【Mobile Asia Expo 2014】

2Kディスプレイに世界最薄、回転カメラ――独自進化を遂げる中国スマホ

 アジア版の「Mobile World Congress」とうたわれる「Mobile Asia Expo」では、開催地が中国・上海ということもあり、同地域向けの色合いが濃いイベントになっている。会場には各社の端末が一堂に会するデバイスコーナーも設けられていたが、日本の展示会では見られない中国メーカーの端末も多く出展されていた。

中国聯通(チャイナユニコム)のブースでは大々的にワールドカップをアピールしていたソニー

 むしろ、(中国から見て)海外メーカーで目立っていたのは、サムスン電子、ソニーモバイル、HTCの3社ほど。数の上では中国メーカーが上回っていた状況だ。このデバイスブースは中国移動(チャイナモバイル)が出展した形となっており、中国市場の状況を色濃く反映している。ここでは、このコーナーで見つけた個性的なスマートフォンを紹介していく。

レノボの2Kディスプレイスマホ

 モトローラモビリティを買収し、世界シェアでも3位に踊り出たレノボ。現時点では中国が同社の主戦場となっており、ここに幅広い端末を投入している。Mobile Asia Expoには、未発表の「K920」を出展した。同端末は3辺狭額縁の2Kディスプレイ(2560×1440ドット)を搭載している。ディスプレイサイズは6インチ。16メガピクセルカメラを備えるなど、超ハイエンドなスマートフォンになっている。

6インチの2Kディスプレイを搭載したレノボの「K920」。まだ未発表だが、なぜかMobile Asia Expoに出展されていた
ディスプレイに寄ってみても、ドットを認識することは難しかった
未発表といいながら、詳細なスペックも紹介されている。中国の展示会、中国メーカーにありがちなエピソードだが……。スペック表によると、クアルコムの「MSM8974AC」を搭載し、32GBのROM、3GBのRAMを搭載しているようだ

薄さ5.5mmのスマホ

 ジオニー(Gionee)が出展していたのが、世界最薄のスマートフォン。その厚さはなんと5.5mmだ。「ELIFE S5.5」とスペックをそのまま名前にしており、金属素材が使われているため剛性も高かった。

5.5mmの薄さを実現したジオニーの「ELIFE S5.5」
非常にスリムでポッキリ折れそうだが、金属素材で剛性は高かった

カメラが回る、OPPOのスマホ

 インカメラ、アウトカメラの両方に使える回転カメラを本体上部に備えたスマートフォン「OPPO N1」を開発したのが、OPPO社。Mobile Asia Expoには、そのコンパクト版である「OPPO N1 mini」が展示されていた。miniとは言いつつも、ディスプレイは5インチ。カメラをフロントに向けると自動的に撮影モードになるといった、工夫も施されている。

回転カメラが特徴の「OPPO N1 mini」
アウトカメラとフロントカメラに同じセンサーを使えるため、高画素な自分撮りも可能

日本では馴染みのないメーカーも

 このほか、K-TouchやTCLといったメーカーも端末を出展。後者のTCLは、Firefox OSのリファレンス端末である「Flame」を開発しており、間もなく日本に上陸する予定だ。また、白物家電を中心に日本で製品を展開しているハイセンスも、中国ではスマートフォンを開発、販売している。

TCLは、ALCATELブランドのスマートフォンを開発する中国メーカー。Firefox OS端末を多数手がけることでも有名
K-Touchの大画面スマホ。同社はデュアルSIMモデルとシングルSIMモデルの両方をラインナップしていた。この機種は秋に発売予定で、まだUIもAndroid標準のままだ
ハイセンスはファブレットも展開。白物家電は日本でも販売中だが、中国でもスマートフォンメーカーとしても有名

日本にも登場予定、ファーウェイのAscend P7

 また、日本でもすでにスマートフォンを販売しているファーウェイは、最新フラッグシップモデルの「Ascend P7」を展示。ガラスや金属を採用した高級感あるデザインが特徴だ。中国はGoogleを国ぐるみで遮断しており、Android端末にもGoogle PlayやGoogleマップがインストールされていないが、展示会場にあったAscend P7はグローバル版でこれらが利用できた。Ascend P7は、SIMフリーモデルとして日本でも発売される予定だ。

ファーウェイはフラッグシップモデルの「Ascend P7」を出展

ZTEの6.4インチファブレット

 もう1つの中国メジャーメーカーであるZTEは、3月に発表した6.4インチのファブレット「Nubia X6」を展示していた。会場の説明員によると、同モデルは「中国国内でネット販売をしている」という。キャリアを通さない理由は、幅広い通信方式に対応しているため。W-CDMAやCDMAはもちろん、中国シェア1位の中国移動(チャイナモバイル)が使うTD-SCDMAやTD-LTEにも対応。通信モードを切り替えるだけで、どのキャリアでも利用できる。さらに、中国ではまだサービスインしていないFDD方式のLTEに対応し、中国国外での利用も想定している。フロントカメラが13メガピクセルなのも、この機種の特徴といえるだろう。

6.4インチのファブレット「Nubia X6」
4種類の組み合わせで、通信モードを変更できる
フロントカメラが13メガピクセルと非常に高い画素数を誇る。アウトカメラも13メガピクセル

HTC One(E8)も

 これら中国メーカーの端末に加え、中国ではグローバルモデルに近い海外メーカーのスマートフォンも販売されている。HTCは、金属筐体で2基のリアカメラを搭載した「HTC One(M8)」を海外で販売しているが、Mobile Asia Expoにはデザインテイストの似た「HTC One(E8)」を出展していた。このモデルは背面がプラスチック素材で、カメラも1つのみとなる。

背面がプラスチックの「HTC One(E8)」。フロントのデザインは「HTC One(M8)」と共通している
右が「HTC One(M8)」で左が「HTC One(E8)」。カメラの数や、背面の素材が大きく異なる。

Xperiaの大画面モデルも

 ソニーモバイルは、日本でも発売されたばかりの「Xperia Z2」に加え、大画面モデルの「Xperia T2 Ultra」を用意。また「Xperia Z2」がワールドカップのオフィシャルモデルに選出されているため、展示会場でのアピールも積極的に行っていた。Xperia Z2はおなじもの防水性能を示すデモも展示されている。

Xperiaは画面のデザインもほぼグローバル版そのままだが、検索ウィンドウがGoogleではなく、「百度」になっている
「Xperia Z2」は防水性能もアピール
ファブレットの「Xperia T2 Ultra」

石野 純也