TransferJetでスマホの写真をパソコンへ超高速転送！

　スマートフォンで撮影した写真や動画をパソコンへ取り込む時、どんな手段を使っているだろうか。USBで接続する、microSDに保存してスマートフォンから取り出す、またはオンラインストレージに一度アップロードするなどいろいろな方法がある中で、今回紹介したいのがTransferJetだ。

東芝のTransferJetアダプタ

　TransferJetという名称はあまり聞き慣れないか人もいるかもしれないが、ソニーや東芝といった家電メーカーが中心になって運営する「TransferJetコンソーシアム」が提唱するワイヤレス技術。3cmという非常に短い距離でワイヤレスのファイル転送が行える、近距離無線通信と呼ばれる技術だ。

　TransferJetに対応した製品は、ソニーが同社のデジタルカメラ「サイバーショット」で対応モデルを発売。その後、最近になって東芝がUSB型のアダプタ「TJ-UA00A」、microUSB型のアダプタ「TJ-MU00A」を発売したほか、サンワサプライもUSBアダプタを発売するなど、地道に対応製品やメーカーが増えている。

　ワイヤレスでファイルを転送する方法は無線LANやBluetooth、NFCなどさまざまだが、TransferJetの特徴はなんといってもその速さ。理論値としての物理速度は最大560Mbps、実効の転送速度は375Mbpsを公称し、他のワイヤレス転送はもちろん、USB 2.0の理論値480Mbpsを上回る速度で転送が可能だ。

　ちなみにスマートフォンで考えた場合、Bluetoothはもっとも高速なBluetooth 3.0+HSが最大24Mbps、NFCを利用したAndroid Beamが106kbps～424kbpsと文字通り桁の違う転送速度。スマートフォンに搭載されている無線LANのうちトップクラスである1×1構成のIEEE 802.11acであっても理論値で最大433Mbpsで、実効速度はさらに遅くなる。いかにTransferJetが高速な転送が実現できているかということがおわかりいただけるだろうか。

　高速なだけでなく操作が簡単なのもTransferJetのいいところ。パソコン向けのUSBタイプ「TJ-UA00A」の場合、製品サイトから「TransferJet Utility」をダウンロードしてインストールしておく。Android向けのmicroUSBタイプ「TJ-MU00A」も、同名のアプリをGoogle Play経由でインストールしておけば準備は完了だ。

USBタイプの「TJ-UA00A」をパソコンに装着

microUSBタイプの「TJ-MU00A」をAndroidに装着

　パソコンから転送する場合はユーティリティにファイルをドラッグ＆ドロップするか「追加」でファイルを指定。Androidの場合は、該当するファイルを選択してからAndroidのインテント共有を使ってユーティリティを選択。あとは転送したい機器同士を数cm以内の距離に近づければファイルを転送できる。

受信時、送信時ともにWindows用ユーティリティを起動

パソコンからの送信時は転送したいファイルを追加

Android側で確認したのち転送が行われる

Androidからはファイルを指定してTransferJetアプリで共有。パソコン側の確認操作は不要

　3648×2736ピクセル、1枚あたり約3MBの写真ファイルを10枚まとめてAndroidからWindowへ転送したところ、10秒もかからずに転送が完了した。1枚あたり1秒もかからない計算で、転送時間を示すゲージも一瞬で終わってしまう。ためしに1GBのファイルを用意してパソコンから転送したところ、こちらは1分20秒程度で転送が完了した。ざっくり計算すると転送速度は実効で100Mbps近く出ており、100BASE-TX有線LANの理論値をも上回る速度で転送できている。

　転送速度が速く操作も簡単といいことづくめに見えるTransferJetだが、課題は対応機器の少なさ。USBタイプはWindowsのみでMacには対応しないし、microUSBタイプもAndroid OSのバージョンによって利用できない機器がある。筆者も購入当初対応製品の少なさに困ったので、購入を検討する方は前もって対応製品を確認して欲しい。

　また、本体内蔵ではないため、転送をするためにはいつもアダプタが必要。自宅であればさほど不便ではないが、外出先などで転送したければ常にアダプタを持ち歩く必要がある。そもそもアダプタを装着するのだったらUSBで接続すればいいのではないかという話もあり、TransferJetならではというメリットがまだ打ち出しにくいというのが正直なところでもある。

　便利な一方まだまだ課題が多く残るTransferJetだが、今後の展開は期待が持てそうだ。CEATEC JAPAN 2013ではTransferJet対応のmicroSDカードが展示されているほか、TransferJet内蔵のSDカードも準備中という。また、ワイヤレスジャパン2014の取材によれば、TransferJetをスマートフォンに内蔵する動きもあるとのことだ。

　TransferJet対応の第1弾カメラ「サイバーショット DSC-HX5V」、カメラ本体にTransferJetを内蔵した「サイバーショット DSC-TX300V」など、TransferJetのターニングポイントとなる製品はすべて購入してきている筆者にとってTransferJet対応機器の購入はもはやライフワークとなりつつある。SDカードタイプやTransferJet内蔵スマートフォンの登場が今から待ち遠しい。

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