気になるケータイの中身

auのAndroid端末のUIをデザインしたOcean Observations


Sofia Svanteson氏

 auのAndroid端末のUIデザインを監修したOcean Observations。日本ではあまり馴染みのない同社がどのようにしてauのAndroid端末のUIをデザインするに至ったのか、来日した創設者でCEOのSofia Svanteson氏に伺った。

 Ocean Observationsは、スウェーデンを本拠地とするデザイン集団で、これまでVodafone、Telefonica Moviles、Orangeといった世界屈指の携帯電話事業者、さらにはノキア、サムスン、ファーウェイ、ZTEといった端末メーカーのコンセプトモデルやプラットフォームデザインを手掛けてきた。

 とりわけ携帯電話業界との関係が濃い同社だが、その理由はSvanteson氏自身の体験から来ているようだ。同氏は1999年、学生時代に友人と東京を訪れた。ちょうどその年の2月にNTTドコモがiモードをスタート。これを見た同氏は「当時、Human UIを研究していたが、日本の携帯電話を見て、これからこの分野が面白くなる」と直感したという。同氏はその後、2001年にOcean Observationsを設立することになる。

Ocean ObservationsがデザインしたISシリーズのUI

 同社を設立したきっかけが日本の携帯電話だっただけに、ずっと日本で仕事がしたいと思っていたというSvanteson氏。中でもau design projectでINFOBARのようなデザイン性が高い端末を実際に発売してきたKDDIの存在は気になっていたという。

 その後、2007年にマクニカとパートナーシップを結び、日本での活動を開始。2008年の夏にはKDDIからのオーダーで音楽プレーヤーのコンセプトをデザインした。2009年初頭にはAndroid端末のUIデザインを任されることになる。
 Svanteson氏は「KDDIとしても、スマートフォンという市場で競争していく上で差別化が必要になり、UIをデザインするにあたっては、外部からノウハウを入れなければいけないと考えていた」と当時を振り返る。

 まずはフルキーボード付きで横長の画面のIS01に搭載されることになった同社のUI。後にIS03のようなフルタッチ型で縦長の画面の端末にも搭載されているが、同氏は「当初からどんなスタイルの端末にも対応できるようにデザインしている。ホーム画面やメニュー画面にいろんな工夫があり、いろんなカスタマイズが楽しめるところに注目してほしい」と語る。

Mayako Fagerfjall氏

 同社では、2010年8月に日本支社を設立。日本支社長兼プロジェクト責任者のMayako Fagerfjall氏によれば、インタラクション(画面遷移)デザイナー2名、グラフィックデザイナー2名、プロダクトマネージャーとして同氏の計5名が東京のオフィスに常駐している。このほか、日本におけるプロジェクトには、マクニカからも日本人スタッフが参加している。

 Svanteson氏は、東京にオフィスを開設した理由について、「もちろんKDDIをサポートするということもあるが、その国に適したUIを作るには、普段からそこで生活し、インスピレーションを得る必要がある。日本の文化的背景をよく100%理解した上で、スウェーデンのテイストを追加したい」と説明。必要に応じて、日本人スタッフを増やすことも検討しているという。



(湯野 康隆)

2010/11/11 15:30