【2015 International CES】
垂直跳びを測るだけ、全方位ライブ中継、鉢植え管理――CES Unveiledで見つけた“IoT”なモノ
(2015/1/5 21:50)
「2015 International CES」開始に先立ち、さまざまな企業が集まって新製品を披露する「CES Unveiled」という公式イベントが開催された。
CES Unveiledには、「単独で発表会を開催しても人を集めきれないような小さなメーカーの新製品を集めてプレスに見てもらおう」という趣旨があるため、基本的には大手企業は参加せず、中小企業が参加している。過去にはLGやレノボがCES Unveiledに参加し、スマートフォンやタブレットを展示したこともあったが、今回はYezzというメーカーがスマートフォンを展示しているのみで、それ以外でスマートフォンやタブレット自体は展示されていない。
しかしその一方で、中小規模のメーカーによるユニークなコンセプトのIoT機器やウェアラブルデバイス、スマートフォン連携機器が多数展示されている。本稿では、それらの中から、ユニークなものをピックアップして紹介する。なお、特に記載しない限り、基本的にいずれの製品も日本での発売予定は公表されていない。
スノボの滑りをスマホでチェック「SNOW-1」
日本からは、新興メーカーのCerevoが新製品「SNOW-1」を展示している。これは同社のスポーツ向けシリーズ「XON」の第1弾となる製品。
スノーボードのバインディングになっており、各種センサーを内蔵。スマートフォン上のアプリにリアルタイムで速度や両足の加重、ボードのしなり具合といったデータを表示させることができる。Bluetooth対応で、iOSとAndroidと連携できる。スキー向けのスマートゴーグル「Recon SNOW」シリーズなどで動作するかは未確認とのことだが、AndroidのAPKファイルが使えれば利用できるという。価格は400~600ドルで2015年中に登場予定。
注目を集める「Ring」
Logbarは指輪型デバイス「Ring」を展示している。日本発の製品で、日本国内ではガジェット好きを中心に知名度の高いデバイスだが、日本以外で展示する機会はまだ少なかったこともあり、CES Unveiledの中でもプレスの注目度が高かった。ただし、新製品の紹介ではなく、販売済のバージョン(最初の製品は売り切れ)を展示していた。
初期バージョンはボディがほぼ金属製ということもあってか、Bluetoothによる通信が切れやすいという問題が指摘されている。同社によれば、その問題を解決する新バージョンを開発中とのこと。新バージョンではボディは金属製ではなくなるという。初期バージョンを購入したユーザーで希望者にはこの新バージョンが送料負担のみで配布される(3月予定)。販売再開はまだ正式決定していないが、再開する場合は、新バージョンになる見込み。
Yezzのスマートフォン
YezzはAndroidスマートフォンとWindows Phoneスマートフォン、Firefox OSスマートフォンの製品群を展示している。今回のUnveiledでは数少ないスマートフォン展示で、各OS、各スクリーンサイズを用意するという、幅広いラインナップがユニークであるが、もっとユニークなIoT機器が山ほど揃ったCES Unveiledの会場にあっては、あまり注目されず、目立たない存在となっていた。
子供向けの「here0」
Indiegogoのクラウドファンディング発の「hereO」は、モバイルデータ通信機能を内蔵する子ども向けのウェアラブルデバイス。GPSを内蔵し、装着する子どもの位置をリモートで検索することができる。4種のカラーバリエーションが用意されているのも特徴。2015年4月に北米向けに発売予定で、現在179ドル(約2万1500円、3カ月の利用料込み)で予約を受け付けている。
通話機能はなく、GPS通知と緊急通知の機能だけだが、その分、月額4.95ドル(約600円)と利用料が低めに抑えられている。ちなみに製品名は「ヒーロー」と発音する。説明員によると、子どもを助けるヒーローだからだそうで、カラーバリエーションが揃っているのも「ヒーローだから」とのこと。
頭に装着、衝撃を検知する「Linx IAS」
「Linx IAS」は衝撃に特化したアクティビティトラッカー。格闘技やフットボール、エクストリームスポーツなど頭部に衝撃が加わる可能性のあるスポーツをする際、頭部に装着し、危険な衝撃が加わったかどうかを検出する。似たものとしては、Reebokの「CHECKLIGHT」という製品があるが、Linx IASはスマートフォンと連動し、コーチや審判など、周囲の人にデータを送れる。コーチや審判などはそのデータを元に、試合の中断などを判断する。データはスマートフォンやタブレット上で解析されるので、蓄積ダメージを判定できるのも特徴。なお、発売時期は未定。
ホームセキュリティ向けカメラ「Welcome」
日本でも個人向け気象観測IoT機器「ウェザーステーション」を展開しているNetatmoは「Welcome」というホームセキュリティ向けのネットカメラ製品を展示している。最大の特長は顔認識機能で、玄関などに設置しておくことで、誰が在宅しているかどうかを判別したり、誰が帰宅したかをスマートフォンのアプリにプッシュ通知したりできる。200ドル台(約2万4000円)の価格帯で3月~4月に登場予定。
筋トレに活用「TAO」
TAO Wellnessは、「TAO」という筋トレ用デバイスの新製品を展示している。これは身体を大きく動かさない、いわゆるアイソメトリック運動のトレーニング機器。
手のひらサイズのデバイスには圧力センサーが内蔵されていて、両側から押しつぶすようにすると、Bluetoothで連携するスマートフォンやタブレットに圧力データが転送される。デモでは「圧力をかけるとキャラが浮き上がり、緩めるとキャラが落ちる」という横スクロールのアクションゲーム(ファミコン世代向けにたとえるなら強制スクロールタイプのマイティボンジャック)が用意されていて、楽しみながら筋力を鍛えられるようになっていた。
エッジがシリコンの保護ガラス
日本でも製品を展開するPATCHWORKSはエッジ部がシリコンになっている、スマートフォン用保護ガラスを展示している。iPhone 6/6 Plusなどはフロントガラスを含めて丸みを帯びていて、一般的な保護ガラスでは段差ができてしまい、「画面外からのスワイプ」といった操作を行う際、違和感を生じさせる。一方、本製品はそうした違和感を最小できる。
ライブ中継できるアクションカメラ
LIQUID IMAGEはアクションカメラの新製品「EGO LS」を展示している。これは4Gのモバイルデータ通信機能とWi-Fi機能を内蔵した製品で、ただ撮影するだけでなく、WQVGAでのライブストリーミングにも対応する。予定価格は399.99ドル(約4万8000円)で。2015年第1四半期に出荷予定。米Verizonのネットワークを利用する。
鉢植えを手軽に管理、水やりもできる「H2O」
ドローンなどユニークなIoT機器を手がけるParrotは、鉢植えに差し込んで使う開発中の新製品「H2O」を展示している。鉢植えの気温や湿度、日照を測定し、スマートフォンやタブレットで管理できるという製品。同社では同様の「Flower Power」という製品(日本でもアップルストアで販売)を展開していたが、H2Oでは散水機能が追加された。同じく散水機能を内蔵した鉢植え「POT」も展示していた。
Parrotはこのほかにも、アクティビティトラッカー機能を統合したヘッドセット「Zik Sport」も展示している。心拍センサーも搭載し、運動強度も測定できる。
腕時計型の「Active POP」
アクティビティトラッカーなどを手がけるWithingsは、「Active」の新モデル「Active POP」を展示している。Active同様、クラシックなアナログ時計のデザインそのままの腕時計型デバイスで、歩数などの達成状況もアナログ針で示すようになっている。一般的な腕時計と同様にボタン電池を利用し、8カ月動作するという。防水で水泳のトラッキングにも対応し、睡眠トラッキングやバイブレーションによるアラーム機能もある。発売時期は未定だが、価格は149.95ドル(約1万8000円)となっている。
クリップ型カメラの新製品「Narrative Clip 2」
クリップ型のウェアラブルカメラを手がけるNarrativeは、新製品の「Narrative Clip 2」を展示している。これは「Narrative Clip」の後継製品だ。
ウェアラブルカメラと言えば、スポーツなどを楽しむ中で利用する製品が多いが、Narrative Clipは日常の風景を数秒おきに静止画で撮影する。新製品のNarrative Clip 2も基本的な機能は同じだが、USB接続のみサポートしていた従来モデルからの進化として、新たにWi-Fi、Bluetoothに対応。5メガピクセルだった解像度も8メガピクセルに向上した。一方で大きさはほとんど変わらず、厚みが9mm→12mmに、重さは20g→28gとなった。2015年中に発売予定で、価格は199ドル(約2万4000円)。ちなみに従来モデルは無線機能を内蔵しないため、そのまま日本に持ってきても電波法違反にならない、ウェアラブルデバイスとしては珍しい製品である。
赤ん坊の体温測定に
「TEMP TRAQ」は赤ん坊などの利用に特化した特殊なウェアラブル体温測定デバイス。身体へ直接貼って使用し、リアルタイムの体温を測定し、スマートフォンに転送する。デバイスを薄くするために、プリントバッテリーを使用していて、24時間連続稼働するが、バッテリー交換や充電はできない使い捨てタイプ。現在、アメリカ食品医薬局(FDA)の審査中で市販はされていない。
全方位撮影、好きな方向の映像をライブで中継
IC Real Techは全方位撮影に対応したカメラ「ALLIE」シリーズを展示している。これは前後2つの魚眼レンズのカメラの画像を合成し、全方位の映像を作った上で、スマートフォンなどで好きな方向の映像を見られるようにするというもの。動画撮影やライブストリーミング配信にも対応し、カメラ自体は固定されたまま、リアルタイムで好きな方向の映像を見ることができる。
手書きしてデジタル化
「iSketchnote」は手書きしたものをタブレットなどに取り込むためのキックスターター発のデバイス。専用のボードと専用のペンを使えば、紙の種類は問わない。
ペン先は通常のボールペンで、通常のリフィルインクカートリッジが使える。現在のところ専用アプリはiPad向けに用意されているが、今後はAndroidやWindows、Mac向けにも提供を予定しているという。データはベクトルデータで記録され、PNGやCSV、描いた順を再現する動画での出力も可能。ボードと2本のペン、専用カバーのセット「iSketchnote Pack」は2015年はじめに出荷予定で、通常199ドル(約2万4000円)のところが先行予約価格として179ドル(約2万1500円)となっている。実機デモは比較的正確かつスムーズに動いているのが確認できた。
テニスの得点を数えるだけ
「iSet Watch」はテニスの得点カウントに特化したウェアラブルデバイス。プレーヤー自身が装着し、得点をカウントする。
カウントした得点は、相手の同デバイスと共有したり、スマートフォン経由に転送したり、スマートフォン経由でリアルタイム共有もできる。Android Wearなどの汎用スマートウォッチでも実現できそうな機能だが、こちらのデバイスは3m防水、ボタン電池で約2年というバッテリーの持ち、明るい場所で見やすいモノクロ表示など、スポーツシーンにあわせた仕上がりだ。
垂直跳びを測るだけ
「VERT」は「ウェアラブル・ジャンプ・デバイス」というナゾのカテゴリのアクティビティトラッカー。垂直跳びに特化したデバイスで、装着して飛ぶと、その飛んだ高さや回数を記録し、スマートフォンで管理・共有ができる。ジャンプの高さを競うって小学生男児かよ! と突っ込みたいところだが、成人男子の大半は小学生男児だった経験を有するため、意外と受け入れられるかもしれない。