【Mobile World Congress 2012】
HTCやノキアの幹部がエコシステムを語る、ピーター・チョウ氏は日本市場にも言及


HTCのCEO、ピーター・チョウ氏

 HTC CEOのピーター・チョウ氏や、ノキアCEOのステファン・エロップ氏らが「Mobile World Congress 2012」のキーノートセッションに登壇。スマートフォンの開発に求められる条件や、エコシステムの重要性を語った。

 HTCのチョウ氏は、モバイル業界を「本当にアメージング」だと述べ、進化のスピードが速いことを語った。その中で重要になってくるのがエコシステムの構築だ。同社内でのプライオリティは非常に高いといい、ユーザー満足度を高めるために、ハードウェアとソフトウェア、サービスの統合を目指している。チョウ氏によると端末にとって欠かせない要素は「デザイン」だという。

 ただし、ここで述べられているデザインとは「ハードウェアはもちろんだが、もっと全体的なもの」(同氏)で、いわゆるユーザーエクスペリエンス(UX)と呼ばれているものに近い。HTCの端末には「HTC Sense」という使い勝手を高める工夫が取り入れられており、これが他社と比較した際の「アドバンテージになる」(同氏)という。HTC Senseは単なるユーザーインターフェイス(UI)ではなく、たとえば「HTC One X」に搭載された暗い場所でもきれいな写真が撮れるカメラなども、ここに含まれる。

HTCが考える優れたデザインの3原則HTC Sense 4を搭載したHTC Oneシリーズ

 チョウ氏は「パートナーシップにもオープンに取り組んでいる」とし、HTC OneシリーズにDropboxの機能を組み込んでいることを紹介した。単なるアプリ提供ではなく、「ギャラリーに直接表示されるような、統合された形」(同氏)だといい、こうした発言からもHTCがユーザーエクスペリエンスを重視している姿勢が伝わる。音楽機能についても同様で、「ローカルやストア、ストリーミグもすべてハブでまとめた。これらはすべてミュージックだ」(同氏)とコメントしている。

Dropboxを端末とシームレスに統合していることが語られた音楽機能についても言及がされた
ノキアのCEO、ステファン・エロップ氏

 続いて登壇したノキアのエロップ氏は、まずiOSとAndroidのエコシステムを分析した。同氏によるとiOSは「非常にクローズド」で、逆にAndroidは「まったく違うオープンなアプローチをしている」。一方でノキアはマイクロソフトとの提携を通じてWindows Phoneを採用しており、「第3のエコシステムを築いていく」(同氏)という。

 ノキアならではの強みは3つあり、1つ目がローカルなアプリをサポートしていくこと、2つ目がロケーションベースの独自サービスを持っていること、そして3つ目が40カ国、140のオペレーターと協力関係にありキャリア課金でマネタイズがしやすいことだという。

 こうした見方に対し、HTCのチョウ氏もプレゼンテーション後に行われたパネルディスカッションで「私は占い師ではない」と前置きしつつ「Windows Phoneがエコシステムを築けると信じている」と述べるなど、Windows Phoneに対して前向きなコメントが多く出たキーノートスピーチだった。なお、このセッションにはFoursquareのCEO、Dennis Crowley氏も登壇している。

地図サービスはノキアの強みキャリアとの関係が強いのもノキアならではだ

 キーノート終了後、会場にいたHTCのチョウ氏にKDDIとの提携についてコメントを求めたところ、現時点では「ノーコメント」とのこと。一方で日本市場に対しては「今までもコミットしてきたが、今年はさらにそれを深めていくことになる」と力強いメッセージを残した。

 




(石野 純也)

2012/3/1 04:03