世界のケータイ事情
モンゴル人に人気のメッセンジャーアプリと春祭り
(2015/4/28 14:26)
「サンバイノー」(こんにちは)。2月にモンゴルの旧正月の話を寄稿させていただいたが、皆さんからモンゴルの料理はどんな料理なのか? おいしいのか? モンゴル相撲を見たことがあるか? 馬頭琴はみんなが演奏できるのか? モンゴルの文化に触れてみたいがどこに行けば良いのか? というような問い合わせをいただいた。
そんな方におすすめしたいのが「ハワリンバヤル」だ。東京都練馬区の光が丘公園で、毎年ゴールデンウィークに開催されるお祭りである。一昨年、昨年とハワリンバヤルに参加し、不思議に感じるのは、来場者のうちのモンゴル人比率の高さだ。
そこで少し調べてみた。
法務省の2014年在留外国人統計によると、日本に在留中のモンゴル人は5456人で24位、そのうち留学生は1786名おり11位、世界人口で135位のモンゴルからするとかなり高い割合だ。これに加えて、表の中では中国と書かれているが、内モンゴル人も含めると、さらに多くのモンゴル人が日本に在留していることになる。
知り合いのモンゴル人は、友人との久々の再会を楽しみにして、毎年長崎からハワリンバヤルのためにわざわざ東京まで来ている。恐らく多くのモンゴル人がこの日のために、「いざ鎌倉」ならぬ「いざ光が丘公園」と集まってきているのだろう。
ところで、これだけ多くの在留モンゴル人は、どのようにモンゴルや海外にいる家族と連絡を取っているのだろうか? モンゴルでは家族と頻繁に連絡を取る習慣が根付いており、調査会社のデータによると1カ月の通話分数は日本人の約120分に対して、モンゴル人は300分と約3倍だ。これが国際電話になると毎月それなりの出費と想定されるため、モンゴルの友人にどのように連絡をしているのか聞いてみた。
答えは、LINEでお馴染みのメッセンジャーアプリケーションで、メッセージ、音声ともにやり取りをしているとのことだった。ただし、日本で普及しているLINEでもなく、韓国で普及しているKakaoTalkでもなく、中国で普及しているWeChatでもなく、全員一致でViberだった。以前はプリペイドの国際電話カードを利用してモンゴルに電話をしていたが、今はほとんど使っていないそうだ。Viberが他より優れている点は、誰に聞いても理由は明確でなかったものの、どうやらキリル文字が打ちやすいというのが理由らしい。ロシアのアプリストアでもMessengerアプリで2位につけている(1位はWhatsApp)。
さて、話を元に戻し、ハワリンバヤルのご紹介。
プログラム
「ハワリンバヤル」とはモンゴル語で「春祭り」という意味で、モンゴルからの留学生とボランティアが一体となって実施・運営するお祭りだ。モンゴルの文化、芸術を紹介し、日本とモンゴルの国際交流を図るために開催されており、今年で15回目を迎える。
開催日
2015年5月3日(日)11時~17時
2015年5月4日(月)10時~16時
2015年のプログラムは以下が予定されている。最新情報はハワリンバヤル2015の公式ホームページを参照していただきたい。
・モンゴル料理
・民族舞踏(ツァムなど)
・モリンホール(馬頭琴)体験
・民族音楽
・モンゴル相撲大会
・民族衣装(モンゴル・日本)ファッションショー
・モンゴル民族衣装デール
・民族舞踏
・モンゴルカレッジ
・モンゴルポップス
・モンゴル文字や日本語の書道
おすすめ
ハワリンバヤルの見どころは沢山あるが、あえて3つ挙げるとしたら、特にお勧めしたいのは、モンゴル料理、民族音楽、モンゴルポップス(以下、M-POP)である。
モンゴル料理(ホーショールとボーズ)
屋台で販売されているモンゴル料理は、主にホーショール(揚げ餃子)とボーズ(水餃子)があり、モンゴル人もこの屋台を楽しみにしていると聞く。両料理共に、小麦粉を練った生地に、羊肉や牛肉等を包み揚げたり蒸したりしたものであるが、包み方、料理方法に違いがある。
ホーショール
大判の揚げ餃子のようなもので、小麦粉の生地を平らに大きく伸ばし、肉を詰めて揚げて作る。噛んだ瞬間に肉汁がたっぷりと溢れ出てくるので、火傷に注意する必要がある。モンゴル人は肉汁が漏れないように器用に食べているが、初心者にとっては途中で穴が開いてしまったりして難しい。お土産に持ち帰ることもできるが、時間が経つとまわりの衣が肉汁を吸ってしまうので、是非アツアツの状態のものを召し上がっていただきたい。
ボーズ
ホーショールと同じように、小麦粉の生地を伸ばしたものに肉を詰め込み蒸して作る。こちらも噛んだ瞬間に肉汁が溢れ出てくるため、初心者は一番上の部分を少しかじり、風を送り込んで少し冷ましてから一口で食べることをお勧めしたい。ちなみに、小籠包では煮こごりを入れて包むが、ボーズは肉汁のみであり、小籠包とは別のおいしさがある。
民族音楽
民族音楽の中でも特に聞いていただきたいのはホーミー。たまに日本のテレビでも紹介されているので、ご存じの方もいるかもしれないが、1人の人が1つの声門から高さの異なる2つの音を同時に出す不思議な音楽だ。他では聞くことのできない不思議な音色を出す。YouTubeで「ホーミー」と検索するのも良いが、ステレオで再現できないような音もある気がするので、直に聞いて見るのがお勧めだ。ちなみに、自分でもホーミーにトライしてみたが、ただ唸っているようにしか聞こえず、雑音にしか聞こえなかった。また、ホーミーの演奏は、馬頭琴とセットで演奏されるため、馬頭琴の音色を聞いたことがない人にもおすすめだ。
M-POP
海外で行うお祭りであり、2流、3流の、あまり聞いたことがない歌手が来るのではと思うかもしれないが、ハワリンバヤルは違う。モンゴル人の皆さんに聞いても、誰もが知っている有名な歌手が毎年来日している(2015年の出演者はAriunaa and Guys)。M-POPの特徴は、元々は遊牧民だったせいか、声が太く、とにかく歌が上手いことだ。
ゴールデンウィークに何をしようかまだ決めていないのであれば、参加してみてはいかがだろう?