【WIRELESS JAPAN 2011】
KDDI、エラー送信機能など通信品質改善に向けた取り組み


 KDDIブースでは、通話や通信品質に関する取り組みが紹介されていた。

 auでは、春モデルの対応端末より、通話品質を従来の約1.4倍に向上させる新コーデック「EVCR-B」を導入している。既存の端末においてもソフトウェア更新サービスを利用して、新コーデックを順次サポートしている状況だ。ブースでは、従来の「EVRC」技術の音声と、最新の「EVRC-B」の音声を聞き比べられる。

 また、来場者の利用している携帯電話を元に、アンケート調査も実施している。初日の午前中の取材となったため、来場者の回答は20件程度だったが、おおむね良い音質との評価のようだ。実際に体験してみたが、ノイズとエッジがやわらぎ聴き取りやすく感じた。ただし、音質に定評のあるPHSと比較すると開きがある、というのが正直なところだ。会場の説明員もPHSとの音質差があることを認めていた。

 通信品質の取り組みについては、従来よりフェムトセルやレピーターなどを利用して対策をとっており、今回もフェムトセルの展示が行われていた。KDDIでは、高層マンションや戸建て住宅など、一部電波が届かない場所があった場合、Webサイトなど報告すると、通信環境を調査してくれるサービスを実施している。通信状況に応じて、フェムトセルやレピーター、固定回線などの対策で宅内エリアを整備している。

 こうした取り組みとともに、より効率的に通信圏外を埋める仕組みも夏モデルよりアップデートで対応する予定だ。Windowsパソコンなどでエラーがあった場合に、マイクロソフトにエラー情報を送信するか問われたことはないだろうか。auでは、通信の失敗や切断といったエラーが発生した際に、携帯電話側が自動でそれを検知し、発生場所(GPS)や電波状況を送信する機能を用意している。

 こうしたエラー情報は通信の秘密に相当し、KDDI側が勝手に収集することはできない。このため、対応端末で最初のエラーを検知した場合、まずポップアップで、情報をKDDI側に送信するか案内がある。情報を送信したくない場合は、一度拒否すれば端末を初期化するまで再びポップアップが表示されることはないという。情報を送信するとした場合、自動でエラー情報がKDDI側に送信される。情報はバックグラウンドで送信され、かつユーザーの操作が優先されるため、情報送信を意識することなく、エリア品質の改善情報が送られることになる。

 KDDIでは、基地局情報だけでは発見が困難だったトラフィック増加、路地裏や深夜の住宅街、オフィスやマンションでのエラーなどをこの機能で収集し、通信エリアの改善を図りたい考え。会場説明員によれば、取得した情報を品質エリア改善以外に利用することはないという。

 秋冬モデル以降のフィーチャーフォンでは標準搭載(初期設定時はOFF)される予定で、スマートフォン向けお検討中としている。対応端末はユーザーは、メニュー画面の「機能設定」→「ユーザー補助」→「メンテナンス」→「エリア品質情報送信」から設定できる。


 




(津田 啓夢)

2011/5/25 21:09