【CES 2017】
「デュアルカメラ」「FeliCa」「So-net」、平井CEOが語るソニーのモバイル事業
2017年1月6日 17:30
今回の「CES」ではXperiaの発表をしなかったソニー。だが、同社のイメージセンサーを搭載したスマートフォンは他のメーカーから続々と登場している。たとえばZTEの「Blade V8 Pro」や、ASUSの「ZenFone 3 Zoom」などは、スペック表でもソニー製のセンサーが搭載されていることがうたわれている。
また、昨年は「iPhone 7」「iPhone 7 Plus」にFeliCaが搭載され、非接触決済が話題を集めた1年だった。そのFeliCaも、ソニーの開発した技術。ファーウェイのように、アップル以外の海外メーカーも、対応を進めようとしている。こうした市場動向を、ソニーはどう見ているのか。同社の社長兼CEO、平井一夫氏が、報道陣からの質問に答えた。モバイル事業に関連した、主な一問一答は次のとおり。
――スマートフォンで、デュアルカメラを搭載する機種が増えています。イメージセンサー事業には、どのような影響があると見ていますか。
平井氏
1つより2つ搭載していただければ、2度おいしいというのは当然あります(笑)。ただし、同時に、スマートフォンの市場自体の伸びが鈍化している地域もあります。その中でも、2眼カメラという新たな展開があれば、センサーの観点では(落ち込みを)抑えることができます。ビジネスに対するインパクトはポジティブだと、論理的には思います。
ただし、まだまだ全体のパイからすると(デュアルカメラ搭載機は)少ない。スマートフォンメーカー各社が2眼で体感できるメリットを浸透させられるのか。デプス(深度)センシングやより幅広いレンジでのズームなどのベネフィット(便益)を訴求できるかどうかがポイントになってきます。
――Xperiaは画質の良さを追求する一方で、デュアルカメラのようなスマートフォンらしい工夫がありません。こういったトレンドを取り込んでいく考えはあるのでしょうか。
平井氏
確かに弊社のXperiaは単眼で展開しています。それを今後どうしていくのかは、いろいろと検討していて、時期が来たらお話することになると思います。
これは私個人の考えですが、仮に背面のカメラが2眼や複眼でメリットが出てくるなら、インカメラも複眼にするとおもしろい提案ができるかもしれない。スマートフォンの撮像、撮影に対する楽しさを足せることになります。同時のその際に弊社のセンサーを使っていただければ、ビジネスに対しても(さらに)ポジティブになります。
――モバイルペイメントは大きな機能の1つになりましたが、FeliCaを持つソニーとしては、どう展開していくのでしょうか。
平井氏
日本ではかなりFeliCaが普及していて、香港など、アジアの一部にも入っています。これをもっと大きい地域で展開したいという願望はありますが、すでにかなりエスタブリッシュされた方々が(FeliCa以外のNFCで)ビジネスをされている。そこに対して投資するという考え方もある一方で、リーダーシップを取っている市場で、もっと発行枚数を増やすという戦略もあります。今は、海外戦略を語る時期ではない、と考えています。
――以前、ウェアラブルを普及させていくのは相当大変だとお話されていましたが、このタイミングではどう見ていますか。
平井氏
ウェアラブル市場についての見方は、変わっていません。市場が大きくなるかどうかは、お客様が商品を買ってくれるかどうかで、機能、サイズ、バッテリーライフのバランスが取れた商品が出てくれば当たると思っています。いろいろな方が予想したほどウェアラブル市場が伸びていないのは、本当に刺さっている商品が出てきていないからです。
その中で、最近のソニーで言うと、E-inkベースの時計(FES Watch U)や、「wena wrist」の展開もしています。ウェアラブルを止めたということはまったくなく、いろいろなトライはまだまだしていかなければいけないというスタンスです。ただし、数年前は「CES=ウェアラブル」でしたが、その過熱気味からすると、トーンダウンしている印象は持っています。
――KDDIがBIGLOBEを買収するなど、プロバイダー業界に再編が起きてします。ソニーネットワークコミュニケーションズ(So-net)は、どうしていきますか。
平井氏
So-netはご存知のとおり、スマートフォンのビジネスと一緒にしていて、十時(裕樹ソニーモバイルコミュニケーションズ社長)がマネージメントとして見ています。コミュニケーションデバイスとそれを支えるネットワークサービス、プロバイダーの組み合わせで、ユニークなサービスやスマートフォンとの連携を提供していこうと再編しました。業界の中でも再編の話も聞こえてきますが、(So-netは)より「One Sony」としての動きができる形を進めていきたいと考えています。
――本日は、ありがとうございました。