「L-04B」担当者インタビュー

“CONRANケータイ”コンセプトの背景を聞く


L-04B

 近日発売予定のLG製「L-04B」は、英国拠点のデザイングループ「CONRAN」のデザイン会社「Studio CONRAN」が関わったストレート型FOMA端末だ。

 CONRANは、家具や生活雑貨などを手がけており、LG Electronics Japanマーケティンググループの尾花圭介氏は、「愛着を持って長く使いたくなるデザイン」を目指したと語る。国内携帯市場の買い替えスパンなどを背景に、より長い期間利用してもらえる携帯電話を追求する中で、今回、CONRANとコラボに至ったという。決して、誰もが知っているブランドというわけではないが、LGでは「デザイン性を重視し、ライフスタイルにこだわりを持つユーザーには、男女や年齢を問わず、受け入れられる」と分析しているという。

ドコモでは久々のストレート型“くの字”が特徴

 外観面では“くの字”になった点が最も特徴的な部分で、電話をするときには顔の輪郭に沿い、胸ポケットに入れるときには体のラインに合った形状だ。バッテリーカバーは、背面を全て取り外す機構を採用し、一体感を演出する。使いやすさを追求する中からテンキー部は傾斜を付けて押しやすくしたり、方向決定キーとテンキーのサイズを変えたりするといった配慮も為されている。なかでも“くの字”になった形状は、CONRAN側が積極的にリードした部分。その角度が176度になったのは、デザイン性を追求した結果というよりも、デザインを出発点にしながらも使い勝手を追求した結果、決まったものという。また、コンテンツ面でもCONRANがデザインしたものがプリセットされている。

テンキー部。方向決定キーはテンキーより小さい傾斜を付けて押しやすく

 デザイングループとコラボした「L-04B」を手がけたLGは、グローバルに携帯電話を提供する企業だ。過去にも「Chocolate」「Shine」など海外でリリースしたモデルを日本向けに投入した経験を持つ。その一方で、最近日本国内で発売されたLG製端末は、海外からそのまま持ち込まれたものではなく、あらためて日本向けに開発したものも多い。今回の「L-04B」もiモードサービスだけではなく、おサイフケータイに対応する。

リアカバーは背面全体を覆う

 こうした取り組みについて尾花氏は「紆余曲折あったが(現在は)海外モデルをそのまま持ってくることは積極的に考えていない。各市場ごとに考えなければいけない」と語る。日本国内にもLGのデザイン分署が設けられているとのことで、ローカル市場特有のニーズを捉えながら、LGらしさを追求することに重きを置いているようだ。

 2010年前半に話題を呼んだ「SIMロック解除」議論では、SIMロックをいつでも解除できるようにすることで、海外メーカーの日本市場参入が促進するとの見方も為されたが、ローカル市場への取り組みを強化するLGの姿勢は、世界共通仕様が必ずしも現地で受け入れられるわけではないということを示唆するものだ。

LGの尾花氏

 デザイン性を重視したこともあり、薄型ストレートボディへの搭載が難しいと見られるワンセグやGPSなどは非対応となる。310万画素カメラや2.4インチディスプレイもスペック上は中下位に分類できるものだが、スペック面でハイエンドモデルと競争する場合、スケールメリットという観点からすればLGのグローバル性は活かせないだろう。「スペック競争をしても将来登場する機種に抜かれてしまう。それであれば使い勝手や愛されるポイントを追求したかった」(尾花氏)という視点で開発された「L-04B」がどのようにユーザーから支持されるか、今後の動向に注目したい。

 



(関口 聖)

2010/6/9 06:00