ケータイ業界 Watch in ニューオーリンズ
米国のケータイ業界最大のイベント、CTIA Wireless 2012に参加するため、5月初めに米ルイジアナ州ニューオーリンズを訪れた。ニューオーリンズでのCTIAの開催は、ハリケーン・カトリーナに見舞われた2005年以来7年ぶりとなる。事前にネットで調べると、住宅街などではまだ災害からの復興途上とのことだったが、会場のコンベンションセンター周辺や、フランス・スペインの植民地時代の古い街並みが残るフレンチクォーターを見る限りでは、7年前に訪れたときとほとんど変わりないようだ。テネシー・ウィリアムズの戯曲「欲望という名の電車」で有名な路面電車も健在だった。
ホテルの部屋でテレビを見ていたら、ニューオーリンズ観光協会の人が地元のニュース番組に登場し、「先週のジャズフェスティバルに続き、今週はケータイ・ギークのイベント。ニューオーリンズに人々が戻ってきた」とうれしそうに話していた。現地でお世話になった旅行代理店の日本人スタッフによると日本からの観光客はあまり多くないそうだが、ジャズ好き、コロニアル風の古い建物が好き、肉より魚料理が好き(ミシシッピー川で採れるナマズ、ザリガニなどのシーフード、いやリバーフード? が豊富)、湿気が多くても平気(関西人ならまずOK)という人はきっと気に入ると思うので、ぜひ一度訪れてみてほしい。
ニューオーリンズの路面電車 | フレンチクォーターの植民地時代から残る建物 |
と、これで終わるとニューオーリンズ観光案内になってしまうので、CTIAの会場でウォッチした、米国ケータイ業界のギークな人々の実態を多少の独断と偏見も交えてお伝えしよう。
■アップル強し!
まずケータイだが、スマートフォンの所有率100%。全員をチェックしたわけではないが、フィーチャーフォンを持った人には1人も出会わなかったし、業界人が集まる場ということを考えると、そう言い切っても差し支えないだろう。機種別では、iPhoneが圧倒的多数でシェアは70%くらい。iPadと合わせるとAppleの圧勝だ。Appleは基調講演、展示共にCTIAにはこれまで一度も登場していないことを考えると何とも皮肉な感じがする。意外だったのはBlackBerryが結構目に付いたこと。これはニューオーリンズでの開催ということで、かつてのBlackBerryブームの発端となった東海岸からの参加者が多いせいもあるかもしれない。ちなみに、売れていると評判のNokiaのWindows Phone、Lumia 900を持っている人は見当たらなかった。
■コーヒーはスタバ一択
カフェ・デュモンドのカフェオレとベニエ |
ニューオーリンズでコーヒーといえば、チコリというハーブの入ったコーヒーがよく知られている。特に有名なのはカフェ・デュモンドという老舗のカフェで、チコリコーヒーのカフェオレとベニエと呼ばれる揚げドーナツを求める人で、店はいつも満員だ。が、ケータイ業界の人々はそんなものには目もくれず、スターバックス一筋のようだ。CTIAの会場にはスタバの他にもいくつかコーヒーの屋台が出ているが、そちらはガラすきなのに、スタバの前だけはいつも長蛇の列ができている。紅茶派の私にはよくわからないが、そんなに並んでまで買うほど味に違いがあるのだろうか。それとも、米国通信キャリア従業員限定の割引チケットでも配られていたんだろうか。
■スカート派
これは在米ITコンサルタントのM.Kさんの指摘で気づいたことなのだが、女性の参加者のスカートやワンピースの着用率がラスベガスなど他の場所で開催されたCTIAのときに比べて高かった。それもスーツではなく、結構ヒラヒラしたフェミニンなタイプのものが目立っていて、中にはパーティかリゾートに来ているのかと思うようなゴージャスな人も。M.Kさんの分析は「東海岸に近いのでヨーロッパからの参加者が多いせいでは?」ということだったが、ヨーロッパの女性はスカートの方を好むのか、そもそもヨーロッパからの参加者が本当に多いのか、については情報を得られていない。私の分析は、単に「暑いから」(実際、気温は28度だった)なのだが、もしかしたらニューオーリンズにはちょっとお洒落してみようかな、と思わせる何かがあるのかもしれない。
2012/5/31 09:00