インタビュー

“クラウド×健康支援”で生活習慣の改善図る

“クラウド×健康支援”で生活習慣の改善図る

「SoftBank Healthcare」が目指すもの

 ソフトバンクモバイルは、クラウド型の健康管理・支援サービス「SoftBank Healthcare(ソフトバンク ヘルスケア)」を7月18日より開始する。利用料は、2年契約で月額525円。

 ソフトバンク ヘルスケアは、腕にも装着できる活動量計「Fitbit Flex」を利用して、歩数や睡眠時間などを記録、クラウドに蓄積して、健康管理や健康の維持・向上を支援するサービス。ただデータを蓄積するだけではなく、継続利用に繋がるような機能が特徴とされる。たとえば歩数計では一定期間中に1万歩、歩くことを目指すという目標が用意され、達成するとコインが付与される。このコインでは何らかの賞品と交換できるようになる予定だが、今後、あらためて案内される見込み。また目標達成が近づくとアプリが通知してくれる。

 24時間365日、応答してくれる健康相談サービスも利用できる。通話料、相談料ともに無料となる。「タイムマシン」と呼ばれる機能では、日々記録されたデータを元に「体力」「抗齢力」「美力」「継続力」「意識力」というオリジナル基準で評価され、その結果をもとに顔写真を加工して20年後の顔を予想する。

 体重や食事内容も手動で記録できる。

 活動量計の「Fitbit Flex」は、USBで充電すると約5日間、駆動する小型端末。同梱のリストバンドに入れると、腕時計のように手首に付けておくと、24時間、睡眠時間もあわせて活動した状況が記録される。

 「Fitbit Flex」は、米国のFitbit社が開発した製品で、海外でも販売されているが「ソフトバンク ヘルスケア」では無料で提供される一方、接続できるのはソフトバンクのスマートフォンと、「ソフトバンク ヘルスケア」のアプリとなり、Fitbit社のアプリとは接続できない。日本でFitbitの「Zip」「One」を利用するユーザーのみ、「ソフトバンク ヘルスケア」へデータを移行できる。

 利用料は、2年契約、月額525円で、この料金に端末代が含まれる。2年以内に「ソフトバンク ヘルスケア」を中途解約する場合、あるいはソフトバンク回線自体の解約(譲渡・承継含む)、「ソフトバンク ヘルスケア」非対応機種への機種変更を行うと、解除料7500円がかかる。

新たな機能、今後登場

 「ソフトバンク ヘルスケア」の開発を担当する、ソフトバンクモバイル プラットフォーム戦略課の舘由里子氏は、「数年前よりソフトバンクグループとしてヘルスケア関連サービスを検討してきた。ただ2年前までは良いデバイスが存在せず、コンシューマー向けサービスにはまだまだ厳しい状況だった」と語る。

 スマートフォンが登場したことで、ジョギングなど運動を記録するアプリが多数登場しているものの、スマートフォンは必ずしも24時間、身につけるデバイスではない。ヘルスケアサービスを実現するためには、活動量計のような身につけるデバイスが必要と考えていたのだという。そして近年、スマートフォンとの連携をうたう活動量計が複数登場してきたことで、サービスインへと前進した。

 さまざまなデバイスが存在するなかで、常に身につけていてもストレスにならない大きさ、ファッション性があること、そして低消費電力の機器間通信規格である「Bluetooth Low Energy」に対応していることから、「ソフトバンク ヘルスケア」では「Fitbit Flex」を採用する。

ソフトバンクの舘氏

 「使い始めて、歩数などが記録されていくと『もう少しで一万歩だから、今日はちょっと長く歩こう』など意識するようになり、生活習慣の改善に繋がる。ただし、単なる健康管理では、継続する意欲を持ち続けるという面が厳しいし、無理にやらされている、という感覚を持ってしまう」

 そう語る舘氏は、今後、「ソフトバンク ヘルスケア」に新機能を追加していく方針を示す。具体的なサービスは今後発表されるが、さまざまな検討を進めているとのこと。舘氏自身も、かつては体調が優れない時期があり、「ソフトバンク ヘルスケア」のようなサービスの必要性を強く感じたのだという。

 疲れを知らなかった10代、20代から30代、40代、50代へと年齢を重ねると、いつの間にか、体の頑強さは揺らいでいく。いつまでも活発に動ける体を維持するには、それなりの強度で運動する必要もある。かといって、しばらく激しいスポーツから離れていたような場合、いきなりアスリートのように動くのは難しい。そんな状況で、「ソフトバンク ヘルスケア」は、ほんの少し歩く距離を伸ばすよう促すなど、日々の生活へちょっとずつ変化をもたらしていくサービスと位置付けられている。

 舘氏は「まずはブームになって欲しい」と語り、幅広いユーザー層での利用を目指す。当面はそうした生活習慣の改善ツールとしての提供だが、将来的には、ビッグデータの活用なども検討していくとのこと。ヘルスケア分野は、近年発展したクラウドとの連携などもあって、新たな成長分野と目されており、携帯各社のみならず、さまざまな企業が注力している市場。ソフトバンクモバイルにとって、今回の「ソフトバンクヘルスケア」は、健康管理市場に向けた戦略的なサービスの1つと言えそうだ。

関口 聖