【Mobile World Congress 2015】
スマホ向け虹彩認証を体験できる富士通ブース
(2015/3/3 19:16)
富士通のブースでは、会期初日に発表した、スマートフォン向けの虹彩を使った認証システムが展示されている。
虹彩は眼球の黒目の部分、中央の穴(瞳孔)を広げたり狭めたりする、カメラの「絞り」に相当する構造のこと。虹彩の形状は個人ごとに異なるので、それをパスコードや指紋の代わりに個人認証に使うシステムとなっている。
富士通ブースでは通常のスマートフォンをベースに、虹彩認証モジュールを外付けしたプロトタイプが展示され、実際に虹彩認証を試すことが可能となっていた。
虹彩認証モジュールには赤外線カメラと赤外線LEDが搭載されている。認証時には画面上にカメラで捉えた映像が映像が表示されるため、ユーザーはスマートフォンと顔を動かし、両目が認証位置にくるよう調整する。目が正しい位置になると、自動的に虹彩が認識、認証されてロックが解除される仕組み。
デモ機を使ったところ、目が正しい位置にくると、タイムラグがほとんどなく、即座にロックを解除できた。初期登録時はメガネをはずし、30秒ほど目を大きめに開いて撮影し続ける必要があるが、認証時にはメガネをかけていても動作する。また、周囲の明るさが違い、瞳孔の広がりが異なっていても、同一人物を特定できるという。カメラが認識できる範囲がそれほど広くないため、位置の調整が必要となるが、操作に慣れている説明員は、スリープ解除とほぼ同時にロックを解除できていた。
虹彩認証モジュールには、赤外線のみの単色、両目しか映らないくらいの狭い画角、300万画素程度の専用カメラが搭載されている。普通のインカメラとは全く異なる特性を持っているが、将来的に統合できないかを研究しているという。
専用カメラのほかには赤外線LEDも内蔵されているが、専用の画像処理エンジンなどは必要としないため、専用カメラとLEDを入れるスペースさえあれば、スマートフォンに内蔵することも可能だという。
同システムは今のところ富士通のデバイスでの採用を考えていて、他社への供給の予定はないという。スマートフォンに搭載される際には、指紋認証センサーの代わりに搭載することを想定しているという。
少し変わったところでは、LED照明を使ったデータ伝送システムの展示がある。電灯を使ったデータ電送としては、人間の目に知覚できない、高速点滅を使ったシステムがあるが、そうしたシステムは点滅があまりに高速なため、一般的なカメラで検出できない。しかし富士通が今回開発しているシステムは、点滅ではなく、もっとゆっくりしたサイクルで照明色を変更しデータを電送している。スマートフォンに搭載されているカメラでも読み取りが可能で、デモではAndroid端末上の専用アプリで情報を読み取っていた。iPhoneなどにも対応可能とのこと。
通信速度が10bps程度と遅めなため、URLを伝送するのにもそれなりに時間がかかってしまうが、認識番号の伝送程度ならばほぼ瞬時にできていた。照明色は変化しているはずだが、肉眼では確認できなかった。同様にビデオにもデータを埋め込むこともできるが、そのビデオも肉眼では違いが確認できなかった。
このほかにも富士通のブースでは、同社のモバイル関連のソリューションや製品が多数展示されている。スマートフォン関連では、NTTドコモの法人向けモデルとして販売されているM305/KA4の欧州版が展示されていた。日本ではARROWSブランドで展開しているが、欧州では欧州向けブランドであるSTYLISTICでの製品。欧州においても法人向けモデルとなっていて、一般販売されるわけではないという。