【BlackBerry Day 2009】

BlackBerry関連ソリューションを展示、新色「White」も


BlackBerry Boldの新色「White」

 11月26日と27日の2日間、東京国際フォーラムで、NTTドコモのRIM(Research In Motion)製スマートフォンを題材にしたイベント「BlackBerry Day 2009」が開催された。関係者によるセミナーのほか、BlackBerry向けの各種ソリューションが展示されている。

 BlackBerryは、他のスマートフォンと比べ、ネットワークと連携することで、メールや各種アプリケーションが手軽に利用できる点が特徴とされる。個人ユーザー向けには「BlackBerry Internet Service(BIS、ビス)」と呼ばれるサービスが用意され、法人向けには「BlackBerry Enterprise Service(BES、ベス)」というサービスが提供されている。

 また12月3日に発売される、「BlackBerry Bold」の新色「White」もいち早く実機が展示され、実際に操作できる状態となっていた。「White」は、女性ユーザーをメインターゲットにした新たなカラーバリエーション。スペックなどは従来カラーと同等で、ボディカラーを一新した。

BlackBerry Boldの展示左側面右側面背面
キー底面上部メインメニュー

BlackBerryでGoogle Apps

 Googleが提供するメールやカレンダー、オフィス文書など、法人向けのサービス「Google Apps」のコーナーでは、導入支援を手掛ける富士ソフトとブースを並べ、サービス内容などが紹介されていた。

 これまでBlackBerry向けには、BISを利用する形となっていたが、Google側がGoogle AppsとBESを繋ぐ機能を新たに開発。BESでは、管理者がBlackBerryの通信機能やアドレス帳機能など、アプリケーションごとに利用できるようにするか、制御できる。Google AppsがBESに対応したことで、従来よりもセキュアな環境で利用できるようになった。

概要富士ソフトでは導入~運用をサポート

 富士ソフトでは24時間365日のサポート体制も提供し、導入~運用をサポートする。自動的にメールが届くといった特徴により、BlackBerryは他のスマートフォンより利便性が高いと説明しているという。導入コストは100ユーザーで10万円程度で、早ければ3カ月程度で導入できるという。

salesforce.comもBlackBerryで

 強力な営業支援ツールとして知られる「salesforce.com(セールスフォース・ドットコム)」のコーナーも設けられ、BlackBerryでの利用をアピールしていた。

 salesforce.comは、米国初の法人向けサービス。営業活動について、誰がいつどこへ訪問・連絡したか、あるいは誰から問い合わせがあったか、逐一入力していくことで営業活動を可視化し、手薄になっている部分や重点的に攻める点などが把握しやすくする。

 BlackBerry関連の展示会だが、salesforce.comではいかなるプラットフォームでも同様のユーザー体験を提供することが目標となっている。そのため、BlackBerryならではの利便性というよりも、一般的な携帯電話や他のスマートフォンと同等の使い勝手が実現されている。

salesforce.com顧客に関するアクションを記録して可視化BlackBerryからも利用可能こちらはTDCの自社製品「HANDyTRUSt」

 salesforce.comの販売パートナーであるTDCソフトウェアエンジニアリングでは、対応ソリューション「MoobizSync 2.0 for AppExchange」を展示。BlackBerry Boldを使って、サーバー上のアドレス帳、ToDoリストなどにアクセスして、スムーズに利用できる様を披露していた。導入費用は1組織あたり1万円、月額費用はsalesforce.comのライセンス料(0円/6000円/9000円)と1500円がかかる。

 また、TDCの自社製品「HANDyTRUSt(ハンディトラスト)」は、営業スタッフやシステム保守の夜間スタッフなど、外回りの従業員に携帯電話を持たせて、現地から作業報告ができるツール。位置情報や訪問日時を管理し、現地を訪れたスタッフがアプリからカメラを起動し、写真と作業報告のコメントをつけて送信すると、訪問先、日時、作業内容をセットにした報告書が完成する。今回のデモでは、BlackBerry Boldで利用できるようになっていた。

サイボウズもBlackBerry対応へ

 サイボウズのブースでは、大規模企業向けグループウェア「サイボウズ ガルーン 2」をBlackBerryで利用できるようにする「サイボウズ ガルーン 2 Sync for BlackBerry(仮)」が展示されていた。正式には来年にも発表されるとのことで、価格帯などは未定という。

 機能としては、「サイボウズ ガルーン2」の機能をBlackBerryから利用できるようにするというもの。サーバー側やクライアント側でスケジュールなどに変更が加えられれば、速やかに反映されるなど、モバイル環境でもスムーズに利用できるという。

サイボウズ ガルーン 2がBlackBerry対応にスケジューラ電話があったことを伝える「電話メモ」

BES向けPOPメール、遠隔決裁や医療アプリ、ゲームなど

 構造計画研究所のブースで展示されていたのは「BES-POPコネクター」という製品だ。これは、法人向けサービスであるBESを契約していてもPOP/SMTPメール機能を利用できるようにするというもの。社内に設置してPOPメールクライアントとして動作し、BES経由でBlackBerryへ転送する。

 本製品は、構造計画研究所が開発したものの、NTTドコモが権利を持ち、販売を担う。ドコモ社内でBlackBerryを導入しようとした際、そのままではドコモ社内のメールが利用できなかったため開発されたもので、「BES-POPコネクター」導入後は、ドコモの山田社長もBlackBerryを利用しているという。

 新明和ソフトテクノロジでは、「Mobileware FLOWBB」というワークフロー管理ソリューションを出展していた。こちらは近日リリース予定のもので、部下から決裁を求められた上司が外出先でもBlackBerryで承認できるようにする、というもの。依頼が届けばBlackBerryに通知が届き、専用アプリで承認まで行う。

BES-POPコネクターの概要図BES-POPコネクターの管理画面。BESのメール管理画面よりシンプルなUIFLOWBBの概念図決裁の依頼一覧

 ユニークなところでは、アイ・エス・ビー(ISB)が「医療用」と題した画像ビューアーアプリを展示していた。同社ではもともとCTスキャンの画像解析や超音波装置のハード制御など、医療関連のソフトウェア開発を手掛けており、医療従事者にとって操作しやすい形に仕上げた画像ビューアーを開発した。院外での診察といった利用法が想定されているが、まずは市場を探るべく開発したとのことで、本格的な展開は今後進められる見込み。

 同社ブースでは「FIREPLAYER(ファイヤープレイヤー)」という音楽ソフトのBlackBerry対応版も展示されている。同アプリは、楽曲データを再生しながら、「PIANO」「GUITAR」などと楽器名が記されたボタンを押すと、その楽器のメロディをON/OFFできる。担当者は「DTMではハードルが高く、DJプレイに興味がなくとも、音楽を鳴らしながら自由にメロディを組み立てられる」として、手軽に音で遊べるアプリと紹介していた。

 法人向けソリューションが多数を示す会場の中、唯一ゲームコンテンツを出展していたのはワーカービーのブース。国内のBlackBerry Bold向けに唯一ゲームを配信しているとのことで、今後は海外での展開も視野に入れているという。

 このほかナビタイムジャパンもナビゲーションアプリを展示。基本的に、携帯電話向けサービスと同等の機能が利用できるようになっており、個人・法人を問わず、利用できるという。

音を楽しむFIREPLAYER医療用画像ビューアー国内で唯一のBlackBerry Bold向けゲームを配信するワーカービー
ナビタイムのアプリ音声ガイダンス付のルート案内

プロジェクター、プリンター、外部キーボード/ディスプレイ

 BlackBerry向け周辺機器として、NECディスプレイソリューションズでは、プロジェクターを展示していた。BlackBerryとはBluetooth経由で接続するが、通常のファイル転送では画像を1枚ずつ転送する形になるところ、専用アプリなどを使うことで、プレゼンテーションを行う際のページ送りがスムーズにできるよう、画像を複数枚転送できるようにしている。

 BlackBerry側にインストールする専用アプリは無料だが、NECディスプレイソリューションズのプロジェクターでのみ動作する。同社の携帯電話向けアプリでは、サーバーと連携して、プレゼンテーション時のみ資料をダウンロードし、アプリを終了させると端末内から資料が削除されるという機能が用意されているが、BlackBerry対応版では外部メモリカード内の資料を参照する形になるという。

BlackBerryで利用できるプロジェクターシステム概要BlackBerryからプリンタにデータを送り印刷

 その隣のブースでは、ブラザーがBlackBerryから印刷できる携帯プリンタ「Pocket Jet」のデモを行っていた。BlackBerryには専用アプリをインストールし、Bluetooth経由でデータをやり取りするという。

 一見パソコンに見える「REDFLY」は、シンクライアントのような形での利用を想定したデバイス。8インチ、800×480ドットのディスプレイとQWERTY配列のキーボードが一体となっており、ノート型パソコンのように折りたたんで持ち運ぶ。これまでもスマートフォンで利用できるようになっていたが、今回、BlackBerryに対応した。

 「REDFLY」のディスプレイにBlackBerryの画面が表示され、外部キーボード兼ディスプレイとして利用できる。大きさは25×152×228mm、重さは約900g。4500mAhの内蔵バッテリーで約8時間駆動する。価格は2万9800円。

専用アプリから転送するREDFLY

 



(関口 聖)

2009/11/30 06:00