インタビュー

富士通ARROWS冬モデル開発者インタビュー

富士通ARROWS冬モデル開発者インタビュー

世界最高峰の液晶搭載のF-02Gと世界最軽量のタブレットF-03G

 NTTドコモの2014~2015冬春モデルとして発売された富士通の端末は「ARROWS NX F-02G」(以下、F-02G)と「ARROWS Tab F-03G」(以下、F-03G)の2機種だ。

 スマートフォンのF-02Gは、八角形のオクタゴンフォルムに、富士通として初めての金属フレームを採用。サイドのダイヤカットでキラキラした輝きを演出しつつ、背面のテクスチャーにもこだわるなど、パッと見たとき記憶に残りやすい個性的な仕上がりとなっている。

 F-03Gは、10.5インチという大画面にもかかわらず、手にした瞬間その軽さに驚かされるタブレットだ。歴代のARROWS Tabと比較しても明らかに薄く、10.5インチは家で使うものという考え方が揺らいでくる1台となっている。

ARROWS NX F-02G
ARROWS Tab F-03G

 これら2機種の開発コンセプトや魅力について、富士通のユビキタスビジネス戦略本部 モバイルプロダクト統括部 第二プロダクト部 東條正勝氏、タブレットプロダクト統括部 第二プロダクト部 マネージャー 高橋知彦氏、モバイルフォン事業本部 モバイルフォン事業部 第一技術部 マネージャー 小森勇武氏、ソフトウェア開発センター ソフトウェア第三開発部 シニアマネージャー 飯盛英二氏にお話を伺った。

F-02Gの開発コンセプト

東條正勝氏

――最初にARROWS NX F-02Gについて、注目ポイントや特徴を教えてください。

東條氏
 まず液晶ですね。5.2インチのWQHD(Wide Quad High Definition、1440×2560ピクセル)という世界最高峰の解像度となっております。実際に動画を見ていただくと一目瞭然なんですが、今回画素密度564ppiという人間のほぼ視認限界というような粒の小ささになっていて、とにかく綺麗です。これまでのフルHDでも十分綺麗でしたが、そこからさらに高解像度化を行い、人間が識別可能な限界まで高めることによって映像に奥行き感やなめらかさが増し、本物志向のお客様によりお楽しみいただける液晶になりました。

 2つめが高速ダウンロード。弊社独自の「高速ダウンロード」と「マルチコネクション」により、従来比の約3倍というスピードを実現しています。

――液晶と高速ダウンロード、なぜその2つに注力されたのでしょうか。

東條氏
 昔のコミュニケーションは、もしもしはいはいの音声からスタートし、ショートメール、文字、デコメ、チャットと進化していきました。スマホの時代の今は、写真同士をやりとりするようなSNSであるとか、Facebookでも動画、またVineといったような動画交換サービスも流行し始めております。ゲームも、非常に軽い10MBクラスだったものから、50MB、最近では1GBを超えるなど、巨大化しています。あわせて動画サービスも最初SD画質クラスだったものから、HD、フルHD、最近ではWQといったものから、放送では4Kのほうもスタートしております。

 つまり、お客様のコミュニケーション手段が、写真や動画といったものに移り変わっているということ。そしてお客様が取り扱うコンテンツも、カメラの画素数や動画コンテンツともに高解像度化していること。そんなことから、今回WQHDというような世界最高峰の液晶を採用させていただきました。

 また、高解像度のコンテンツは容量が増えてきますが、当然通信時間が延びますので、高速かつ安定した通信が必要だろうということで、今回「マルチコネクション」と「高速ダウンロード」もあわせて取り組みました。

世界最高峰の高精細ディスプレイを搭載

――従来御社は電池にも優しいパネルを採用されたかと思うんですけど、今回はあえて高精細にこだわったということですか?

東條氏
 そうですね。決して電池持ちの面で手を抜いているというわけではありませんが、やはり周りのコンテンツが高解像度化してきて、そのメリットをこの端末でちゃんと享受してもらいたいと思いました。みなさんスマホからスマホへの買い換えの時代の突入してきて、よりスマホを見る目が厳しくなって、今まであまり見ていなかったような細かいところも見られるようになってきて、より本物志向に移っているかなと思っています。今回ドコモさんでは当社だけという形になりましたが、来年以降のハイエンドモデルでは、この液晶の解像度が1つのトレンドかなと踏んでいます。

――実際に拝見したところ、3Dじゃないのに3Dっぽく見えるような気もしました。

東條氏
 人間は、奥に向かってなめらかに色が変わっていると奥行き感を感じるらしいですよ。

――この部分の進化はどこまで続くのでしょうか。

東條氏
 スマートフォンの液晶のサイズが5インチクラスのままであれば、正直4Kを採用する意味はあまりないかなと思っています。というのも、先ほども人間のほぼ視認限界と申し上げましたが、このサイズで4Kを搭載しても、もうお客様が識別可能な限界を超えてしまいますので、正直オーバースペックかなとも思っています。仮に4Kを搭載しても、ただのスペック競争になるだけで、お客様にはあまりありがたくはないと思うので、このあたりが一つの境界線かなと。逆に10インチ以上のタブレットとかであれば、まだまだお客様に価値としてご提供できるかなと思っています。

高橋氏
 タブレットもですね、例えば、医療機関向けとか特定用途の法人さんでしたら超高精細の4Kというのはニーズがあるかもしれません。ただ、一般ユーザー様向けとなったときに、それを搭載する価値をわかりやすく体験できる環境にあるかどうか、というところにかかっているんだと思います。

――決して電池持ちの面で手を抜いているわけではないとのことですが、電池への影響はどうなっていますでしょうか。

東條氏
 WQHD化によって、ディスプレイ単体で見た消費電力というものは正直上がっています。その分、バッテリー容量の増加と、中身の省電力化の取り組みによって、お客様の使用感はできるだけ損なわないようにさせていただいております。バッテリー容量は、従来機種の3200mAhから3500mAhということで約1割アップさせています。

「マルチコネクション」と「高速ダウンロード」で快適な通信環境をキープ

――「マルチコネクション」と「高速ダウンロード」についても改めて詳しく教えていただけますか。

東條氏
 夏のF-05Fから「マルチコネクション」という機能を搭載しているんですが、あれは“高速に通信する”機能ではなくて、“安定して通信する”という機能でした。今回からさらに「高速ダウンロード」に取り組んでいます。つまり、「高速ダウンロード」と「マルチコネクション」との2つによって、高速に、安定した通信が可能になったということですね。

飯盛英二氏

飯盛氏
 「マルチコネクション」というのは、Wi-Fiと3G/LTE回線を同時に使って安定した通信を維持する機能です。たとえば、Wi-Fiに接続していても、電波状況があまりよくないということはありますよね。この機能は、通信しにくくなったときに自動的に3G/LTE回線も使うことで、イライラしなくて済むというものです。

 「高速ダウンロード」というのは、サーバーが対応した一部のアプリでのみ有効な機能ではあるのですが、サーバーへのリクエスト数を増やすことで、ダウンロードスピードを上げる独自の技術です。通常、ファイルをダウンロードするときは、分割して1つずつ順番にダウンロードします。3つ分なら、1番目、2番目、3番目と順にですね。「高速ダウンロード」の場合、3つ分を同時にリクエストして同時にダウンロードするので1/3の時間で済むわけです。

――つまり、「マルチコネクション」で回線状況の安定化を図り、「高速ダウンロード」でモタモタを防ぐので早いということですね。しかし、「マルチコネクション」は、できるだけパケットを節約したいと思っているときにモバイルネットワークを使われてしまって……という不安もあるかと思うのですが、いかがでしょうか。

飯盛氏
 そこが「マルチコネクション」という機能のちょっと誤解されやすい部分なんです(苦笑)、みなさんが心配されているのは、モバイルネットワークを使わなくてもいいときにも優先的に使われてしまうんじゃないか、という部分だと思います。しかし、Wi-Fiの良い環境だったら、Wi-Fiでしか通信しなくなりますし、本当に同時通信が必要なシチュエーションに限って実行するような設計になっています。

 少しマルチコネクションの内部動作をお話しすると、Wi-Fiにつながってるときには2段階でWi-Fiの品質レベルを区別しています。YouTubeを例にしますと、Wi-Fiの通信状態が良いときは、アプリケーションに対して“Wi-Fiにつながってます”と通知します。すると、Wi-Fi向けの高解像度の動画がストリーミング再生できるわけです。しかし、Wi-Fiの通信状態が悪くなってくると、LTEとWi-Fiが併用された同時通信状態になりますが、その時はモバイルネットワークにつながっていると通知します。するとYouTubeはパケットを節約するためにモバイルネットワーク向けの解像度を落とした形で動画ストリーミングを再生します。すなわちモバイルネットワークにパケットを流している時には、Wi-Fi向けの大容量データの送受信を行ってパケットを無駄使いしないようにしています。

 大容量の通信するときの対策はとられていますし、実際同時通信するときっていうのはWi-Fiの品質が悪くなっているときなので、むしろお客様の方でも通信品質を保つ上で、モバイルネットワークを必要とされるシーンであると考えられます。Wi-Fiメインに快適に使う場合の機能、と考えていただければいいと思います。

――なるほど。「マルチコネクション」をするしない、というのも利用者側で操作できるのですか。

東條氏
 「マルチコネクション」は出荷時はオフになっているので、使いたい時はステータスパネルからすぐにオンにしてお使いいただけます。高速ダウンロードは「設定」から「Wi-Fi」を選択していただいて「高速ダウンロード」を開くと設定できます。「シングル高速化」と「マルチ高速化(Wi-Fi優先)」、「マルチ高速化(フルスピード)」の3つから選択できます。

 「マルチ高速化(フルスピード)」というのは、Wi-Fiもモバイルネットワークも均等に使いながら、とにかくスピードを優先したい方が使うメニューです。一般的には「マルチ高速化(Wi-Fi優先)」を有効にしていただければ、公衆無線LANなどを活用しながら安定した通信を行いたいときなど、自動で調整するので、便利に使っていただけると思います。スピードが優先なのか、パケットが優先なのか、ライフスタイルで選んでいただければと思います。

「パーソナルアシスト機能」と「FMトランスミッター」で快適さを

――最近内蔵センサーを使ったAI系の機能が増えてきていると思いますが、F-02Gの「パーソナルアシスト機能」というのもまさにそうではないでしょうか。

東條氏
 そうですね。お客様がアプリを探す煩わしさから解放されるためには、どんなことをすればいいのかなということを考えて具現化させていただきました。F-02Gのキーワードとして、「心地よさ」というのがあります。快適に心地よくお使いいただくための機能の1つとして用意されたものです。時間、曜日、場所などからお客様の習慣やくせを学習して、お客様が使いそうなアプリをさりげなくレコメンドするので便利にお使いいただけると思います。

――使いそうなアプリというのは、どういう基準で選ばれるのでしょうか。

東條氏
 お客様が何時何分、どこの場所でどんな状態でどのアプリを使ったかというのを、弊社独自のアルゴリズムで解析して、次ここに来たらこんなの使いそうだとか、そういったものをデータベース化しタイミングよく画面に表示します。解析はちゃんとセキュリティに配慮して、しっかりしたところに保管してます。

――ダウンロードしただけで忘れていて、一度も使っていないアプリをお薦めしてくれたりもしますか。

東條氏
 一度も使っていないアプリが出てくるとしたら、乗換案内系のアプリ1種類だけですね。それ以外は、一度利用したものであれば提案される可能性はあります。もちろん利用頻度の高いものが優先されます。ただ一線を越えると余計と思われる機能にもなりかねないので、慎重に判断しています。

――利用者の行動は、加速度センサーやGPSだけで判断されてるんでしょうか。

東條氏
 弊社独自の「ヒューマンセントリックエンジン」で、低消費電力な常時位置測位を行っています。GPSは頻繁に使うとその分バッテリーを消費しますので、できるだけGPSは使わずに、加速度、角速度などを使って、端末がどの方向にどれくらい動いたというところからある程度場所を予測して計測しています。

――そのほかに御社独自の機能などがあったら教えてください。

東條氏
 今では当社しか付いていないというところで「FMトランスミッター」をご紹介したいですね。ナビゲーションにBluetoothが付いている車ってまだそんなにないですし、どんな車でもFMラジオがついてますので。ぜひ自分のスマホに入っているお気に入りの曲を、弊社しかついていないトランスミッターで聴いていただきたいなと思っています。

タブレットの本質に立ち戻って考えられた「ARROWS Tab F-03G」

高橋知彦氏

――続いて、「ARROWS Tab F-03G」についてお伺いします。主なボリュームゾーンとして考えてるのは何歳くらいの方でしょうか。

高橋氏
 購入される方は40代がピークですね。ただ、そこから家族としてお母さんやお子さんが使い、さらにおじいちゃんおばあちゃんに買って渡すというところまで含めると、割と幅広くみんなに使っていただきたいとう気持ちは強いですね。

――そんな層に向けて、今回のF-03Gはどんなところにこだわりましたか。

高橋氏
 今回は、タブレットの本質はなんだろう? ってことをもう1回考えて見直し、軽さを極限まで突き詰めつつ、サイズ、電池持ち、ディスプレイの見やすさ、UIのわかりやすさ、すべての使いやすさを直球で勝負した1台です。

 液晶は10.5インチの高精細有機ELディスプレイで、とにかく綺麗だし、おまけに約433gと軽い。電池は持つし、防水だし、フロントスピーカーにドルビーがついていて音は綺麗だし、全部諦めずに相当がんばりました。

 タブレットって家に置いておくことが多いと思うんですけど、「これくらい軽かったら外に持っていったら楽しいかもね」って思っていただけると嬉しいですね。これだけ軽くて回線付きなんだから、外に持っていったことで広がる世界もあるんじゃないか、生活が向上するかもしれない、そんな期待感を持っていただける製品だと思います。

――実際持ってみると、10.5インチとは思えない軽さで驚きました。比重は1.33で、死海に浮くんですよね。塩水はサポートしてないと思いますが(笑)。

高橋氏
 試された方はすぐに水洗いしてください(笑)。

小森勇武氏

――この軽さを実現できたのは、どういう工夫からでしょうか。

小森氏
 電池、ディスプレイのガラス部分がタブレットの中では支配的なので、軽くしようと思ったらそこを軽くすればいいんです。ディスプレイは今回有機ELで、タッチパネルと1枚ガラスになっているところで軽くなってますね。板金にはアルミを採用して、シャーシもPPE樹脂を使って、強度や性能に影響のない範囲で穴をあけたりしてコンマ何グラムというところもおさえつつ、堅牢性と軽さを両立しました。メイン基板は面積、銅箔を極限までカットしています。あまり減らしちゃうと無線の性能とかに影響が出ちゃうので、その辺は試作を繰り返しながら調整しました。

 バッテリーは電池メーカーさんの努力というところもありますが、できるだけエネルギー密度の高いものを選んでいます。ただ、電池容量を小さくすると商品として成り立たないので、実使用時間としてどれだけ持つかという部分と、軽さのバランスを取るのに苦労しました。F-02Fから比べれば、電池容量は17%減っていますが、ソフトの処理を工夫し、使用時の電流を減らすことで、実際にはほぼ同等レベルの電池持ちを維持しています。そういう細かいところをやって、なんとか433gを達成できたというところですね。商品企画の担当者からも世界最軽量を狙うんだという話がありましたから、それを目指してがんばりました。

――実際にバッテリーの持続時間ってどの程度あるのでしょうか。

高橋氏
 待受時間で、過去機種と比べてどうなってるか比較してみましたが、3G待受では先代のF-02Fが2220時間、それに対して今回のF-03Gは2470時間です。初代のF-01Dと比べるとF-03Gは154%とかなり伸びてるんですよ。LTE待受ではF-03Gで2000時間、初代F-01Dでは900時間ですのでF-01D比だと2倍以上の持ちになっています。単純に使ってないときの電池消費でいうと、久しぶりに電源入れたけど、っていうときでも、ほぼ減っていないですね。それくらい持ちます。

――それはヒューマンセントリックエンジンが利いてるんですか?

小森氏
 はい。間欠受信したりとか、そのときのその処理量をできるだけ少なくするとか、あとは通信をアプリ毎にネットワークに見に行かせないで、ある程度まとめて一度に投げるとか、細かいところでいろいろやっています。

――幅広い年齢層をターゲットとされてるわけですが、この端末独自の配慮みたいなものはありますか。

高橋氏
 とても細かいことなんですけど、ナビゲーションバーの位置を変えられるってご存じでした? 通常、Android端末って真ん中ですよね。でも、この端末は10.5インチなので、ホールドした状態で指が届かないだろうと考えました。そこで左右好きな方に寄せられるようにしています。ホールドした手でそのまま操作できます。

 それから、画面の拡大機能ですね。たとえば地図アプリがいい例なんですけど、ピンチ操作でいくら拡大しても文字サイズは変わらないですよね。そんなとき、画面下にある拡大鏡もアイコンをタップすると、表示領域全体が文字を含めて拡大されます。端末のシステムで文字サイズ変えられますが、この場合、折り返しが汚くなって余計見づらくなるということが起きたりします。すべてのアプリが見やすい背景と文字の組み合わせを意識してるわけではないので、そんなときでも、文字サイズを大きくできれば、ある程度の視認性は確保できるということで入れた機能です。とても単純な機能ですけど、こういったところにもこだわっていますね。

――御社の端末には「あわせるビュー」という機能もありますが、あれは年齢を設定するとどういう変化があるのでしょうか。

高橋氏
 60歳以上とか70歳とか、それくらいになってくると、水晶体のにごりによって黄みが強くなるというか、相対的に青みに対して弱くなると言われているので、青を強める調整を行っています。ある程度年齢が高めの方にお使いいただくと有効な機能だと思います。

――卓上ホルダの背面に端子がついていました。

高橋氏
 これも見たままの色をちゃんと見ていただきたいからなんですが、このディスプレイでフルセグ見ると、本当に綺麗なんですよ。私もベッドサイドにおいてますが、アニメとか見ると色鮮やかで。綺麗に見えるというのは、見ることの本質かなと思うんですね。

 なので、今回はフルセグも綺麗に見ていただきたくて、卓上ホルダの裏側にF型コネクタを直挿しできるようにしました。さらに、フルセグでdボタンが、データ放送が操作できるようにもしました。

――UIも変えられたとか?

高橋氏
 そうなんです。簡単スタイルも、幅広い年齢層に使ってもらいやすいよう、デザインを変更しています。かつてはアプリのアイコンがただ並んでいるだけだったところも、1個1個ちゃんとアプリの名称まで見せましょうと。Wi-Fiもすぐオンにできるようアイコンを用意しました。

――ふと見ると、ストラップホールのようなものがあります。

高橋氏
 いろんな人に使ってもらいたいと思うんですが、シニアの方から「落としちゃいそう」という意見がございまして、簡易だけど手に引っかかるものがあればいいよねということで用意した部分です。あまり重いものには対応してないので、公式にはストラップホールとは言いにくいのですが、ただそういうところにも気を遣ってます。今なら静電ペンとか、イヤホン端子のところにつける人も多いですが、そういうものをつけていただいてもいいですね。

――作りや配慮がとても丁寧だなという印象を持ちました。

高橋氏
 買った人にしか気づかれない、買った人もあんまり気づかないみたいなところもあるかもしれませんが(笑)、そういうったところは本当に気を遣っています。タブレット市場として、やっぱりこれがあるからこんな楽しいっていうことを打ち出していけたらいいなと思うんです。

 今のタブレット市場って、海外メーカー製も多くて、安いから買おうかっていう世界ですよね。スマートフォンみたいにマストなアイテムじゃないので、なかなか購入動機につながらないという市場環境になってしまっていると思っています。でも、生活において、これマストだよねと思ってもらえるレベルにいかに近づけるか、そういう提案ができるかというのが、僕たちの今の一番の課題ですね。

 日本市場なら、液晶の美しさ、軽さ、防水防塵性、テレビは非常に重要な要素なので、当たり前に押さえておきたいポイントであり、日本メーカーとしてできる一番のことかなと考えています。その強味をしっかりお客さんに価値として見いだしていただけるように今後もがんばりたいです。

――7インチサイズと変わらないような軽さというのは、とても価値が高いと思います。持ち出したときの利用シーンでスマホとのスムーズな連係ができるといいなと思います。タブレット使っててもスマホ出さずにメールなどが見られるとか。また逆のシーンもあると思いますが。そういう連係がどんどんできると欠かせないものになりそうな気もします。

高橋氏
 そうですよね。毎日じゃなくても、時折持ち歩くぐらいでも、今までない体験がきっとそこにあると思っています。タブレット全般的に購入者層は40代がピークなんですが、当社の場合、意外と30代もそこそこいらっしゃるんです。画面の表示でファミリースタイルをやってることもあって、主婦層にも購入いただいています。ママ友みんなで集まったときとか、写真を見せる、何か情報を見せたい、共有したいという、ちょっとした集まりのときにも、すごく手軽に持っていってコミュニケーションツールとして使っていただくとか、今まで以上に身近になれる存在なのかなという期待はありますね。そんな風に提案していきたいです。

――ちなみに、ARROWSといえばATOKだと思いますが、今回のF-03Gは「Super ATOK ULTIAS」搭載ですね。

高橋氏
 はい。「ULTIAS」になってかしこさというか、エンジン部分が相当向上したと思いますね。単語登録も楽になったと思います。

――季節的には手袋が欠かせなくなってきます。いわゆるグローブモードというのは他社さんもやり始めているんですが、一部を除きオン・オフの切り替えが必要だったりするのが一般的です。そのあたりの操作性はいかがでしょう。

高橋氏
 「手袋タッチ」を有効にしておいてもらえば、市販の手袋で楽に操作してもらえると思います。ずっとオンのままでもほぼ問題なく使えますので、切替の煩わしさもないと思います。

――最後に一言お願いします。

東條氏
 世界最高峰の高精細WQHDディスプレイや高速ダウンロードの他にも、2070万画素カメラや3日を超えるバッテリー、メタルエッジフレームを採用したデザインなど、魅力にあふれた端末です。ぜひ手にとって見てください。

高橋氏
 外に持ち出したくなる軽さに仕上がっていると思います。使いやすいタブレットならF-03Gです。これで新しいライフスタイルを見つけて、生活を楽しんでもらえたら嬉しいです。

――本日はどうもありがとうございました。

すずまり