本日の一品
どうぶつたちが繰り広げる本格的ポゼッションサッカー「どうぶつサッカー」
(2015/2/24 06:00)
「ボールを回せ、ボールは疲れない」とは、オランダの偉大なサッカー選手・監督であるヨハン・クライフの言葉だ。この言葉通り、パスを繋いで常に自軍がボールをキープしながら攻撃を組み立てるポゼッションサッカーを体現したFCバルセロナは、ドリームチームと呼ばれた一時代を築くことになる。が、サッカーの歴史についての話題はこのへんにして、今回は前述の言葉を思い出さずにはいられないボードゲーム「どうぶつサッカー」をご紹介したい。
本ゲームは5×3のマス内に配置した3対3の動物のコマ、およびボールを模したコマを用いて遊ぶ、サッカーをモチーフとしたボードゲームだ。簡単にルールを説明しよう。
・自分の手番に、どうぶつコマを前後・左右・斜めの好きな方向に1マスだけ動かせる
・ボールのあるマスにどうぶつコマを動かすと、コマに書かれている方向にボールをパスできる(キープやドリブルはできない)
・パスは2マスまで可能で、間にいるどうぶつコマを飛び越せる
・パスした先に味方のどうぶつコマがいたら、連続してパス回しができる
・敵陣の奥にあるゴールにボールを入れたら、1点
以上だ。ルールを読むだけだとピンと来ないかも知れないので是非実際に遊んでいただきたいのだが、これがなかなかどうして、かわいい見た目に反して本格的かつスペクタクルなパスサッカーを見事に体現していたりする。
勝利するためにはゴールにボールを運ぶ必要がある。しかしボールはパスでしか移動できない。ゴールの手前に自分のどうぶつコマを持ってくれば良いのだが、そのどうぶつコマに対してパスを出すコマが必要になる。しかしどうぶつコマは一マスずつしか移動できないので、なかなか理想的なポジションに位置取ることができず、パスコースも塞がれる……と、ままならない状況が延々続くことになる。
カタルシスは、相手のポジションの穴をつき、連続パス回しが成功した瞬間にある。まさに「ボールを回せ、ボールは疲れない」だ。自陣最後列からの連続パス回しが成立し、一気にゴールを決めた瞬間など、諸手をあげて「ゴオオォォォォーーーーーール!」と叫びながら走り出したくなる(やや大げさ)。
ちなみにこの「どうぶつサッカー」は、名前や見た目からも想像できる通り、子ども向けの簡易版将棋「どうぶつしょうぎ」の派生版とも言うべき作品で、イラストやパッケージデザインも「どうぶつしょうぎ」と同じく、ふじたまいこ氏が手がけられている。ゲーム性はまるで異なるものの、見た目に反して本格派、という点では共通している。油断していると一気に勝負が決まってしまう点も同様だ。ご家庭で気軽にできる真剣勝負のひとつとして、間違いなくオススメの一品である。
なお、遊んでいて少しひっかかった点がある。本ゲームには相手から直接ボールを奪うという概念が無い。パスミスやトラップミスなども無いので、ボールを取った側がずっと自軍だけでパスを回し、相手がまったくボールに触れない状況が発生することがままある。まさにポゼッションサッカーの理想とも言うべき状況だが、お子さまと一緒に遊ぶ際などには、大人げなくえげつない戦術をもって勝ちに行くと泣かれる可能性もあるので、くれぐれもご注意いただきたく願う。
製品名 | 販売元 | 購入価格 |
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どうぶつサッカー | 幻冬舎エデュケーション | 1620円 |