうかがわせている。2016年中のサービス開始、という発表時点に示したスケジュールはいまも変わりはない。
ナイアンティックの須賀氏によれば、Ingressのイベントのように、多くの人が参加するイベントは企画しているものの、まだ検討中とのこと。道具の購入を前提にした仕組みも採り入れており、ローンチ時には有料の道具が用意されることになりそう。ただ、発表時点で明らかにされていたように、そうした道具を使ったからと言って、圧倒的に有利になる、ということはないようだ。
今回はあくまで短時間での体験に留まり、普段のスマートフォンで長く遊んだ場合の挙動などを確かめることはできなかった。またポケモンを集めたり、ジムでバトルしたり、といった要素はかなり興味深く、遊び始めたらそれなりに楽しめそうという印象を受ける一方、育成や交換などポケモンらしいやりこみ要素はまだ実装されておらず、今後に期待したい部分。さらに言えば、Ingressでは、街を巡るだけではなく、陣取りゲームとしての要素にも人々が熱中しているところがある一方、『Pokémon GO』ではどのジムにバトルすべきか、戦略的な要素に基づいて判断を下す必要があるのかどうかが今回の体験の範囲ではわからなかった。こうした点も、正式ローンチ時点、あるいはローンチ後の発展に期待できる部分なのかもしれない。