【IFA2016】
ファーウェイ、スマホ新機種「nova」シリーズ、タブレット「MediaPad M3」など発表
2016年9月2日 19:26
ファーウェイは9月1日(現地時間)、ドイツ・ベルリンで開催されるIFA 2016に先駆け、新製品発表会を開き、スマートフォンの新モデル「nova」シリーズ2機種、タブレットのフラッグシップモデル「MediaPad M3」、現在、グローバル市場に展開中のフラッグシップモデル「P9」の新色などを発表した。
好調に売れ行きを伸ばすファーウェイ
新製品発表会ではファーウェイのConsumer Business Group CEOのRichard Yu氏が登壇し、はじめに同社の最新動向のアップデートが紹介された。
昨年11月、ファーウェイ傘下のHiSiliconは世界初の16nmプロセスで製造されたSoC「Kirin 950」を開発し、パフォーマンスと省電力性能のバランスの取れたSoCを実現した。2016年1月には米国で開催されたInternational CES 2016に合わせ、このKirin 950を搭載した大画面スマートフォンのフラッグシップモデル「Mate 8」をグローバル向けに発表し、パフォーマンスと省電力性能の壁をひとつ打ち破ったとした。今年2月にはスペインで開催されたMWC 2016に際し、同社初となるWindows 10を搭載した2in1スタイルのパソコン「MateBook」を発表し、タブレットとパソコンのハイブリッドによるビジネスの新しいスタイルを提案した。そして、今年4月にはスマートフォンのカメラ撮影を再発明するとして、Leicaとのコラボレーションを実現したフラッグシップモデル「P9」を発表した。
こうした状況の中、2016年上半期はスマートフォンの出荷が前年比25%増の6050万台、売り上げは前年比41%増の774億人民元を記録したという。価格帯別のシェアは300~400ユーロ、400~500ユーロ、500~600ユーロのいずれのレンジでも前四半期よりも拡大しているが、なかでも500~600ユーロの価格帯の製品の売れ行きが好調で、シェアは25%を超えるところまで拡大しているとした。
新シリーズ「nova」「nova Plus」
そして、今回のIFA 2016に先駆け、新しいシリーズとなる「nova」「nova Plus」の2機種が発表された。新しいシリーズの名称の「nova」は、「A Shining New Star, DNA of Innovation」から取ったもので、「Defy Expectation」というキャッチコピーが与えられている。
novaシリーズの詳細を説明するにあたり、Richard Yu氏はまず、デザイン性を挙げた。novaシリーズはエルゴノミクスデザインを採用し、複数の曲線で構成されたボディ形状に、背面は手にフィットする自然な形状で仕上げている。前面のガラスは第二世代となる2.5Dガラスを採用し、シンプルながらエレガントなデザインにまとめている。ボディ周囲はダイヤモンドカットにより、視覚的にもなめらかに仕上げ、側面部分はヘアラインブラシ仕上げを施している。ボディ側面のベゼル部分は1.8mmに仕上げられており、Galaxy S7の3.07mm、iPhone 6sの4.29mmに比べ、スリムであるとした。
ボディサイズは高さ141.2mm、幅69.1mmで、搭載された5インチディスプレイの画面占有率が76%となっているのに対し、同クラスのボディ幅を持つGalaxy A5が71mm幅で5.2インチディスプレイを搭載し、画面占有率が72.5%、iPhone 6sは67.1mm幅で4.7インチディスプレイを搭載し、画面占有率が68%となっており、ライバルに比べ、大画面ディスプレイを搭載しながら、コンパクトにまとめられているとした。
ディスプレイは441ppi、1500:1のコントラスト比、85%の色域と、いずれもiPhone 6sを大きく上回っており、搭載された「Eye Protection Mode」により、50%のブルーライトカットや自動明るさ調整、自動色温度調整などが設定される。ボディカラーはPrestige Gold、Mystic Silver、Titanium Greyの3色がラインアップされ、いくつかの国と地域ではRose Goldも展開される。
パフォーマンスについてはSoCに14nmプロセスルールで製造された米Qualcomm製Snapdragon 625/2GHzオクタコア、3GBのRAMを搭載し、同クラスのGalaxy A5(Snapdragon 615搭載)に比べ、CPUのパフォーマンスが42%、GPUのパフォーマンスが45%、上回りながら、省電力性能も35%優れているという。
本体の内部的には高密度集積設計により、内蔵バッテリーのためのスペースを約20%も増やすことができ、3020mAhの大容量バッテリーを搭載する。充電もiPhone 6sなどが対応する5V1Aに対し、5V2Aでの充電に対応しているため、より高速に充電することが可能だ。
また、この大容量バッテリーによるロングライフを活かし、通常利用では48時間、HDビデオの再生は13時間、4Gでのブラウジングは16時間、音楽再生では73時間の利用がそれぞれ可能であるという。ARを利用した「ポケモンGO」でも5時間の連続プレイが可能であることを紹介すると、会場からは大きな拍手がわき起こった。
底面の外部接続端子はUSB Type-Cを採用し、背面にはファーウェイ製端末ではおなじみの指紋認証センサーを搭載する。指紋認証センサーには読み取る情報量の違いにより、4つのレベルがあり、novaシリーズには3次元的な情報を読み取ることができるLevel 4のものが搭載される。FIDO認証にも対応するほか、指紋認証センサー部分を操作して、着信に応答したり、通知エリアのプルダウン表示、自分撮り時のシャッターなども利用できる。
本体の左側面に備えられたSIMカードスロットは、1つのトレイにnanoSIMカードとmicroSDメモリーカード、あるいは2枚のnanoSIMカードを装着できるデュアルSIM仕様を採用する。通信方式と対応周波数については供給する国と地域によって異なるが、2G(GSM)が4バンド、3Gが6バンド、4Gが7バンドをサポートし、世界の143の国と地域に対応するという。機能面ではオーディオが強化され、7.1chのサラウンド再生や低音を強化した再生が可能。
novaシリーズのもうひとつの機種である「nova Plus」は、基本的にnovaと同じ仕様ながら、ディスプレイサイズとバッテリー容量が異なる。ディスプレイは1920×1080ドット表示が可能な5.5インチのものを搭載し、nova同様、2.5Dガラスを表面に装着する。バッテリーは3340mAhの大容量バッテリーを内蔵し、通常利用で52時間、HDビデオ再生で15時間、4Gネットワークで18時間のブラウジング、音楽再生で82時間の利用をそれぞれ可能にする。
カメラについてはリアに12Mピクセルのイメージセンサーと反射防止コーティングを施したF2.2のレンズと組み合わせたものを搭載する。イメージセンサーが1.25μmと大きいため、より多くの光を取り込むことができ、暗いところでの撮影にも強い。オートフォーカスは位相差AFとコントラストAFの両方に対応し、より高速に被写体にピントを合わせることができる。本体の省電力性能の高さを活かし、1回のフル充電で、1000枚の写真を撮ることができるという。4Kビデオの撮影にも対応する。
使い勝手については、従来モデルで採用されていた指関節部分でディスプレイに触れ、写真などを切り抜くことができる「Knuckle Sense」、縦長の切り抜きができる「Long-page Screen Capture」、動画のお気に入り部分をクリップできる機能、スクリーンに投影されたプレゼンテーション資料などを斜めから撮影しても正対して保存できる「Document Re-adjustment」なども実装される。
続いて、モデルとして活躍するロシア人のXenia Tchoumi(ゼニア・チュニチェヴァ)がゲストとして登壇し、novaシリーズによる自分撮り(セルフィー)の魅力とカメラ機能について、説明した。現在、18~24歳を中心に「Selfie Generation」と呼ばれる人たちが増え、Instagramでは10秒に1枚の割合でセルフィーが投稿され、SnapChatでも74%がセルフィーの画像が投稿されているという。novaシリーズのインカメラは8Mピクセルのイメージセンサーが採用されており、スクリーンを光らせる「Screen Flash」により、暗いところでのセルフィーも撮影しやすいとした。「Beautiful Skin 3.0」と呼ばれる機能では肌を自然な印象で撮影することができ、「Beauty Makeup 2.0」では「Pink」「Cute」「Nature」「Party」など、8種類のカスタマイズされたシナリオで写真を仕上げ、シェアリングすることができる。ファーウェイ端末ではおなじみの「Beauty Mode」では、複数人で撮影をするとき、あらかじめ登録した自分だけを美しく仕上げる「Perfect Selfie」も搭載される。
次に、カメラの暗いところでの撮影については、novaは1.25μmの12Mピクセル、nova Plusは1.12μの16Mピクセルの裏面照射型センサーを採用し、6軸手ブレ補正にも対応しているため、さまざまなシーンでの撮影に強いとした。オートフォーカスも0.3秒と早く、シャッターチャンスを逃すことがなく、光学手ブレ補正により、動画も静止画も美し記録することができるという。さらに、バッテリーのロングライフにより、パーティが続くようなときでもバッテリー切れを起こさずに、写真が撮り続けられるとして、会場の笑いを誘った。
再び、Richard Yu氏が登壇し、今年4月に発表されたフラッグシップモデル「P9」がカメラのデュアルレンズ技術が市場をリードしていることがアピールされ、新たにBlueとRedのカラーバリエーションが追加されることが明らかにされた。いずれも背面の金属パーツがそれぞれのカラーになり、指紋認証センサーも同色で仕上げられている。
タブレットのフラッグシップモデル「MediaPad M3」
次に発表されたのがタブレットのフラッグシップモデル「MediaPad M3」だ。「Celebrating Your Sense」というキャッチコピーが耐えられたMediaPad M3は、2560×1600ドット表示が可能な8.4インチのUltra 2Kディスプレイを搭載する。iPad mini4に比べ、30%も高解像度で、1インチあたりのピクセルも10%高い359ppiとなる。
ボディはスリムなメタル筐体を採用し、SoCに16nmプロセスルールで製造されたHiSilicon製Kirin 950オクタコアプロセッサをを搭載。5100mAhの大容量バッテリーを内蔵し、最大11時間のビデオ再生を可能にする。
ディスプレイ下の部分には指紋認証センサーを備えているが、ロック解除のために利用するだけでなく、指紋認証センサー部分のタップ、ロングタップ、左右へのスワイプで、他の機能を起動することも可能。
サウンドについては旭化成エレクトロニクス製AK4376 D/Aコンバーターを搭載し、コンパクトサイズのタブレットながら、高音質の再生を可能にする。このサウンド性能を活かすため、AKG製のステレオイヤホンマイク「AKG H300」も別売で提供される。本体には高音質サラウンドを可能にするデュアルスピーカーが内蔵されており、オーディオ機器メーカーとして知られるharman/kardonによる高音質チューニングが施されている。
各機種とも手ごろな価格帯を実現
最後に、Richard Yu氏が登壇し、各製品の価格帯とラインアップについて、説明した。スマートフォンのnovaは3GB RAM/32GB ROMのモデルが399ユーロから、ディスプレイとバッテリーを大型化したnova Plusは同じく3GB RAM/32GB ROMのモデルが429ユーロからに設定される。
スマートフォンのP9の新色ラインアップとなるBlueとRedは、いずれも549ユーロの価格が設定された。タブレットのMediaPad M3はストレージとLTE対応の有無の違いで、4つのモデルがラインアップされ、4GB RAM/32GB ROMのLTE対応モデルが399ユーロ、4GB RAM/64GB ROMのLTE対応モデルが449ユーロで販売される。